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アクティブファンドとは?仕組み・特徴・インデックスファンドとの違いをわかりやすく解説
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執筆者:
公開:
2023.04.02
更新:
2026.03.24
資産運用を始めようとすると、アクティブファンドという言葉を目にする機会は少なくありません。ただし、インデックスファンドとの違いや、手数料に見合う価値があるのかを十分に理解しないまま選ぶと、想定と異なる運用結果につながることがあります。この記事では、アクティブファンドの基本的な仕組みから特徴、選び方、新NISAでの活用法までを整理し、自分に合う選択肢かどうかを判断するための考え方を解説します。
アクティブファンドとは?基本の仕組みをわかりやすく解説
アクティブファンドとは、ファンドマネージャー(運用担当者)が独自の調査・分析に基づいて投資銘柄を選別し、ベンチマーク(基準となる指数)を上回るリターンを目指す投資信託のことです。
たとえば、日経平均株価をベンチマークに設定したアクティブファンドであれば、日経平均を超える運用成績を出すことを目標としています。ファンドマネージャーは企業訪問や財務分析を通じて有望な銘柄を選び出し、市場環境に応じて組入銘柄の入れ替えや投資比率の調整を行います。
一方、対になる概念がインデックスファンド(パッシブファンド)です。こちらは日経平均株価やS&P500などの指数に連動するよう機械的に運用されるファンドを指します。
- つまり、アクティブファンドは「市場平均を超える成果」を、インデックスファンドは「市場平均と同じ成果」を目指すという点が根本的な違いになります。
アクティブファンドの主な種類
アクティブファンドにはさまざまな運用スタイルがあり、大きく4つの種類に分けられます。
| 種類 | 投資対象 | 期待リターン | リスク水準 | 信託報酬の傾向 | 相場下落時の耐性 |
|---|---|---|---|---|---|
| グロースファンド | 成長性の高い企業 | 高い | 高い | やや高め | 低い(下落幅が大きくなりやすい) |
| バリューファンド | 割安と判断される企業 | 中程度 | 中程度 | 標準的 | 比較的高い |
| テーマ型ファンド | 特定テーマの関連企業 | テーマ次第で高い | 高い | やや高め | テーマの人気に左右される |
| 絶対収益追求型 | 戦略により多様 | 中程度 | 中〜低 | 高め | 高い(下落局面でも利益を狙える) |
それぞれの特徴を理解しておくと、自分に合ったファンドを選ぶ際の判断材料になるでしょう。
グロースファンド(成長株投資型)
グロースファンドは、売上高や利益の成長率が高い企業に投資するタイプのファンドです。将来の業績拡大を見込んで投資を行うため、現時点では株価が割高に見えるケースも少なくありません。
テクノロジーやヘルスケアなど、成長産業に属する企業が組入対象の中心となる傾向があります。値上がり益を重視する運用スタイルのため、株式市場が好調な局面で特にリターンを伸ばしやすいのが特徴です。
バリューファンド(割安株投資型)
バリューファンドは、企業の本質的な価値に対して株価が割安と判断される銘柄に投資するファンドです。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった指標を用いて、市場で過小評価されている企業を発掘します。
配当利回りが高い銘柄が多く含まれる傾向にあるため、インカムゲイン(配当収入)も期待しやすいでしょう。株式市場が低迷する局面でも、グロースファンドに比べて下落幅が小さくなる傾向にあります。
テーマ型ファンド
テーマ型ファンドは、AI・半導体・ESG(環境・社会・ガバナンス)・ヘルスケアなど、特定のテーマに関連する銘柄に集中投資するタイプです。
旬のテーマに乗れば大きなリターンを得られる可能性がある一方、テーマの人気が下火になると大幅に値下がりするリスクも抱えています。投資タイミングの見極めが特に重要なファンドといえるでしょう。
絶対収益追求型ファンド
絶対収益追求型ファンドは、特定のベンチマークを設けず、どのような市場環境でもプラスのリターンを目指して運用されるファンドです。株式の買い(ロング)と売り(ショート)を組み合わせるなど、通常のファンドとは異なる手法が用いられます。
相場全体が下落する局面でも利益を狙える点が魅力ですが、運用手法が複雑なぶん、信託報酬はほかのアクティブファンドよりも高めに設定されがちです。
