専門用語解説
新株予約権
新株予約権とは、将来あらかじめ決められた価格で会社の株式を取得できる権利のことです。この権利を持っている人は、指定された期間内に株式を買うかどうかを選べる仕組みになっています。
この仕組みは、企業が資金を調達したり、役員や従業員にインセンティブを与えたり、敵対的買収への備えとして使われることがあります。たとえば、ベンチャー企業では役員や社員に新株予約権を付与することで、会社の成長に応じて報酬を得られる仕組みとしています。これがいわゆるストックオプションです。
投資家の立場では、新株予約権は「潜在的に株式が増える可能性があるもの」として注意が必要です。行使されると新しい株式が発行されるため、既存の株主の持ち分が薄まる(希薄化)ことになります。このため、企業分析では「潜在株式数」を考慮して、1株あたりの利益や株主価値への影響を見ていくことが重要です。
また、新株予約権の価値は、株価の変動や行使価格、残り期間によって大きく変わります。株価が行使価格を上回っている場合は行使されやすく、そうでない場合は価値がないまま失効することもあります。
資産運用に関心のある方にとっては、投資先企業の開示資料などで「新株予約権の発行状況」や「ストックオプションの残高」などを確認することが、投資判断を行ううえで非常に有益です。企業の成長性を評価する際には、その裏で将来の株主構成や株式数がどう変化する可能性があるのかを見ておくとよいでしょう。