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投資と投機の違いとは?株・FX・暗号資産の投機性やギャンブルとの違いを実例で徹底解説

投資と投機の違いとは?株・FX・暗号資産の投機性やギャンブルとの違いを実例で徹底解説

投資と投機の違いとは?株・FX・暗号資産の投機性やギャンブルとの違いを実例で徹底解説

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執筆者:

公開:

2023.04.02

更新:

2025.12.05

基礎知識ポートフォリオ運用リスク管理資産寿命

価格変動が激しい今の市場では、自分の行動が「投資」なのか「投機」なのか判断できず、不安を抱える人が増えています。短期売買やFX、暗号資産の取引では、仕組みを誤解したまま進めると過度なリスクを負いかねません。そこで本記事では、投資・投機・ギャンブルを目的・時間軸・期待値・判断根拠の4軸で比較し、株式・投信・FX・暗号資産・不動産の投機性を具体例で解説します。さらに、投機に陥る心理バイアスと回避策、初心者が安全に投資を始めるための基本ステップまで整理し、正しい判断につながる視点を提供します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、投資と投機、さらにはギャンブルがどのように異なるのかを、目的・時間軸・期待値・判断根拠の4軸で体系的に理解できます。株式・投信・FX・暗号資産・不動産といった主要資産が、どの場面で投機性を帯びるのかも具体的に把握できます。さらに、投機へ傾きやすい心理バイアスとその対処法を理解することで、自分の行動を冷静に見直し、安全な投資へ踏み出すための判断と行動が取れるようになります。

目次

「投資」とは?「投機」とは?まず定義を解説

投資とは:企業の価値に資金を投じ、長期で増やすこと

投機とは:市場の価格変動を利用し、短期で利益を狙うこと

投資と投機、4つの決定的違いを比較表で徹底解説

具体例で判別|あなたの行動は「投資」?「投機」?

株式・投資信託:長期保有とデイトレードの違い

「投機株」と呼ばれやすい銘柄と危険な取引

FX・先物取引:なぜ「投機的」と呼ばれるのか

株とFXの違い:投機的になりやすいのは?

暗号資産(仮想通貨):長期HODL(ガチホ)は投資か投機か

不動産・コモディティ:家賃収入(投資)と短期転売(投機)

投資の長所(複利効果・再現性)と短所(時間)

投資のメリット

投資のデメリット

投資を「まったくしない」場合のリスク

投機の長所(資金効率・機会)と短所(高リスク・再現性の低さ)

投機のメリット

投機のデメリット

借金投資が危険な理由と絶対的なルール

資産運用初心者の第一歩:まず「投資」から始めるべき理由

STEP1:目標と計画を明確にする

STEP2:リスク許容度を把握し、無理のない資金で始める

STEP3:基本的な知識を身につける

STEP4:まず「投資」から始め、経験を積む

STEP5:記録と振り返りを行う

「投機=ギャンブル」は本当?株はどっち?

「投機」と「ギャンブル」の決定的な違いとは?(期待値と胴元の有無)

「株式投資」は投機?やり方次第で両方の側面を持つ

「投機心」に注意。行動ファイナンスで学ぶ失敗回避術

初心者が陥りがちな5つの心理的ワナ(行動パターン)

心理のワナを克服する4つの対策

人は不合理なもの。感情と上手に付き合う

「投資」とは?「投機」とは?まず定義を解説

投資と投機は、どちらも利益を目指す行為ですが、その本質は異なります。ここでは、まず両者の言葉の定義を明確にします。投資が「価値」に注目するのに対し、投機が「価格変動」に注目する点を理解することが、資産運用を正しく使い分ける第一歩です。

投資とは:企業の価値に資金を投じ、長期で増やすこと

「投資」とは、将来的な利益を見込み、企業や資産の本質的な価値に注目して長期間保有することです。企業の業績や将来性などのファンダメンタルズを分析し、経済成長に伴う資産価値の増大(キャピタルゲイン)や、配当金・利息(インカムゲイン)を得ることを目指します。長期保有で得た収益を再投資する「複利効果」により安定的に資産を増やしやすいのが特徴です。社会の成長に貢献できる側面もありますが、預貯金と違い元本割れのリスクはゼロではありません。