アクティブファンドとインデックスファンドの違い【比較表付き】
アクティブファンドへの投資を検討するうえで、インデックスファンドとの違いを正しく理解しておくことが欠かせません。
| 比較項目 | アクティブファンド | インデックスファンド |
|---|---|---|
| 運用目的 | ベンチマークを上回るリターンを目指す | ベンチマークに連動する成果を目指す |
| 信託報酬(年率) | 1.0〜2.0%程度が一般的 | 0.1〜0.3%程度が主流 |
| 値動きの特徴 | 銘柄選択次第で市場平均と異なる動き | 対象指数とほぼ同じ動き |
| 運用の透明性 | ファンドにより異なる | 指数構成銘柄と同じで把握しやすい |
| 商品数(つみたて投資枠) | 59本 | 279本 |
両者の主な違いを項目ごとに整理しました。
運用目的の違い
インデックスファンドは、対象となる指数に連動する運用成果を目指すファンドです。指数が上昇すればファンドも値上がりし、下落すれば同じように値下がりするという、わかりやすい値動きをします。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが銘柄を選別して指数を上回るリターンを狙います。そのため、市場全体が下落しても、銘柄選択次第でファンドの下落幅を抑えられる可能性があるのが特徴です。
コスト(信託報酬)の違い
投資信託を保有している間にかかる年間手数料が「信託報酬」です。インデックスファンドは指数に連動させるだけなので運用の手間が少なく、信託報酬は年率0.1〜0.3%程度が主流となっています。
一方、アクティブファンドはファンドマネージャーによる調査・分析に人件費がかかるため、信託報酬は年率1.0〜2.0%程度が一般的です。この差は長期運用になるほどリターンに大きく影響します。
たとえば信託報酬が1.5%のアクティブファンドと0.1%のインデックスファンドでは、毎年1.4%分のコスト差が発生します。100万円を20年間運用した場合、コスト差だけで最終資産額に数十万円の開きが生じる計算です。
リスク・リターンの違い
インデックスファンドは市場全体に分散投資するため、個別銘柄のリスクが軽減されやすい構造になっています。ただし市場平均を超えるリターンは原則として得られません。
- アクティブファンドは銘柄を絞り込むぶん、インデックスファンドより値動きが大きくなりがちです。ファンドマネージャーの判断が的中すれば市場平均を大きく上回りますが、外れれば市場平均を大幅に下回るリスクもあります。
商品数の違い
新NISAのつみたて投資枠を例にすると、2026年3月時点でインデックス型投資信託は279本、アクティブ型投資信託は59本が対象となっています
成長投資枠まで含めると、アクティブファンドの選択肢はさらに広がり、国内外のさまざまなテーマや戦略のファンドから選べるようになります。
アクティブファンドは本当にインデックスに勝てないのか?【データで検証】
「アクティブファンドの大半はインデックスに勝てない」という話は投資の世界でよく耳にします。結論から言えば、長期で見ると多くのアクティブファンドがインデックスを下回っているのは事実です。ただし、市場セグメントによって勝率に明確な差があるという点も見逃せません。
SPIVA(スピバ)スコアカードが示すデータ
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが発行するSPIVA(S&P Indices Versus Active)スコアカードは、世界各国のアクティブファンドとインデックスのパフォーマンスを比較する代表的なレポートです。
2024年のSPIVA日本スコアカードによると、日本の大型株ファンドのうちインデックス(S&P/TOPIX 150)を下回った割合は以下のとおりでした。
アクティブファンドのデータ
- 1年間:62%がインデックスを下回った
- 5年・10年・15年:いずれも80%以上がインデックスを下回った
つまり、大型株に投資するアクティブファンドの場合、長期的にインデックスに勝てるファンドは2割未満という厳しい現実が浮き彫りになっています。
出典:S&P Dow Jones Indices「SPIVA Japan Scorecard」
中小型株ではアクティブファンドが善戦している
ただし、すべてのカテゴリーでアクティブファンドが負けているわけではありません。同じSPIVA日本スコアカード(2024年版)のデータでは、中小型株ファンドのアンダーパフォーマンス率は1年で57%、10年でも53%にとどまっていました(出典:同上)。
