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外貨建て保険は大損するからやってはいけない?メリット・デメリットを徹底解説!

外貨建て保険は大損するからやってはいけない?メリット・デメリットを徹底解説!

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執筆者:

公開:

2025.06.09

更新:

2025.06.09

ライフイベント貯蓄型保険基礎知識生命保険

外貨建て保険とは、保険料の支払いや保険金の受け取りを円ではなく「外貨」で行う保険のことです。たとえば米ドルや豪ドルなど、日本円以外の通貨で運用されるのが特徴です。

ここでは、まず外貨建て保険の基本的な仕組みと、よく見られる代表的な商品タイプについてやさしく解説していきます。

サクッとわかる!簡単要約

読み終える頃には、外貨建て終身・年金・養老保険の仕組みを「利回り」「保障」「コスト」「為替」の四つのレンズで比較検証できるようになります。具体的なシミュレーションを通じて、円高・円安それぞれの損益分岐点や解約控除の影響を数字で把握でき、自分や家族のライフプランに本当に適した商品か否かを冷静に見極められる力が養われます。また、手数料の内訳や販売チャネルごとの特徴も理解できるため、金融機関のセールストークに流されず、自主的に質問を投げかける交渉力が身につきます。

目次

外貨建て保険の基本構造とは

主な種類と特徴(終身保険・年金保険など)

外貨建て保険のメリット──なぜ勧められることが多いのか

円建て保険より利率が高い理由

死亡保障や年金の機能も併せ持つ設計

外貨建て保険のデメリット──本当に大損するリスクとは

為替リスクで元本割れの可能性

手数料や為替スプレッドが高い構造

中途解約時の返戻金が著しく低い

「やってはいけない」と言われる理由──プロが外貨建て保険を避ける背景

リスクとリターンのバランスが悪い

投資信託・外貨預金との比較で不利

販売側のインセンティブが高すぎる

どんなときに外貨建て保険で「大損」するのか──典型的な失敗パターン

為替相場が大きく円高に振れたとき

短期で解約してしまったとき

予定利率が下がり期待リターンが出ないとき

こんな人は今すぐ見直しを!外貨建て保険の解約や乗り換えを検討すべきケース

ライフプランや家計状況が変化したとき

もっと柔軟で低コストな金融商品を知ったとき

為替リスクに不安を感じるようになったとき

外貨建て保険は使い方次第?後悔しないための活用のコツ

リスクを理解した上で長期保有する場合

ポートフォリオ全体での外貨分散として位置づける

商品を見極め、信頼できる助言者と契約する

外貨建て保険の基本構造とは

外貨建て保険とは、その名のとおり、保険料の運用を円ではなく外貨で行う保険商品です。契約者が支払った保険料は、保険会社によって米ドルや豪ドルなどの外貨建て資産で運用されます。

保険金や解約返戻金は外貨ベースで計算・表示されるため、契約時や受取時には、為替レートに基づいて円に換算されます。この為替変動による差額が、外貨建て保険の大きな特徴であり、同時にリスク要因でもあります。

たとえば、1ドル=140円のときに保険料を払い込み、将来1ドル=120円のタイミングで外貨資産を円に換算して受け取る場合、円高により受取額は目減りし、元本を下回ることがあります。逆に、受取時に1ドル=150円の円安になっていれば、同じ外貨額でも円換算の受取額は増え、為替差益が発生します。

  1. このように、外貨建て保険では契約時から受取時までの為替の動きによって、最終的な受取額が増減し、場合によっては払い込んだ保険料を下回ることもあります。為替リスクは常に意識しておく必要があります。

また、外貨建て保険の保険料支払い方法としては、「円払い」と「外貨払い」のいずれかを選べるのが一般的です(商品によって異なります)。円で支払う場合には、契約者が自分で外貨を用意する必要はなく、保険会社が定めた為替レートに基づいて自動的に外貨に換算されます。この為替レートには、実質的な手数料(スプレッド)が含まれており、1ドルあたり数銭〜数十銭程度の差が生じるのが一般的です。

月払いや年払いを選択した場合、支払いのたびにその時点のレートが適用されるため、円ベースの支払額は毎回変動します。為替相場によって支出額が変わる点にも注意が必要です。

一方で、契約時に保険料をまとめて支払う「一時払い」方式を選べば、その時点の為替レートで外貨に両替されるため、以後の支払いに関する為替変動リスクはなくなります。ただし、将来保険金や返戻金を円で受け取る際には、やはり当時のレートが適用されるため、最終的な受取額は為替相場の影響を受けます。

いずれの支払い方法を選ぶにしても、外貨建て保険においては「いつ・どの為替レートが適用されるのか」を把握しておくことが重要です。

主な種類と特徴(終身保険・年金保険など)

外貨建てで運用される保険商品にはいくつかの種類があり、それぞれの仕組みや目的には違いがあります。代表的な外貨建て保険の種類とその特徴を以下に紹介します。

外貨建て終身保険

被保険者が亡くなるまで一生涯の死亡保障が続く保険です。死亡時には契約時に定められた保険金額(外貨ベース)が支払われます。生存中に解約した場合でも、積み立てた解約返戻金を外貨ベースで受け取ることができます。契約を継続することで返戻金は増加する設計です。

資産形成の手段としても活用できますが、保険料の支払いや受取が外貨建てで行われるため、為替レートの変動によって円換算の金額は大きく変わる可能性があります。円安であれば有利に働く一方、円高になると、受取額が目減りして元本割れとなるリスクもあるため注意が必要です。

外貨建て個人年金保険

老後資金の積み立てに特化した保険です。一定期間にわたって保険料を積み立て、所定の年齢に達すると、積み立てた資金を外貨建ての年金として受け取ります。

年金開始前に被保険者が亡くなった場合には、それまでの払込保険料に相当する額が死亡給付金として支払われます。死亡保障は最小限に抑えられており、その分多くの資金が運用に充てられるため、効率的な資産形成が期待できます。ただし、年金の受け取り時にも為替レートが適用されるため、為替リスクを避けることはできません。

外貨建て養老保険

保険期間があらかじめ定められた契約で、期間中に死亡した場合は死亡保険金が、満期まで生存した場合には同額の満期保険金が外貨ベースで支払われます。保障と資産形成を兼ね備えた仕組みであり、「貯蓄性のある定期保険」とも言われます。

満期時には保険金が確実に支払われるため、保険会社にとって支払いリスクが高く、結果として保険料は一般に外貨建て終身保険より高めに設定される傾向があります。外貨で保険料を支払い、保険金も外貨で受け取るため、他の外貨建て保険と同様に為替変動の影響を受け、円換算での受取額が変動するリスクにも注意が必要です。