投機とは:市場の価格変動を利用し、短期で利益を狙うこと

「投機」とは、市場価格の短期的な変動を利用して、売買を繰り返し差益(利ざや)を狙う行為です。投資のような中長期的な価値(ファンダメンタルズ)ではなく、チャートの動きや需給バランス(テクニカル要因)といった目先の価格変動そのものを利益源とします。FX(外国為替証拠金取引)や暗号資産のデイトレードが典型例です。短期間で大きな利益を得られる可能性がある反面、ハイリスク・ハイリターンであり、運やタイミングに左右される面も強いため、十分な知識なしに手を出すと大きな損失を被る可能性があります。

投機的取引の判断基準については以下Q&Aでも説明しています。

投資と投機、4つの決定的違いを比較表で徹底解説

投資と投機の違いを、「目的」「時間軸(投資期間)」「利益の根拠」「リスク管理」の4つの観点で比較します。両者は同じ金融市場での行為ですが、資金を拘束する期間やリスクへの向き合い方、戦略が根本的に異なります。以下の比較表で、その主要な違いを確認しましょう。

観点 (比較項目)投資投機
目的中長期的な資産形成・安定的な富の増加短期的な利益獲得(一攫千金も志向)
時間軸長期(数年〜十年以上のスパン)短期(数秒〜数週間程度、場合によって数ヶ月)
根拠(判断基準)資産の本質的価値・将来性に基づく判断(企業業績や経済成長などファンダメンタルズ重視)市場の需給や価格トレンドに基づく判断(チャート分析やニュース等、テクニカル重視)
リスク管理分散投資や長期保有によるリスク低減策を重視(リスクを抑え着実に増やす)ハイリスク・ハイリターンを許容(迅速な損切りやレバレッジ調整でリスクコントロール)

表の通り、投資は将来の資産価値の成長を目的に長期間資金を投じる手法であり、その判断根拠は企業や経済のファンダメンタルズにあります。リスク管理面では、複数の資産に分散して保有し、時間をかけてリスクを薄める戦略を取ります。

一方、投機は目先の利益を目的に短期間の価格変動を追う手法で、相場の動き自体に着目して売買を行います。リスク管理も短期勝負型で、損失を最小限に抑えるための素早い損切り(ロスカット)や、高いレバレッジ(証拠金取引の倍率)をかけすぎないよう調整するなど、積極的かつ瞬発的な対応が求められます。

両者を混同すると、自分の取るべき戦略を誤ったり適切なリスク管理ができなくなる恐れがあるため、まずはご自身の資産運用の目的が「着実な資産形成」なのか「短期の大きな利益」なのかを明確にすることが重要です。

具体例で判別|あなたの行動は「投資」?「投機」?

投資と投機の考え方の違いは、具体的な金融商品を扱う際にも表れます。同じ資産クラスでも運用の仕方によって投資にも投機にもなり得るため、まずは各資産の性質と、ご自身がどのような目的とスタンスで扱おうとしているかを意識することが肝要です。

例えば、「同じ株式でも長期保有とデイトレードでは全く別物」であり、「FXや暗号資産は基本的に短期勝負の世界」とみなされがちです。

以下では、これらの主要な例を挙げ、その違いを具体的に解説します。

株式・投資信託:長期保有とデイトレードの違い

株式(株式取引): 株式は典型的な投資対象ですが、その扱い方によって投資にも投機にもなります。企業の業績や配当などに注目し、数年〜十年以上保有して株主として利益を享受するのは「投資」に当たります。この場合、株価の一時的な変動に一喜一憂せず、長期的な企業価値の成長を目的にしています。

一方で、今日買った株を明日売るといった短期売買で値ざやを稼ぐ行為は「投機的な取引」と言えるでしょう。短期間では企業の本質的価値に大きな変化は起こらず、市場価格も企業の実際の利益増加を十分には反映しないため、短期の株取引は価格変動への投機とみなされます。したがって、株式取引は短期で行えば投機、長期で行えば投資になると考えられます。例えば、「成長が期待できる企業の株を10年間保有して配当と株価上昇益を得る」のは投資ですが、「決算発表で株価が跳ね上がるのを狙って直前に買い、すぐ売る」のは投機的手法です。