大型株と比べて明らかに勝率が高い理由として、中小型株市場はアナリストのカバレッジ(調査対象としている銘柄数)が少なく、情報の非対称性が残りやすいためと考えられています。丹念な企業調査によって割安銘柄を発掘しやすい環境があるため、ファンドマネージャーの腕が成果に反映されやすいのです。
2025年上半期のSPIVAデータ:短期では風向きが変わる場面も
2025年上半期のSPIVA Japanでは、大型株カテゴリーのアンダーパフォーマンス率が3割未満にまで低下し、歴史的に低い水準を記録しました。米国関税問題や円高の影響で市場のボラティリティ(価格変動の大きさ)が高まった局面では、銘柄選択の巧拙が成果に直結しやすくなるためです。
ただし、5年・10年以上の長期になると、どのカテゴリーでも過半数のアクティブファンドがインデックスを下回る傾向は変わりませんでした。
出典:S&P Dow Jones Indices「SPIVA Japan Mid-Year 2025」
アクティブファンドがインデックスに負けやすい3つの理由
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、アクティブファンドがインデックスに勝ちづらい主な理由として以下を挙げています。
①コスト構造のハンディキャップ
日本証券経済研究所の分析によると、日本のアクティブファンド平均リターンとベンチマークの差は1.21%であり、これはファンドの経費率とほぼ一致しています。つまり、運用そのものの成績は市場平均とほぼ同じでも、コストのぶんだけ負けてしまう構造にあるのです。
② プロ投資家同士の競争激化
かつてはプロがアマチュア投資家を出し抜いて超過リターンを得られましたが、現在は市場参加者の大半がプロです。優秀なファンドマネージャー同士が競い合うため、誰かが勝てば別の誰かが負ける「ゼロサム」に近い状況が生まれています。
③ サバイバーシップバイアス(生存者バイアス)
運用成績が振るわないファンドは、途中で償還(運用終了)されたり、他のファンドに吸収合併されたりします。市場に残っているファンドだけを見ると成績がよく見えがちですが、消えたファンドも含めて評価するとアクティブ全体の成績はさらに悪化します。
【専門家の視点】アクティブファンドの正しい選び方|5つのチェックポイント
前述のとおり、アクティブファンドの多くはインデックスに負けています。しかし、長期にわたって市場平均を大幅に上回る成績を残しているファンドが存在するのも事実です。重要なのは、そうした優良ファンドを見極める「目利き力」にあります。
以下の5つのチェックポイントを押さえて、ファンド選びに活用してください。
①運用実績は「3年・5年・10年」の長期で見る
短期のリターンだけでファンドの良し悪しは判断できません。1年間の好成績は、市場環境やテーマの追い風によるものかもしれないためです。
3年・5年・10年といった複数の期間で、ベンチマークを安定的に上回っているかどうかを確認しましょう。特に市場が大きく下落した局面(2020年のコロナショック、2022年の世界的な利上げ局面など)での値動きは、ファンドマネージャーの実力を測るうえで重要な判断材料になります。
②信託報酬だけでなく「実質コスト」を確認する
信託報酬は目論見書(もくろみしょ)に記載されている年間手数料ですが、実際にはこれ以外にも「隠れコスト」が発生しています。売買委託手数料や監査報酬などがそれに該当し、これらを合算した「実質コスト」は、交付運用報告書の「1万口当たりの費用明細」で確認可能です。
信託報酬が低くても隠れコストが高いファンドは少なくありません。必ず実質コストベースで比較する習慣をつけましょう。
③ファンドマネージャーの運用哲学・在任期間をチェックする
アクティブファンドの成績は、ファンドマネージャーの力量に大きく左右されます。月次レポートや運用報告書で、投資哲学や銘柄選定の根拠が明確に説明されているかを確認してください。
また、同一マネージャーがどれくらいの期間運用を担当しているかも重要な情報です。マネージャーが頻繁に交代しているファンドは、運用の一貫性に不安が残ります。
④純資産総額の推移と資金流出入を確認する
純資産総額が減少傾向にあるファンドは、投資家からの解約が続いている可能性を示しています。資金流出が続くとファンドの運用効率が低下するうえ、最悪の場合は繰上償還(予定より早く運用が終了すること)のリスクも高まります。
目安として、純資産総額が100億円以上あり、かつ資金流入が継続しているファンドを選ぶのが安全でしょう。
⑤シャープレシオ(リスク調整後リターン)で比較する