以上の3つはいずれも貯蓄性を備えた保険商品であり、「万一の保障」と「資産形成」の両立を目的としています。共通する特徴として、円建て保険よりも高い予定利率(積立利率)が適用される一方で、最終的な受取額は受取時の為替レート次第で大きく変動します。

  1. 特に急激な円高局面では、円換算の受取額が払い込んだ保険料総額を下回り、元本割れとなる可能性もあります。外貨建て保険は長期契約であることも多いため、為替リスクを正しく理解した上で、自身の資産形成プランに合うかどうかを慎重に見極めることが大切です。

外貨建て保険のメリット──なぜ勧められることが多いのか

外貨建て保険は、円建て保険よりも効率よく資産形成できる可能性があり、リスクへの備えと資産形成を同時に行えるメリットがあります。

外貨建て保険のメリットについて、詳しく見ていきましょう。

また、生命保険の相続税の非課税枠について知りたい方は、以下FAQもご参照ください。

円建て保険より利率が高い理由

外貨建て保険が銀行や保険代理店で盛んに勧められる背景には、「利率の高さ」があります。日本円建ての保険は日本の低金利政策の影響を受け、運用利回り(予定利率)が非常に低く抑えられています。

一方、米ドルや豪ドルといった日本より金利水準が高い通貨で運用する外貨建て保険は、円建てよりも高い運用成果が期待できる点が最大のメリットです。実際、2023年〜2024年頃の一般的な円建て終身保険の予定利率が年1%前後と言われるのに対し、外貨建て保険では年3〜4%程度の予定利率を掲げる商品も見られました。金利差の分だけ資産が増えやすいため、「銀行預金より増える商品を」と考える人にアピールしやすいのです。

さらに、保険会社によっては最低保証利率を設けている商品もあり、たとえば「最低でも年○%の利率で積立」が約束されているケースもあります。積立利率(基準利率とも呼ばれます)が保証されていれば、極端な金利低下局面でも一定の利息は確保されるため安心感につながります。

このように「外貨の高金利を活用しつつ、利率を最低○%保証」といった設計は、超低金利の日本では魅力的に映るでしょう。加えて、日本の生命保険と同様に生命保険料控除の対象となり、所得税・住民税の控除を受けられる点もメリットの一つです。この控除によって実質的な節税効果が得られるため、「利回り+税制優遇」の観点から外貨建て保険は勧めやすい商品となっています。

もっとも、実際の運用成果は各国の金利動向や為替相場によって変わるため、「予定利率どおりの利回りが得られるとは限らない」点には注意が必要です。契約時に提示された利率は将来にわたって固定されるわけではなく、市場金利の変化に応じて積立利率が見直される商品もあります。

一般的に契約後に金利が低下すると積立利率も引き下げられ、受取額の増え方が鈍くなってしまうため、初期に期待したリターンが得られない可能性もあります。逆に金利上昇局面では利率が上がるメリットもありますが、予定利率はあくまで「予定」であり、変動しうることを理解しておきましょう(※最低保証利率が設定されている場合はその限りではありません)。

死亡保障や年金の機能も併せ持つ設計

外貨建て保険のもう一つの大きなメリットは、保険としての保障機能と資産運用機能を一体化できる点です。保険商品ですので、万一の際には死亡保険金や高度障害保険金などが支払われ、家族に資産を残すことができます。

一方で、生存していれば解約返戻金や将来の年金受取といった形で貯蓄性のメリットを享受できます。つまり1つの契約で「保障」と「積立」の両方を実現できる設計になっているのです。

例えば、外貨建て終身保険であれば一生涯の死亡保障が続くため、遺された家族への備えを確保できます。同時に、長生きすれば解約返戻金が増えていき老後資金にも充てられます。

個人年金保険であれば、老後の年金準備をしながら、最低限の死亡保障を得られる仕組みです。このように、「保険に入っておけば万一のとき安心だし、お金も増えて戻ってくる」という宣伝文句で販売されることも多く、保障と資産形成を両立したい層には魅力的に映ります。

また、外貨建て保険は商品によって円建て保険より保険料が割安になる場合もあります。これは前述のように予定利率(運用利回り)が高いため、将来の保険金支払いに必要な保険料を抑えられることが一因です。

例えば「同じ死亡保障額を用意するのに、円建てより外貨建ての方が毎月の保険料が安く済む」といったケースもあり得ます。保障を確保しつつ家計負担を軽減できる可能性がある点も、営業担当者が勧める理由の一つでしょう。

総じて、外貨建て保険は「高金利通貨で効率よく貯蓄しながら、もしもの備えも一緒にできる」というメリットが強調されます。特に資産運用に関心がありつつも、「単なる投資ではなく保障も欲しい」と考える方にとって、一石二鳥の商品に映るかもしれません。

生命保険には、相続税を軽減する効果もあります。相続税対策で生命保険の活用を検討している方は、以下の記事もご覧ください。

外貨建て保険のデメリット──本当に大損するリスクとは

外貨建て保険には為替リスクが伴うため、大損する可能性があります。契約前には、どのようなリスクがあるのかを理解することが大切です。

為替リスクで元本割れの可能性

外貨建て保険でもっとも注意すべきリスクは、やはり為替変動による元本割れです。前述のとおり、契約時から受取時までの為替レートの変化によって、円換算した受取額が払い込んだ保険料総額を下回る可能性があります。

特に、契約時よりも受取時に円高(円の価値が上昇)になっている場合には、その影響が大きくなります。実際、金融庁の調査でも「契約時から円高が進むと、解約時に為替差損が発生するケースがある」と明記されており、制度上も現実的なリスクとして認識されています。

為替相場は、専門家でも正確な予測が難しい非常に不確実な要素です。「円安が続くと思っていたら、突然円高に転じて損失が出た」という事態は、過去にもたびたび起きています。たとえばリーマンショック後や世界的な景気後退の局面では、急激な円高が進行し、外貨資産の円換算価値が大きく目減りした事例がありました。

直近では円安傾向が続いていますが、為替は一方向には動かず、上下を繰り返すものです。運用通貨が円に対して下落すれば、それに応じて受取額も減少することを常に意識しておく必要があります。

外貨建て保険のパンフレットには、「為替レートの変動により、受取額が払込総額を下回ることがあります」といった注意書きが必ず記載されていますが、これは単なる建前ではなく、実際に発生しうる現実的なリスクです。

さらに重要なのは、為替変動は運用成果そのものにも影響するという点です。たとえば、外貨ベースでは順調に積み立てが進み、利息が加算されていても、受取時に円高となれば、円換算での評価額は期待ほど増えていない、あるいは元本割れに転じる場合もあります。

  1. つまり、「外貨ベースで資産が増えている=円でも増えている」とは限りません。このギャップは、外貨建て保険が抱える構造的なリスクであり、特に初心者の方はしっかり理解しておくことが重要です。