「投機株」と呼ばれやすい銘柄と危険な取引

株式市場において、企業の実力以上に「思惑」で価格が乱高下しやすいものを投機株と呼びます。主な特徴は以下の通りです。

  • 低位株・ボロ株:株価が極端に安く、少しの資金で価格が飛び跳ねやすい銘柄。
  • テーマ株・材料株:その時の流行や特定のニュースだけで過熱人気となる銘柄。
  • 仕手株(してかぶ):大口投資家(仕手筋)によって意図的に価格操作が行われている疑いのある銘柄。

また、決算発表の直前に一か八かで売買する「決算ギャンブル」や、株価が下がっているのに根拠なく買い増しを続ける「ナンピン買い」の乱用も、リスク管理を無視した投機的な取引パターンです。

仕手株については以下記事で詳しく解説しています。

FX・先物取引:なぜ「投機的」と呼ばれるのか

FX(外国為替証拠金取引): FX取引は一般に投機性が高い代表例です。異なる通貨ペアの為替レートの変動を利用して利益を狙うもので、その価格変動要因には各国の経済指標や金利差だけでなく、一時的な市場センチメントも強く影響します。個人のFX取引ではレバレッジ(てこの原理)を利かせて小さな証拠金で大きな金額を動かせるため、少ない元手で大きな利益を狙える反面、市場が逆に動いた場合には想定以上の損失を被るリスクがあります。実際、FXでは数円の為替変動で証拠金以上の損失が生じるケースもあり、短期勝負の色彩が強いです。

長期的に通貨を保有して金利収入(スワップポイント)を得るような運用も理論上は可能ですが、その場合でも為替レートの変動リスクは避けられません。よって、FXは一般的に短期売買=投機とみなされ、初心者が安易に大金を投じるのは危険な分野とされています。

株とFXの違い:投機的になりやすいのは?

株式投資とFX(外国為替証拠金取引)の最大の違いは、レバレッジと取引環境にあります。

  • レバレッジ(てこの原理):株式(現物)は等倍、信用取引でも約3倍までですが、FXは最大25倍もの資金を動かせます。
  • 取引時間:
    株式は平日の日中がメインですが、FXは平日24時間取引が可能です。

FXはハイレバレッジで常に取引できるため、株式に比べて短期的な投機売買に陥りやすい傾向があります。ただし、株式であっても流動性の低い小型株などは値動きが激しくなるため、注意が必要です。

暗号資産(仮想通貨):長期HODL(ガチホ)は投資か投機か

暗号資産(仮想通貨): ビットコインをはじめとする暗号資産も、そのボラティリティ(価格変動の大きさ)が極めて高いことから投機的取引の対象になりやすい資産です。暗号資産の価格は需給や市場心理によって乱高下しやすく、短期間で数十%価格が動くことも珍しくありません。したがって、暗号資産を短期トレードで利益確定していく手法は典型的な投機と言えます。

一方で、一部の投資家はビットコインなどを「デジタルゴールド」とみなして長期保有(HODL:ガチホ)し、将来的な価値上昇に賭けるケースもあります。この場合、本人は投資のつもりであっても、その価値の裏付け(根拠)が不確実で価格変動リスクが大きいため、実質的には非常に投機性の高い投資と位置づけられます。暗号資産は新興の資産クラスであり、長期的なファンダメンタルズ評価が難しいことから、初心者にはハードルが高い分野です。

不動産・コモディティ:家賃収入(投資)と短期転売(投機)

不動産: 不動産は投資と投機の両面を持ち得る典型例です。例えば、マンションやアパートを購入して家賃収入を得つつ長期保有するのは投資です。所有期間中に家賃というインカムゲインを得ながら、物件の価値が中長期で上昇すれば売却益(キャピタルゲイン)も期待できます。これはコツコツと資産を形成していく投資的なアプローチです。一方で、不動産を短期売買して差益だけを狙うやり方もあります。

例えば、「再開発で値上がりしそうな地域の物件を購入し、1年以内に転売して利益を得る」といった手法は投機的です。短期間で不動産価格が大きく変動するケースは限られますが、レバレッジを利かせて物件転売を繰り返すような手法は、ほぼ投機と同義と考えられます。不動産は流動性が低く取引コストも高いため、基本的には中長期保有の投資向きですが、バブル期の地上げや転売のように短期利益に特化した動きも歴史的に見られます。