シャープレシオとは、リスク1単位あたりにどれだけのリターンを獲得できたかを示す指標です。計算式は「(ファンドのリターン − 無リスク資産のリターン)÷ リスク(標準偏差)」で求められます。
単純なリターンの大小だけでなく、「どれだけ効率よくリターンを得たか」を測れるため、ファンド比較の際に非常に有用です。一般的にシャープレシオが1.0以上であれば、リスクに見合ったリターンを出していると評価できます。
アクティブファンドを買った後にやるべき3つのモニタリング
アクティブファンドは「買って終わり」ではなく、保有中の定期チェックが欠かせません。
インデックスファンドであれば指数に連動するだけなので放置していても問題になりにくいですが、アクティブファンドはファンドマネージャーの運用判断に成績が左右されるため、状況の変化を見逃さない仕組みをつくっておくことが大切です。
①月次レポートを3ヶ月に1回は確認する
多くのアクティブファンドは毎月「月次レポート(マンスリーレポート)」を公開しています。このレポートには、組入上位銘柄の一覧、資産配分比率、直近1ヶ月のリターン、ファンドマネージャーのコメントなどが記載されています。
毎月欠かさず読む必要はありませんが、少なくとも3ヶ月に1回は目を通して、以下の点を確認しましょう。
まず、組入上位銘柄が大きく入れ替わっていないか。頻繁に銘柄が入れ替わっている場合は、運用方針がブレている可能性があります。次に、ファンドマネージャーのコメントに一貫性があるか。購入時に共感した投資哲学と矛盾する発言がないかをチェックします。
そして、ベンチマークとのリターン差がどう推移しているか。1〜2ヶ月の短期的な劣後は問題ありませんが、半年以上にわたってベンチマークを下回り続けている場合は注意が必要です。
②年1回の「運用報告書」で実質コストを確認する
交付運用報告書は決算期ごとに発行される公式書類で、信託報酬以外の「隠れコスト」を含めた実質コストが記載されています。確認すべきポイントは「1万口当たりの費用明細」の項目です。ここに売買委託手数料や保管費用などが記載されているため、前年と比較して大幅にコストが増加していないかを見ておきましょう。
実質コストが前年から0.2%以上増えているような場合、ファンド内で頻繁な売買が行われている可能性があります。売買の回転率が高いファンドはコストが嵩む傾向にあるため、継続保有の判断材料にしてください。
③「売却を検討すべき」3つのサインを知っておく
アクティブファンドを長期保有するうえで最も重要なのは、「いつ売るか」の判断基準をあらかじめ持っておくことです。以下の3つのサインが出た場合は、売却やファンドの乗り換えを具体的に検討する段階といえます。
ファンドマネージャーの交代
アクティブファンドの成績はファンドマネージャーの力量に大きく依存します。主要な運用担当者が退任した場合、過去の実績がそのまま将来に引き継がれる保証はありません。新任マネージャーの運用方針を確認し、少なくとも半年〜1年は運用状況を注視しましょう。
純資産総額の急激な減少
純資産が短期間で大幅に減少している場合は、多くの投資家が解約していることを意味します。資金流出が続くとファンドの運用効率が低下し、最悪の場合は繰上償還のリスクも高まります。純資産総額が30億円を下回ってきた場合は要注意です。
3年以上にわたるベンチマーク劣後の継続
1〜2年の短期では市場環境による影響も大きいため判断は難しいですが、3年以上一貫してベンチマークを下回っている場合は「コストに見合ったリターンが得られていない」と判断する合理的な根拠になります。
逆に、「市場全体が下がったからファンドの基準価額も下がった」という理由だけで慌てて売却するのは避けるべきです。アクティブファンドの真価が問われるのは、市場全体の下落幅に対してファンドの下落がどの程度抑えられたか、という相対的なパフォーマンスです。
新NISAでアクティブファンドを活用する方法
2024年にスタートした新NISAは、アクティブファンドの投資にも活用できる制度です。非課税のメリットを最大限に活かすための活用法を解説します。
成長投資枠でアクティブファンドが購入できる
新NISAには「つみたて投資枠(年間120万円)」と「成長投資枠(年間240万円)」の2つの枠があり、併用が可能です。
つみたて投資枠の対象商品は金融庁の基準を満たした投資信託に限定されており、アクティブ型は59本のみとなっています(2026年3月時点)。一方、成長投資枠はより幅広い商品が対象で、多種多様なアクティブファンドから選択可能です。
「コア・サテライト戦略」でバランスよく活用する
アクティブファンドを新NISAで活用する際におすすめなのが「コア・サテライト戦略」です。これはポートフォリオ(資産の組み合わせ)を「コア(核)」と「サテライト(衛星)」に分けて運用する考え方を指します。