手数料や為替スプレッドが高い構造

外貨建て保険には、契約時には見えにくいさまざまなコストが組み込まれており、その総額は決して小さくありません。適用される為替レートや保険料の内訳、解約時の控除など、あらゆる局面でコストが発生する構造になっています。

為替手数料(スプレッド)は実質的な負担要因

円から外貨へ、あるいは外貨から円へと通貨を交換する際には為替手数料(為替スプレッド)が発生します。これは保険会社が独自に設定した為替レートに上乗せされる形で適用されるもので、たとえば1ドルあたり片道1.5〜2.5円、往復で3〜5円程度になることもあります。

このスプレッドは、契約時の払い込み時と、満期や解約時の受取時の両方に適用されるため、通貨交換のたびに実質的なコストが確実に差し引かれます。為替レートの変動とは無関係に生じるコストであることから、投資成果に対する影響は無視できません。

なお、米ドルなどの主要通貨はスプレッドが比較的抑えられる傾向にありますが、豪ドルやユーロなどでは割高になる場合もあり、選ぶ通貨によってコスト水準が異なる点にも注意が必要です。

保険料の全額が運用に回るわけではない

保険商品としての構造上、支払った保険料のすべてが運用に使われるわけではないという点にも留意が必要です。死亡保障を維持するためのコスト、保険会社の管理費用、契約事務手数料などが控除された残額のみが積立金として運用されます。

このため、同じ通貨を使った外貨建て運用であっても、外貨預金や外貨建て投資信託などの非保険型の商品と比較すると、コスト負担は高くなりがちです。仮に為替や運用が好調でも、これらのコストがかさめば、最終的な実質利回りは大きく目減りすることがあります。

解約控除の仕組みにも注意

多くの外貨建て保険には一定期間内に解約した場合に課される「解約控除(解約手数料)」が設定されています。これは長期契約を前提とした商品設計に基づくもので、早期解約を抑制する目的で導入されています。

たとえば、「契約後5年以内に解約すると、積立金の3〜5%を控除する」といったルールがある商品も見られます。解約タイミングによっては返戻金が大きく目減りし、「元本が大きく削られた」と感じる原因になりかねません。

表面利回りだけで判断しないことが重要

このように、外貨建て保険には契約時・運用中・解約時のそれぞれで複数のコストが重層的に発生する仕組みがあります。パンフレットなどに記載されている予定利率やシミュレーション上のリターンは、あくまで表面上の数値であり、これらのコストを十分に反映しているとは限りません。

特に外貨建て保険は、「予定利率が高い」といったメリットを強調されることが多い一方で、コスト構造が不透明なまま契約してしまうと、実際の利回りが大きく削られる可能性があるという落とし穴があります。

資産運用においては、コストは少なければ少ないほど有利になるのは言うまでもありません。為替手数料、保険会社の内部費用、解約控除といった見えにくいコストが積み重なった結果、「外貨で資産が増えていたのに、円換算すると大して増えていなかった」という状況にもなり得るのです。

外貨建て保険を検討する際は、表面的な金利やパンフレットの試算にとどまらず、トータルでどれだけのコストが発生し得るのかを把握したうえで判断することが不可欠です。

中途解約時の返戻金が著しく低い

外貨建て保険に限らず、貯蓄型保険商品全般に共通する特性として、契約から間もない時期に解約すると、解約返戻金が大きく目減りするというリスクがあります。これは、保険という商品が長期契約を前提に設計されているためであり、初期段階では死亡保障の原資や各種コストが優先的に差し引かれ、積立金がほとんど形成されていないからです。

外貨建て保険も例外ではなく、契約初期に解約すれば、高い確率で元本割れになる構造です。商品によっては「10年程度契約を継続して、ようやく払込保険料総額に返戻金が追いつく」といった設計が一般的であり、言い換えれば10年未満の解約では損失を被る可能性が極めて高いということです。

営業現場では「10年も持てば元本割れは少ない」と説明されることがありますが、仮に10年経ってプラスマイナスゼロになったとしても、その間、資金は一切使えず拘束されていたという事実は変わりません。さらに注意すべきは、為替相場の影響です。円高のタイミングで解約した場合には、10年以上保有していても円換算で元本割れとなる可能性があるため、「長く持てば必ず得をする」とは断言できません。

  1. 特に注意したいのは、想定外のライフイベントなどでやむを得ず解約せざるを得ないケースです。たとえば子どもの進学や住宅資金、突然の病気や収入減などにより途中解約を検討する場面では、解約控除と円高の影響が重なって、想定以上の損失を被る可能性があるのです。

こうした背景から、「外貨建て保険は当面使う予定のない余裕資金で契約すべき」とされるのは当然であり、短期解約のリスクを許容できないのであれば、安易に契約すべきではないというのが本質的な結論です。

以上のように、外貨建て保険は構造的に短期間で解約すると返戻金が著しく低く抑えられる(=元本割れしやすい)仕組みになっています。契約時には「◯年経過時点の返戻率」などが記載された試算表が提供されますので、自分のライフプランと照らし合わせて、何年間は解約せずに保有できるかを慎重に確認することが不可欠です。

仮に加入を検討する場合でも、「少なくとも〇年間は資金を引き出さずに保有できるか」を明確にしたうえで判断しましょう。それができないのであれば、他の選択肢を検討するのが賢明です。

「やってはいけない」と言われる理由──プロが外貨建て保険を避ける背景

外貨建て保険は、保険のプロから敬遠されることも少なくありません。実際に、保険のプロが感じている外貨建て保険の問題点を見ていきましょう。

リスクとリターンのバランスが悪い

メリット・デメリットを踏まえると、外貨建て保険は「ハイリスク・ローリターンになりかねない」商品だという指摘がプロの間ではあります。魅力として強調される高利率も、為替リスクや高コストによって相殺される恐れがあり、リスクとリターンが見合わない可能性が高いのです。

実際、金融庁が2024年に公表した調査では「外貨建て保険は契約から4年以内に約6割が解約されている」との結果が出ています。本来長期運用でメリットを発揮するはずの商品が、半数以上も早期解約されているという事実は、多くの契約者にとって期待したリターンが得られなかったか、リスク許容度を超える事態に陥ったことを示唆しています。

プロのFPや投資の専門家が「外貨建て保険はおすすめしない」と言う背景には、このパフォーマンス面での疑問があります。確かに外貨で運用することで理論上は円建てより高利回りが期待できるものの、為替の変動リスクと各種コストを差し引けば、得られる実質リターンは決して高くないケースも多いのです。

特に、安全性を重視すべき老後資金の運用として考えた場合、大きなリスクを取りにいくべきではありません。それにもかかわらず「利回りが良い」と聞いて飛びついてしまうと、リスクに見合ったリターンが得られず失望することになりかねません。