投資の長所(複利効果・再現性)と短所(時間)

「投資」には、時間をかけて資産を増やす「複利効果」や、少額から始められるといった長所があります。一方で、利益が出るまでに時間がかかり、元本割れのリスクもゼロではないという短所も存在します。ここでは、投資のメリットとデメリットを中立的な視点で整理します。

投資のメリット

投資には、時間を味方につけて資産を増やす「複利効果」や、リスクを抑える「分散投資」など、長期的な資産形成に役立つ多くの利点があります。ここでは、投資が持つ主な4つのメリットを解説します。

メリット1:複利効果で資産が雪だるま式に増加

投資では得られた利益(利息や配当)を再投資することで、利益が利益を生む複利の効果を享受できます。長期運用になればなるほど複利により資産増加のスピードが加速し、時間をかけて大きなリターンを得られる点が大きなメリットです。若いうちから始めて長期運用するほど恩恵が大きくなります。

メリット2:少額からコツコツ始められる

投資というと大きな資金が必要なイメージがありますが、実際には少額から積み立て可能な金融商品も多数あります。投資信託の中には数百円〜数千円から購入できるものもあり、最近ではポイント投資など身近なお金で投資を始められるサービスも登場しています。このため、20代〜30代の初心者でも無理のない範囲でコツコツ資産運用をスタートできるのは投資の利点です。

メリット3:分散投資でリスク軽減

投資では投資先を分散させることで、一部の資産が値下がりしても他の資産でカバーし、全体の損失を抑えることが可能です。株式・債券・不動産・預金など複数の資産に資金を配分することでリスクを分散でき、特定の投資対象に集中しない分、値下がりリスクを軽減できます。長期投資の場合、時間の分散も効いて一時的な市場変動の影響を和らげることが期待できます。

メリット4:社会や経済の発展に貢献できる

前述の通り、投資は資金の出し手である投資家と資金を活用する企業・社会との間でWin-Winの関係を構築しやすい側面があります。自分の投資した企業が成長すれば自分も利益を得られ、同時にその企業が雇用を生み製品やサービスで社会に貢献するという好循環が生まれます。このような「経済に参加している」という実感を得られる点も、投資の持つポジティブな要素でしょう。

投資のデメリット

投資はメリットばかりではありません。利益を得るまでに時間がかかることや、預貯金と違って元本が保証されないリスクも存在します。メリットと同時に、これらのデメリット(注意点)もしっかり理解しておきましょう。

デメリット1:利益が出るまで時間がかかる

投資は基本的に長期戦であり、大きな利益が得られるまで相応の時間を要します。複利効果は長期でこそ威力を発揮しますが、裏を返せば短期間では大きなリターンは望みにくいということでもあります。「すぐにお金を増やしたい」という目的には向かず、忍耐強く待つ必要があるのがデメリットです。途中で投資をやめてしまうと複利の恩恵も十分に受けられません。

デメリット2:将来の予測が難しい

10年後、20年後に市場や企業がどうなっているかを正確に予測することは困難です。長期投資では将来の不確実性と向き合う必要があり、経済や企業の長期的な見通しを立てる難しさがデメリットとして挙げられます。予想に反して経済環境が悪化したり技術革新で業界構造が変化したりすると、当初の目論見通りにいかないリスクがあります。

デメリット3:流動性や資金拘束の問題

長期投資では資金を長期間拘束することになるため、急な資金需要が生じたときに対応しづらい場合があります。また、不動産のように売却に時間がかかる資産では現金化に時間を要する(流動性が低い)点もデメリットです。株式や投資信託でも、値下がりしている局面では含み損を抱えて売りにくくなり、自由に使えるお金が減る心理的負担もあります。

デメリット4:元本割れリスクがゼロではない

投資は預貯金と違い元本保証がありません。市場の変動により評価額が下がるリスクは常に存在し、最悪の場合投資元本を下回る損失が発生します。リスクが低めと言われる債券やインデックス投資であっても、経済危機などでは大幅下落することもあります。長期的には回復するケースが多いとはいえ、「投資=絶対安全」ではない点には注意が必要です。