具体的には、以下のような配分が一つの目安になります。
コア・サテライト戦略の例
- コア(70〜80%):全世界株式やS&P500連動のインデックスファンドで長期・安定的な成長を狙う
- サテライト(20〜30%):中小型株や特定テーマのアクティブファンドで超過リターンを狙う
コア部分で市場平均のリターンを確保しつつ、サテライト部分でアクティブ運用の上振れを狙うことで、リスクとリターンのバランスをとれるでしょう。
NISAでアクティブファンドを選ぶ際の注意点
新NISAの非課税メリットを最大限に活かすには、長期保有に適したファンドを選ぶことが大切です。短期的に人気のテーマ型ファンドは値動きが激しく、NISAの非課税枠を有効活用しにくい場合があります。
また、新NISAでは損益通算(他の口座の利益と損失を相殺すること)ができない点にも注意が必要です。そのため、大きな損失が出るリスクの高いファンドよりも、安定的なパフォーマンスが期待できるファンドを優先するのが賢明といえます。
アクティブファンドに向いている人・向いていない人
すべての投資家にとってアクティブファンドが最適とは限りません。ご自身の投資スタイルや経験値に合わせて判断することが重要です。
向いている人
以下のような特徴に当てはまる方は、アクティブファンドとの相性がよいといえます。
アクティブファンドに向いている人
- 投資経験がある方:ファンドの運用レポートを読み解き、運用方針の善し悪しを判断できる
- 特定のテーマや市場に関心がある方:AI・半導体・ESGなど、自分が成長を確信するテーマに集中投資したい
- 中小型株市場の成長に期待する方:SPIVAデータが示すとおり、中小型株領域はアクティブ運用の勝率が比較的高い
- コアのインデックス投資に加えて上乗せリターンを狙いたい方:コア・サテライト戦略のサテライト部分として活用
実務の観点で特に注目すべきは「中小型株市場への投資」です。先述のSPIVAデータが示すように、大型株カテゴリーに比べて中小型株カテゴリーではアクティブファンドの勝率が明らかに高くなっています。アナリストの調査が行き届きにくい市場ほどファンドマネージャーの腕が活きるため、アクティブ投資の恩恵を受けやすいのです。
向いていない人
一方、以下に当てはまる方はインデックスファンドを中心に据えるほうが合理的です。
アクティブファンドに向いていない人
- 投資初心者の方:まずは低コストのインデックスファンドで投資の基本を学ぶのが先決
- コストを最小限にしたい方:信託報酬の差が長期リターンに大きく影響するため、コスト重視ならインデックスが有利
- ほったらかし運用をしたい方:アクティブファンドは定期的にレポートを確認し、運用状況をモニタリングする手間がかかる
- 投資資金が少額の方:コスト負担が相対的に重くなるため、まずはインデックスファンドで資産を積み上げるほうが合理的
手数料は投資家のリターンを確実に削るため、できるだけ避けるのが合理的です。インデックスファンドを上回るアクティブファンドを見極められる自信がない方は、インデックスファンドを選ぶのが無難です。
【判断フロー】自分はアクティブファンドを買うべき? 4つのステップで診断
ここまで読んでも「で、自分はどうすればいいの?」と迷っている方も多いでしょう。そこで、投資経験や運用額に応じた判断の目安を4ステップで整理しました。
ステップ1:すでにインデックスファンドを保有しているか?
まだ投資信託を1本も持っていない方は、まずインデックスファンドから始めるのが王道です。全世界株式やS&P500に連動する低コストファンドを毎月積み立てるだけで、長期的には市場平均のリターンを享受できます。この段階ではアクティブファンドを急いで検討する必要はありません。
ステップ2:インデックスファンドの積立額が年間50万円以上あるか?
すでにインデックスファンドで資産形成の土台ができている方は、サテライト(補助的な投資先)としてアクティブファンドを検討する段階に入ります。投資額が小さいうちは信託報酬のコスト差が資産全体に占めるインパクトが大きいため、まずはコア部分を十分に育てることを優先しましょう。
ステップ3:月次レポートを読んで内容を理解できるか?
アクティブファンドは購入後の「目利き」が大切です。月次レポートや運用報告書を読み、ファンドマネージャーの投資判断に納得できるかどうかを自分で確認する必要があります。「運用レポートを読むのが面倒」「内容がよくわからない」という段階であれば、インデックスファンドの比率を高く保つほうが合理的です。
ステップ4:投資したい市場やテーマが明確か?