もう一つ、商品が複雑で分かりにくい点もリスクとリターンの評価を難しくしています。外貨建て保険は為替や金利、保険料控除など絡み合い、一見すると魅力的に見える要素がありますが、その裏に隠れたコストやリスクを正確に把握するのは初心者には困難です。

  1. 専門家でさえ複雑だと評する商品なので、きちんと仕組みを理解しないまま契約すると「思っていたのと違う」という事態になりがちです。総合的に見ると、外貨建て保険はリスク要因が多い割にリターンは限定的で、コストも高いため効率が悪いというのがプロの正直な評価です。

投資信託・外貨預金との比較で不利

外貨で運用して資産形成をする方法は、外貨建て保険だけではありません。投資信託(ファンド)や外貨預金など、他の金融商品と比較したときに、外貨建て保険は総合的な条件で劣る場合が多いと指摘されています。

まずコスト面では、一般に投資信託の方が信託報酬等を含めても安く、外貨預金も為替手数料以外のコストはほぼありません。一方、外貨建て保険は為替手数料に加え、保険固有の費用が重くのしかかります。

また、流動性(換金のしやすさ)の点でも差があります。投資信託や外貨預金であれば基本的にいつでも解約・引き出しが可能で、必要なときに資金を取り出せます。仮に為替相場が不利でも、自分の判断で「もう少し様子を見る」「円安になるまで待つ」といった裁量が利くでしょう。

ところが、外貨建て保険は解約のタイミングを自由に選びにくい商品です。短期で解約すれば返戻金が大幅に減ってしまう構造上、為替が不利でも我慢して持ち続けざるを得ない場面もあります。「円高で損しそうだから解約したいけど、今解約したら返戻金が少なすぎて結局損が確定してしまう」というジレンマに陥る可能性もあります。この点で、柔軟性という観点では明らかに他の金融商品より不利と言えます。

さらに、透明性と分かりやすさも重要です。例えば投資信託であれば基準価額の推移や手数料が明示されており、自分の資産が増減する理由が把握しやすいです。外貨預金もシンプルに為替レートと金利だけの影響です。

しかし、外貨建て保険は「保険」というパッケージの中に入ることで仕組みが複雑になり、どれだけコストが引かれているか見えにくいという欠点があります。実際、「保険の保障機能は薄く、資産運用目的としてもコストは高め」なので、資産運用目的ならコストの低い投資信託の方が初心者には内容も理解しやすく有利だと指摘されています。

総合すると、純粋に資産を増やすことが目的であれば、外貨建て保険より他の商品を組み合わせた方が有利なケースが多いでしょう。例えば「死亡保障は定期保険で確保し、資産運用は低コストのインデックスファンドで行う」といった方が、それぞれの目的に特化した効率的な運用ができます。外貨建て保険は保険と運用を一体化したがゆえに中途半端になりやすいとの指摘もあり、プロはそうした観点からも避ける傾向があります。

販売側のインセンティブが高すぎる

「外貨建て保険はやめた方がいい」と言われる裏には、販売側の事情も存在します。実は、銀行や保険代理店にとって外貨建て保険は販売手数料(コミッション)が非常に高い商品として知られています。

金融庁の報告によれば、外貨建て保険を販売した際に代理店等が受け取る手数料は契約初年度に保険料の約5.5%にも上り、2年目以降は0.1%程度と大きな差があります。つまり、販売担当者にとってはお客様に長く続けてもらうより、解約・再契約を繰り返してもらった方が圧倒的に儲かる仕組みなのです。

そのため、一部では「目標設定型」と称した、不適切な販売手法も問題視されています。例えば、「一定の運用益が出たら自動的に円に利益確定する商品を売り、しばらくして達成したら解約させて、また別の外貨建て保険を勧める」という方法で、販売手数料を二重取りするようなケースです。

契約者にしてみれば、せっかく積み立てたものを乗り換えるたびにコストがかかり非効率ですが、販売側は毎回初年度コミッションが得られるため熱心に勧めてきます。金融庁もこうした販売側の利益優先の実態を問題視しており、銀行や保険会社に対して顧客本位の業務運営を徹底するよう促しています。

つまり、外貨建て保険は販売する側にとって非常においしい商品であり、そのことがしばしば過剰なセールストークや強引な販売につながっています。プロのFPなどが外貨建て保険を敬遠するのは、「本来顧客の利益より販売側の都合が優先されがちな商品だから」という面もあります。銀行窓口で「絶対おすすめです!」と熱心に勧められると、つい良い商品なのかと思ってしまうかもしれません。しかし、その背景には高額な手数料ビジネスが潜んでいる可能性があることを覚えておきましょう。

以上のような理由から、専門家ほど外貨建て保険には慎重で、「よほどの目的や理解がない限り手を出すべきではない」と考える傾向があります。リスク・リターンのミスマッチや他商品との比較劣位、販売側の事情など、多角的に見てデメリットが目立つためです。

どんなときに外貨建て保険で「大損」するのか──典型的な失敗パターン

外貨建て保険の運用で失敗してしまう、典型的なパターンがあります。具体的な失敗事例を知り、本当に外貨建て保険が向いているのかどうかを考えてみてください。

為替相場が大きく円高に振れたとき

典型的な大損パターンの一つが、受取時に為替相場が大幅な円高になってしまったケースです。

例えば、契約時には1ドル=150円だったのに、満期や解約時には1ドル=100円になっていたような場合を考えてみましょう。仮に10万ドル相当の解約返戻金を受け取れるとしても、契約時のレートなら円換算で1,500万円だったものが、円高の影響で1,000万円になってしまいます。極端な例ですが、為替差損だけで数百万円規模のマイナスが生じる計算です。実際にここまで急激な円高が起これば、外貨ベースでは元本以上に増えていても円に戻した途端に大幅な元本割れという最悪の結果になり得ます。

このようなリスクは現実に起こり得ます。近年でも、例えば新型コロナショック時には一時的に円高ドル安が進行しましたし、過去にはリーマンショック後に急速な円高が起きたこともあります。為替相場は世界情勢や経済環境で大きく変動するため、長期契約の間に円高局面が訪れる可能性は十分考えられます。

特に、契約時点で歴史的な円安水準だった場合は注意が必要です。円安ピークで外貨建て保険に入ってしまうと、その後円高に戻る動きがあった際に損失が顕著になりやすいからです。購入タイミングによっては、為替変動だけで元本の何割も吹き飛ぶリスクがあることを心得ておきましょう。

もちろん逆に、大幅な円安になれば為替差益で有利になる側面もあります。円高・円安はコインの裏表なので、「円安になればラッキー」と考えることもできます。ただし、将来の為替が読めない以上、ギャンブル的に円安に賭けるのは危険です。

特に保険はリスクに備える商品である以上、「円安にならないと元本割れ」という状態で契約を続けるのは好ましくありません。為替による損益は運次第の部分も大きいため、為替レート次第で大損にも大儲けにも転ぶリスク商品であることを認識しましょう。

短期で解約してしまったとき

外貨建て保険で大きな損失が発生しやすいもう一つのケースは、短期で解約してしまった場合です。外貨建て保険は長期運用を前提に設計されているため、契約後数年程度で解約すると解約返戻金が払込保険料より大幅に少なくなるのが通常です。

例えば、ある商品では「10年未満で解約すると返戻率は80%以下」というように、早期解約ペナルティが設定されていることがあります。その結果、数年間保険料を払ったのに解約時には元本の7~8割程度しか戻ってこないという事態になりかねません。

短期解約で損失が大きくなる理由としては、前述した解約控除の存在に加え、契約初期は保険会社の手数料控除が大きいことが挙げられます。最初の数年間は支払った保険料の多くが保障コストや販売手数料の回収に充てられるため、積立金があまり増えません。

そこから解約すると、積立金自体が少ないうえに解約控除で差し引かれ、手取り額が極めて低くなるのです。外貨建て保険を含む貯蓄型保険全般では「開始~5年程度の解約返戻金は払込総額を大きく下回る」というのが一般的であり、短期で解約してプラスになることはまずないと考えてよいでしょう。

どのくらい持てば元本割れリスクが小さくなるのかというと、一概には言えませんが目安として10年以上と言われることが多いです。10年超経過すると解約返戻金が払込保険料に近づき、為替レート次第ではプラスになる可能性も出てきます。

ただし、これは裏を返せば「10年未満で解約すると高確率で損」ということでもあります。ライフプラン上その保険金が必要なくなった、他に魅力的な投資が見つかった等で解約を検討する場合でも、契約からの経過年数によって損得が大きく異なる点に留意が必要です。短期解約のリスクが高い商品である以上、「とりあえず入ってみて嫌ならすぐやめればいい」は通用しないと心得ましょう。

予定利率が下がり期待リターンが出ないとき

外貨建て保険で想定外の「損失的状況」に陥るケースとして、予定利率(積立利率)の低下によるリターンの不振も挙げられます。多くの外貨建て保険は契約時に一定の積立利率が適用されますが、契約後の金利環境の変化によって利率が変動するタイプの商品も存在します。

一般に、市場金利が下がれば保険の積立利率も引き下げられるため、将来受け取れる金額の増え方が鈍化します。例えば契約時には「年4%で運用します」という触れ込みだったのに、その後の金利低下で積立利率が年2%になってしまった場合、受取予定額は当初見込みよりかなり少なくなってしまいます。

  1. このように予定していたリターンが得られない状況になると、契約者としては「話が違う」と感じるでしょう。元本割れこそしなくても、期待したほど増えなければ機会損失という意味で「損した」気分になるものです。

特に昨今は金利変動が大きく、米国などでも利上げ・利下げの波があります。契約時に高金利でも将来ずっと続く保証はないため、長期の保険期間中に利率が下がる局面も十分考えられます。最低保証利率が設定されている商品ならば一定水準は守られますが、それでも「思ったほど増えなかった」という事態は起こり得ます。

さらに、予定利率が高かったゆえに保険料が安く設定されていた場合、利率低下で当初の目標額に届かなくなることもあります。例えば「この利率で運用できれば満期時に○○万円になる」とシミュレーションされていたのが、市場金利低迷で大きく未達に終わると、円建ての保険にしておけばよかったと後悔するかもしれません。いわば「期待ハズレ」のリスクですが、契約時点では気づきにくい落とし穴です。

以上のように、為替相場の急変動、契約早期の解約、金利低下による予定利率の引き下げが、外貨建て保険で大損・失敗に繋がりやすい典型パターンです。特に前二者は実際に金銭的な損失が目に見える形で表れますので、加入前にしっかり理解しておきましょう。

こんな人は今すぐ見直しを!外貨建て保険の解約や乗り換えを検討すべきケース

外貨建て保険に契約したあとでも、資産状況やライフステージの変化などに伴って、解約や見直しを検討すべきです。

なお、相続対策は生命保険以外でも可能です。生命保険以外の方法で相続対策をしたい方は、以下FAQもご参照ください。

ライフプランや家計状況が変化したとき

契約時には計画通り長期運用するつもりでも、人生の状況は時間とともに変わります。もし加入後にライフプランや家計の状況が大きく変化した場合は、外貨建て保険の内容を早急に見直すべきです。

例えば、結婚・出産で家族構成が変わった、住宅ローンを組んだ、転職やリストラで収入が変動した、といったケースが考えられます。こうした変化によって毎月の保険料負担が重荷になったり、そもそも保障内容が今のニーズに合わなくなったりすることがあります。

特に家計が苦しくなって保険料の支払いが困難になった場合、無理に継続すると家計破綻を招きかねません。外貨建て保険は解約タイミングが難しい商品ですが、だからといって支払いのために生活を犠牲にしては本末転倒です。

保険料負担が家計を圧迫しているようであれば、一度契約を見直し解約・減額も含めて検討する必要があります。また、逆に収入が大幅に増えた場合でも、当初想定より早く別の資産運用に回せる余裕資金ができたなら、外貨建て保険より有利な商品に乗り換えた方が良いケースもあるでしょう。

ライフプランの変化では、例えば教育資金や住宅購入資金の準備など優先度の高い資金需要が発生することもあります。その際、外貨建て保険に預けたままでは柔軟に対応できません。必要資金を確保するために解約せざるを得ないなら、なるべく早めに動くことが肝心です。時期を逸すると為替レートが悪化したり、解約返戻金がさらに目減りしたりするリスクもあります。

「当初の目的(老後資金など)が他の手段でカバーできるようになった」「家計事情で長期継続が難しくなった」などのサインがあれば、外貨建て保険を継続すべきか早急に見直すべきタイミングと言えます。

もっと柔軟で低コストな金融商品を知ったとき

外貨建て保険に加入した後で、金融知識が深まったり他の投資商品を知ったりしてより良い選択肢に気付くことがあります。もし外貨建て保険以外に自分のニーズに合致する柔軟で低コストな商品を見つけたなら、乗り換えを検討する価値があります。

例えば、NISAやiDeCoで投資信託を活用すれば、低コストで長期の資産運用が可能です。外貨預金や外国債券を直接保有することで、為替リスクを取りながらも保険のコストを払わずに済む方法もあります。

前述の通り、外貨建て保険は保険と運用が一体になったがゆえに、コスト高で融通が利かない面があります。一方、それぞれを切り離せば、例えば保障は定期保険(掛け捨てで割安)、運用は投資信託(手数料低く自由度高い)という具合により効率的で柔軟な組み合わせが可能です。もし加入後にそうした方法を知り、「このまま外貨建て保険にこだわる必要はないかも」と感じたなら、思い切って見直すのも一策でしょう。