「中小型の日本株に期待している」「米国の構造的に強い企業に長期投資したい」など、具体的な投資テーマがある方はアクティブファンドと相性がよいといえます。とくにSPIVAデータが示すとおり、中小型株市場はアクティブ運用の勝率が比較的高いため、この領域に興味がある方はアクティブファンドを検討する価値があるでしょう。
アクティブファンドに関する留意点
最後に、アクティブファンドに関する留意点をお伝えします。
初心者はアクティブファンドよりもインデックスファンドがおすすめ
投資初心者にはインデックスファンドがおすすめです。コストが低く、市場全体に分散投資できるため、ファンド選びの難易度が低いという利点があります。投資に慣れてきたら、サテライト(補完的な投資先)としてアクティブファンドを検討するとよいでしょう。
アクティブファンドの信託報酬の相場は1.0~2.0%程度
アクティブファンドの信託報酬は年率1.0〜2.0%程度が一般的です。ただし、ファンドによっては0.5%台のものから3%を超えるものまで幅があります。信託報酬だけでなく、交付運用報告書に記載されている「実質コスト」で比較してください。
「隠れインデックスファンド(クローゼットインデックス)」に注意
名目上はアクティブファンドでありながら、実際にはインデックスとほぼ同じ銘柄構成で運用されているファンドを「隠れインデックスファンド」と呼びます。高い信託報酬を支払いながらインデックスとほぼ変わらない成績にしかならないため、投資家にとってはコスト負けするリスクが高い存在です。
見分け方としては、ファンドの値動きとベンチマークの値動きがほぼ一致していないか、また「アクティブシェア」(ベンチマークとの銘柄構成の乖離度)が公開されている場合はその数値が低すぎないかを確認するとよいでしょう。
優秀なアクティブファンドも存在する
一例として、米国のフィデリティ・コントラファンドが挙げられます。同ファンドは1990年9月以来、35年間にわたり同一のファンドマネージャー(ウィル・ダノフ氏)が運用を担当しました。
1990年9月に1万ドルを投資して分配金を再投資した場合、2025年6月末時点の評価額は96.8万ドルを超え、同期間のS&P500(約39.3万ドル)の約2.5倍のリターンを達成しています。
ただし、こうした傑出したファンドを事前に見つけ出すのは容易ではなく、過去の実績が将来の成果を保証するものでもない点には注意が必要です。
この記事のまとめ
この記事では、アクティブファンドの基本的な特徴やインデックスファンドとの違い、向いている人・向いていない人、選定時と保有後の確認ポイントを整理しました。重要なのは、期待リターンだけでなくコストや再現性、運用方針まで含めて判断することです。アクティブファンドを検討する際は、まず自分の投資目的とリスク許容度を確認し、迷いがある場合はインデックスファンドとの役割分担も含めて比較してみましょう。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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アクティブファンド
アクティブファンドとは、運用のプロであるファンドマネージャーが、市場の平均を上回るリターンを目指して積極的に銘柄を選んで運用するタイプの投資信託のことです。 具体的には、独自の分析や調査にもとづいて、将来性があると見込まれる企業や、割安と判断される株式などに投資を行います。こうした運用には高度な専門知識と時間が必要となるため、同じ投資信託でも市場平均への連動を目指す「パッシブファンド」より運用コスト(信託報酬など)が高めになる傾向があります。しかし、その分大きなリターンを狙える可能性もある点が魅力です。 ただし、アクティブファンドだからといって必ずしも市場平均を上回るとは限らないことに注意が必要です。投資判断がうまくいかなかった場合は、損失が出たり、パッシブファンドに劣る成績となったりすることもあります。 投資初心者の方は、ファンドマネージャーの運用実績やファンドの方針、運用コストなどをよく調べたうえで、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。購入前に「過去の運用成績」や「運用レポート」を確認し、アクティブファンドの特徴を理解してから投資を始めましょう。
バリュー投資
バリュー投資とは、本来の価値よりも株価が割安になっていると判断される企業に投資をする方法です。企業の財務状況や業績、将来性などをしっかりと分析し、その企業が持つ本来の価値に比べて株価が低いと考えられる場合に株を購入します。そして、時間の経過とともに株価が本来の価値に近づくことを期待して利益を得ようとする考え方です。市場の流れに左右されず、じっくりと資産を育てたい人に向いている投資手法です。
アウトパフォーム
アウトパフォームとは、特定の資産や投資対象が、比較対象となる市場指数やベンチマークとされる指標よりも高いリターンを上げることを指す。 例えば、投資信託が日経平均株価やS&P500といった指数よりも高いパフォーマンスを記録した場合、その投資信託はベンチマークをアウトパフォームしたと表現される。投資家やファンドマネージャーにとっては、市場全体の成長率を上回る成果を出すことが重要な目標となり、資産運用の評価基準の一つとして用いられる。