特に、外貨建て保険の営業を受けたときには他の商品と比較する余裕がなく、そのまま契約してしまった人も多いかもしれません。しかし時間が経ち、改めて冷静に市場を見渡すと他にも選択肢があることに気付くはずです。例えば、「投資信託+終身医療保険」で資産運用と保障を別々に確保する方がトータルで安上がりになるケースもあります。

大事なのは、「契約してしまったから…」と惰性で続けないことです。他の方法で目的を達成でき、しかもそちらの方が合理的だと判断したなら、外貨建て保険に固執する必要はありません。見直しによって長期的に節約できるコストや得られる利益が大きいなら、解約時の一時的な損失を差し引いても乗り換えるメリットがあるかもしれません。

もちろん、解約・乗り換えの際にはタイミングと代替策の比較検討が重要です。為替レートの状況や解約返戻金の額を確認し、損失を最小化できる時期を選ぶことが求められます。また新たに利用する商品についても十分理解した上で移行しましょう。「より良い商品を見つけた」という理由は前向きで合理的な判断なので、専門家に相談しつつ計画的に動くことをおすすめします。

「個人年金保険とiDeCoどちらがよいのかわからない」という方は、以下FAQもご参照ください。

為替リスクに不安を感じるようになったとき

契約当初は為替リスクについて「大丈夫だろう」と思っていても、実際に相場変動を経験するうちに不安が募ってくることがあります。特に為替レートが大きく振れた局面を目の当たりにすると、「このまま続けて大丈夫か…」と心配になるものです。もし為替リスクを許容できない、夜も眠れないほど不安と感じるようになったら、無理に外貨建て保険を続けるべきではありません。

前述の通り、外貨建て保険は円高になれば元本割れの恐れがあります。「払ったお金が減るかもしれないなんて嫌だ」と思うのは当然の心理です。実際、受取額が払込額を下回るのを避けたい人には外貨建てより円建ての方が向いています。

為替変動を考慮するのが面倒、難しいと感じる人にとっても、常に為替相場を気にかけなければならない外貨建て保険はストレスフルでしょう。金融庁の調査報告でも、為替変動という不確実なリスクを受け入れられない場合は外貨建て保険はやめるべきとの指摘があります。

また、現在は大丈夫でも今後の自分のリスク許容度が下がることも考えられます。例えば、年齢を重ねて守りの運用にシフトしたくなったり、家族に「安全に運用してほしい」と頼まれたりするかもしれません。そうした際に外貨建て保険というリスク商品を抱え続けること自体がストレスになるなら、早めに処分してしまった方が精神的な安心を得られます。

資産運用はメンタル面の安定も重要です。自分が許容できるリスク範囲を超えていると感じたら、外貨建て保険から撤退し、より安全な運用方法に切り替えるのが賢明でしょう。

つまり、為替リスクへの不安が拭えなくなった人は、外貨建て保険を再考すべきです。「リスクを取って増やしたい」と考えて始めた運用で、心をすり減らしては本末転倒です。円建ての貯蓄型保険や預金、国内債券など、代替となる安全志向の手段はいくらでもあります。安心料と割り切って多少利回りが低くても安全な商品に移る方が、後悔しない選択と言えるでしょう。

外貨建て保険は使い方次第?後悔しないための活用のコツ

外貨建て保険へ加入したあとに後悔する事態を防ぐためには、事前にデメリットの理解が欠かせません。また、信頼できる相談者を見つけることも大切です。

リスクを理解した上で長期保有する場合

ここまで述べたように外貨建て保険には注意点も多いですが、リスクと仕組みを十分理解した上であれば活用の余地がないわけではありません。鍵となるのは「長期保有を前提に腹を括る」ことです。短期で結果を求めず、為替の上下にも一喜一憂しない覚悟で長期運用すれば、外貨建て保険のメリットを享受できる可能性は高まります。

例えば、20年・30年と超長期で運用すれば、途中の円高局面と円安局面が平均化されリスクが緩和されることも期待できます。また、複利効果で外貨ベースの積立も増えていくでしょう。

長期保有のコツとして、「当面使う予定のない余裕資金で行う」ことが挙げられます。万一途中で資金が必要になると計画が狂ってしまうため、10年20年動かさなくても困らないお金で運用するのが鉄則です。さらに、契約時に示されたプランより悲観的なくらいのシナリオを想定しておくと安心です。例えば返戻金の見込みも控えめに見積もり、最悪元本割れしても生活に支障ないくらいの心構えで臨めば、大きく裏切られることもありません。

また、長期運用する中でも為替のタイミングを見て戦略的に動く余地はあります。例えば、受取を急がなくて良い状況なら円高のときは据え置き、ある程度円安に振れたタイミングで円転して解約する、といった臨機応変さです。

ただし、為替の読みに頼りすぎるのは危険なので、基本方針はあくまで「長期間持ち切る」とし、途中経過で慌てて動かさないことが重要です。保険会社によっては為替予約や円建受取への変更オプションが用意されている場合もあるので、必要に応じてそうした制度を活用するのも手でしょう。

長期保有前提で外貨建て保険を使うなら、自分の中で明確な目的と計画を持つことが大切です。「老後資金の一部として◯年間は手を付けない」「子どもの学費には使わず自分たち夫婦の資金に充てる」など、使い道と期間を決めておくとブレにくくなります。周囲の為替ニュースに惑わされず、腹を括ってホールドすることができれば、外貨建て保険も一つの資産形成ツールとして機能し得るでしょう。

ポートフォリオ全体での外貨分散として位置づける

外貨建て保険を検討・活用するのであれば、自分の資産ポートフォリオ全体の中で位置づけを考えることが重要です。決してそれ単体で完結させようとせず、分散投資の一環として外貨資産を持つ手段の一つと捉えると良いでしょう。

例えば、総資産のうち○割を外貨資産に振り向けたいという方針があるなら、その一部を外貨建て保険で運用し、残りは外貨預金や外国株式で持つなど、バランスを取る方法が考えられます。こうすることで、外貨建て保険に固有の欠点(流動性の低さ等)も他の資産で補完しやすくなります。

実際、明治安田生命の解説でも「既に円資産での運用を行っており、さらに日本円以外の通貨でも運用したい人」に外貨建て保険は適しているとされています。このように、円資産中心の方が外貨への分散を図る一環として少額から検討するのは理にかなっています。

逆に、資産の大半をいきなり外貨建て保険につぎ込むような極端なことは避けるべきでしょう。外貨建て保険はあくまでポートフォリオの補完的な位置づけにとどめ、万一思わしくない結果になっても、資産全体の致命傷とならない範囲で活用するのが無難です。

また、運用通貨の分散も検討材料です。外貨建て保険は商品ごとに運用通貨が決まっていますが、もし複数契約する余裕があるなら、米ドルと豪ドルなど複数通貨に分散投資して為替リスクを軽減する方法もあります。

ただし、2通貨に分散するには2つの契約が必要となり、手間やコストも倍増するため現実的ではないかもしれません。その場合、外貨建て保険は例えば米ドル建ての商品1本にしておき、他の資産でユーロ資産や豪ドル資産を持つなど異なる通貨リスクに分散することも考えられます。いずれにせよ、外貨建て保険だけに頼らず他の外貨投資商品とも組み合わせてポートフォリオを構築することが、リスク低減と柔軟性向上のポイントです。

まとめると、外貨建て保険は「保険+運用」という独特のポジションゆえ単独で突出させるとバランスを欠きますが、総合的な資産運用計画の中に組み込めばメリットを発揮しうるでしょう。

円だけでなく外貨にも資産を振り分けたいという明確な目的がある場合、その一部を外貨建て保険で担うのは一つの戦略です。ただし、外貨建て保険に入ったことで満足せず、他の金融商品とも比較しながら常に自分のポートフォリオを点検・調整していく姿勢が大切です。

商品を見極め、信頼できる助言者と契約する

外貨建て保険を活用するにあたっては、どの商品を選ぶかも極めて重要です。一口に外貨建て保険と言っても、保険会社や商品によって手数料体系や保証内容、特約の有無など細かな違いがあります。できる限りコストが低く、運用条件が有利で、自分の目的に合致した商品を選ぶことが、後悔しないコツの一つです。

例えば、積立利率の最低保証がある商品であれば金利低下リスクが和らぎますし、払込通貨や受取方法に柔軟性がある商品であれば為替タイミングを測りやすくなります。複数の商品を比較検討し、本当に自分にとってベターな商品かどうか見極めましょう。

しかし、商品内容を正しく理解し比較するのは専門知識が必要です。そこで頼りになるのが信頼できる助言者(アドバイザー)の存在です。金融機関の営業担当者だけで決めてしまわず、第三者の専門家(独立系FPなど)に相談することを強くおすすめします。

金融機関は収益性の高い商品を優先的に勧めてくる傾向があるため、少しでも疑問や不安を感じたら即答せずに別の専門家に意見を求める機会を作りましょう。実際、「よくわからない商品をすすめられたら警戒すべき」「納得できないなら契約しない勇気を持つ」ことが大切だと指摘する専門家もいます。

信頼できる助言者とは、あなたの立場に立ってアドバイスしてくれる存在です。理想を言えば、特定の商品を売り込む立場にない独立系のFPや顧客本位を掲げるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などが望ましいでしょう。彼らであればメリットだけでなくデメリットも含めて丁寧に説明してくれるはずですし、もし外貨建て保険以外に適した商品があれば忌憚なく提案してくれるでしょう。少なくとも、「本当にこの商品でよいのか」「他にもっと良い手段はないのか」という点を客観的に検証するプロセスは欠かせません。

また、契約後も長く付き合える担当者かどうかも重要です。外貨建て保険は契約後のアフターフォロー(経過報告や受取時の手続きなど)も大事なので、何かあったときに気軽に相談できる人が担当だと心強いでしょう。

販売手数料欲しさに売ったら終わり、という営業マンではなく、最後まで面倒を見てくれる誠実な担当者と契約することが後悔しないポイントです。その見極めのためにも、契約前の段階で色々な質問を投げかけてみて、きちんと答えてくれるか、こちらの意向を尊重してくれるかをチェックするとよいでしょう。

総じて、外貨建て保険を活用するなら「商品選び」と「人選び」が極めて大切です。自分にベストな商品を慎重に選定し、信頼できるプロのサポートを得ながら契約・運用すれば、外貨建て保険でも大きな失敗は避けられるでしょう。

反対に、このプロセスを省いてしまうとミスマッチな商品を掴んで後悔するリスクが高まります。ぜひ冷静に情報収集し、納得のいく形で判断するようにしてください。

この記事のまとめ

外貨建て保険は「利回りで資産を増やしながら保障も得られる」一方、為替変動、高コスト、途中解約の難しさなど弱点も抱えます。 仕組みを理解せず購入すれば損失を被りやすく、専門家が警鐘を鳴らすのは商品そのものが危険なのではなく、知識不足で手を出すと痛手を負う可能性が高いからです。本稿で整理した長所と短所を吟味し、活用するならリスクと折り合いを付け、自分の許容範囲内で賢く利用してください。 不安が残る場合は契約を見送り、目的とリスク許容度に即した選択を貫くことが後悔しない資産形成への近道です。契約前にはシミュレーションや複数社比較も忘れず行いましょう。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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外貨建て保険

外貨建て保険とは、保険料の支払いや保険金の受け取りなどが、日本円ではなく米ドルや豪ドルなどの外貨で行われる保険商品のことをいいます。主に終身保険や年金保険の形で提供されており、日本国内の低金利環境に対する対策として注目されることがあります。 外貨建て保険の魅力は、円建ての保険よりも高い利回りが期待できる点ですが、その反面、為替レートの変動によって実際に受け取る金額が目減りするリスクもあります。また、為替手数料や解約時のコストがかかることもあるため、加入する際には仕組みをしっかり理解し、自分の資産運用方針やリスク許容度に合っているかを見極めることが大切です。特に長期で保有する場合には、為替動向や国際情勢にも一定の関心を持つ必要があります。

個人年金保険

個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。

終身保険

終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く生命保険のことです。契約が有効である限り、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が大きな特徴です。また、長く契約を続けることで、解約した際に戻ってくるお金である「解約返戻金」も一定程度蓄積されるため、保障と同時に資産形成の手段としても利用されます。 保険料は一定期間で払い終えるものや、生涯支払い続けるものなど、契約によってさまざまです。遺族への経済的保障を目的に契約されることが多く、老後の資金準備や相続対策としても活用されます。途中で解約すると、払い込んだ金額よりも少ない返戻金しか戻らないこともあるため、長期の視点で加入することが前提となる保険です。

養老保険

養老保険とは、「保障」と「貯蓄」の両方の機能を備えた生命保険です。契約期間中に万が一亡くなった場合には「死亡保険金」が支払われ、無事に満期を迎えた場合には「満期保険金」として同じ金額が受け取れるのが大きな特徴です。 そのため、老後資金の準備やお子さまの教育資金づくりなど、将来に備えながら万が一にも備えられる保険として活用されています。貯金感覚で利用できる点から、計画的に資金を準備したい方に適しています。 ただし、保障と貯蓄の両方を兼ね備えているため、保険料は定期保険よりも高めに設定されている点には注意が必要です。しっかりと目的と費用のバランスを考えて加入することが大切です。

解約返戻金

解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

最低利率保証

最低利率保証とは、金融商品において市場金利がどれほど低下しても、契約時に定められた一定の利率が下限として適用される仕組みです。たとえば、貯蓄型の生命保険や個人年金保険では、契約時の予定利率が満期まで固定され、将来の金利環境にかかわらずその利回りが確保されます。これにより、長期運用においても資産の安定性が確保されるという安心感があります。 同様に、日本の個人向け国債にも「最低利率保証」が導入されています。変動10年型や固定金利型(3年・5年)では、発行時点で利率が決定され、購入者にはその利率が満期まで適用されます。特に変動10年では、市場連動で利率が見直される一方、現行制度上は年0.05%を下限として保証されています。これは将来の市場金利がゼロ近辺に低下した場合でも、最低限の利息を受け取れるという意味で、保険商品における「最低利率」と同様の役割を果たします。 ただし、これらの最低利率はあくまで新規契約・発行分に適用される制度的水準であり、今後の市場や政策動向に応じて変更される可能性があります。一方で、すでに購入・契約済の商品については、適用利率が満期まで固定されており、事実上の「留保的最低利率」として機能します。したがって、契約時点の利率が将来にわたり確保されるという点では、債券も保険も共通して「固定利率=最低保証」の性格を持つといえます。

貯蓄型保険(積立型)

貯蓄型保険(積立型)とは、万が一の保障に加えて、将来的にお金が戻ってくる仕組みを備えた保険商品のことです。保険料の一部が積み立てられ、契約満了時や途中解約時に「解約返戻金」や「満期保険金」として受け取れるようになっています。 代表的な商品には、終身保険、養老保険、学資保険などがあり、保険としての安心を持ちながら、同時に資産形成も行えるのが特徴です。特に、教育資金や老後資金の準備、相続対策など、目的を持った長期の計画に活用されます。 「掛け捨て型保険」と異なり、支払った保険料が将来的に戻ってくるため、保険と貯金の“ハイブリッド”として位置づけられる商品です。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるほか、運用利回りが低めに抑えられていることが多いため、目的と期間をしっかり考えて加入することが大切です。 保障と貯蓄を1つの仕組みで両立させたい人にとって、計画的な資産形成の手段として有効な選択肢のひとつです。

流動性

流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

リスク許容度

リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。

高金利通貨

高金利通貨とは、その国の政策金利が他国と比べて高い水準にある通貨のことをいいます。金利が高い通貨を保有すると、その分だけ利息収入が期待できるため、特に外国為替市場では注目されます。たとえば、ニュージーランドドルや南アフリカランドなどが高金利通貨の代表例として知られています。 このような通貨は、金利の低い通貨を借りて高金利通貨を運用する「キャリートレード」という投資戦略にも活用されます。ただし、高金利の背景には物価の上昇や経済の不安定さがある場合もあり、為替レートの大きな変動によって損失が出るリスクもあるため、十分な注意が必要です。

為替手数料

為替手数料とは、日本円を米ドルやユーロなどの外国通貨に両替する際にかかる手数料のことです。これは、銀行や証券会社などの金融機関が設定しており、為替レートに一定の上乗せをする形で反映されます。たとえば、実際の市場の為替レートが1ドル=150円でも、手数料が1円加わると、151円で1ドルを買うことになります。この差額が為替手数料です。 外貨預金や外貨建ての投資商品を購入する場合、また海外旅行で両替する際などに発生します。金融機関ごとに手数料が異なるため、取引前に比較することが大切です。また、為替手数料は小さなコストに見えても、取引回数が多くなると運用成績に大きな影響を与えることがあるため、注意が必要です。

解約控除

解約控除とは、保険や一部の投資商品を契約期間の途中で解約した場合に、契約者が受け取る解約返戻金などから差し引かれる手数料のことをいいます。特に契約から数年以内など、早い段階で解約した際に高めに設定されていることが多く、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまうことがあります。 この制度は、販売時にかかった初期費用や運用の準備にかかるコストを回収するために設けられていますが、契約者にとっては思ったよりも少ない金額しか戻ってこないというリスクにつながります。そのため、商品選びの際には解約控除の有無やその金額、期間などをよく確認し、「途中で解約したらどうなるか」をあらかじめ理解しておくことがとても大切です。長期での運用を前提とした商品には特に注意が必要です。

解約控除期間

解約控除期間とは、投資信託や保険商品などを契約してから一定の期間内に解約をすると、手数料やペナルティがかかって戻ってくるお金が少なくなる期間のことをいいます。これは、金融機関がその商品を提供するためにかかった費用を回収するために設定されるものです。この期間が終わると控除はなくなるか、控除率が徐々に下がっていくケースもあります。特に長期での運用を前提とした商品でよく見られるため、契約前に期間の長さや控除の割合をよく確認し、解約のタイミングには注意することが大切です。

払済保険

払済保険とは、もともと契約していた保険の保険料の支払いを途中でやめ、その時点までに払い込んだ保険料を使って、以後の支払いをせずに保障だけを継続する保険のことです。たとえば、終身保険などで使われることが多く、保険料を支払うのが難しくなった場合などに選ばれる方法です。 保障額は元の契約よりも小さくなりますが、保険契約を完全に解約するのではなく、一定の保障を残すことができる点が特徴です。資産運用の観点では、解約返戻金を有効に活用しながら保障を維持する手段として理解しておくと役立ちます。

余裕資金

余裕資金とは、日常生活に必要な支出や、もしものときのための予備費を差し引いたあとに手元に残るお金のことです。このお金は、すぐに使う予定がなく、生活に支障をきたさない範囲で自由に使えるため、投資や資産運用に回すことができます。投資を始める際には、この余裕資金の範囲内で行うことが基本であり、生活費や緊急時の資金まで投資に回してしまうと、思わぬリスクに対応できなくなる可能性があります。そのため、自分にとっての余裕資金がどれくらいかをきちんと把握することが、健全な資産運用の第一歩となります。

透明性

透明性とは、投資先の企業や金融商品についての情報が、投資家に対して分かりやすく、正確に、隠しごとなく開示されている状態のことを指します。たとえば企業の財務状況や経営方針、リスクなどが明確に公開されていれば、投資家は安心して判断を下すことができます。 また、投資信託やETFなどの商品でも、運用方針や手数料、保有資産などの情報がしっかり開示されていることが求められます。金融機関や運用会社の信頼性にも関わる要素であり、金融庁などの規制当局によっても透明性の確保が推進されています。初心者にとっても、透明性の高い情報に基づいて投資判断を行うことは、リスクを抑え、安全な資産運用を行うための大きな助けとなります。

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