投資を「まったくしない」場合のリスク

「投資は損をするのが怖い」と現金のまま保有し続けることにも、実はリスクが存在します。

まずは、インフレリスク(現金の価値減少)です。モノの値段が上がり続けると、現金の購買力は下がります。例えば年2%のインフレが10年続けば、今の100万円の実質価値は大きく目減りしてしまいます。

また機会損失も発生します。 過去のデータにおいて、長期的には預金よりも分散投資された株式の方が高いリターンを上げてきました。投資をしないことは、本来得られたはずの利益(資産の寿命)を自ら放棄していることにもつながります。

投機の長所(資金効率・機会)と短所(高リスク・再現性の低さ)

投機には、短期間で大きな利益を狙える「資金効率」や、相場状況を選ばない「機会の多さ」といった魅力的な長所があります。その一方で、大きな損失を被る「高リスク」や精神的な負担、再現性の低さといった深刻な短所も存在します。ここでは投機のメリット・デメリットを公平に解説します。

投機のメリット

投機の最大の魅力は、レバレッジなどを活用して短期間で大きなリターンを狙える点にあります。また、相場の上昇・下落に関わらず利益機会を見いだせる柔軟性も長所と言えるでしょう。主なメリットを4点紹介します。

メリット1:短期間で大きな利益を狙える

投機最大のメリットは、ごく短い期間で大きなリターンを上げられる可能性があることです。相場の波にうまく乗れれば、数日や数週間で資産を倍増させるようなケースも理論上は起こり得ます。レバレッジ取引では小さな元手で大きなポジションを取れるため、相場が思惑通り動けば短期で非常に高い運用効率を実現できます。例えば、ボラティリティの高い暗号資産をタイミング良く売買して大きな利益を得る、といったことも不可能ではありません。

メリット2:取引スタイルの柔軟性

投機的な取引を行う人(投機家)は、市場環境に合わせて売買手法を頻繁に変更したり、ノーポジション(資産非保有)で様子見するなど柔軟な対応が取りやすいです。投資のように「この銘柄を長く持ち続ける」と決め打ちせず、状況に応じて資金配分や取引対象を機動的に変更できます。例えば、株式市場が不安定なときは現金比率を高め、ボラティリティが高まったらデイトレードで勝負する、といった俊敏な立ち回りが可能です。戦略変更の自由度が高い点は投機の利点と言えます。

メリット3:市場のどんな局面でも利益追求できる

投機家は上昇相場でも下落相場でも利益機会を見出そうとします。空売り(ショートポジション)などを使えば相場の下落局面でも利益を上げられるため、投資では尻込みしがちな不況期や暴落局面でも果敢に参入して収益を狙えるのは強みです。市場が停滞してボラティリティさえあれば、方向性に関係なく利益のチャンスがあります。この相場状況に左右されにくい収益機会の多さも、投機型の手法のメリットの一つです。

メリット4:スリルと経験値

金銭的メリットとは別に、投機的トレードには相場の醍醐味を味わえるという側面もあります。短期売買ではリアルタイムで市場と対峙するスリルや達成感があり、それを通じて相場観やメンタルコントロールの経験を積むこともできます。これは資産形成の直接のメリットではありませんが、投機に魅力を感じる人がいる理由の一つでしょう。ただしスリルを求めすぎると冷静な判断を欠く恐れもあるため注意が必要です。

投機のデメリット

投機はハイリターンの反面、深刻なデメリットを伴います。特にレバレッジ取引では元本以上の損失を負う可能性があり、取引コストや精神的負担も大きくなります。投機に潜む主な4つのリスク(短所)を解説します。

デメリット1:損失が拡大しやすい

投機では大きな損失を被るリスクが常につきまといます。レバレッジ取引では相場が逆方向に動いた場合に損失も倍増し、元本以上の損失を負う可能性すらあります。また、短期勝負ゆえに一度の判断ミスが取り返しのつかないダメージとなることも少なくありません。「ハイリスク・ハイリターン」の裏返しであり、損失リスクの大きさは投機最大のデメリットです。特に経験の浅い人ほど損切りが遅れて損失が膨らむケースが多いため、リスク管理を徹底しない限り危険が大きいでしょう。

デメリット2:取引コストが高い

短期売買を繰り返す投機では、売買手数料やスプレッド(売買価格差)などの取引コストが積み重なりやすいです。頻繁にトレードするほど証券会社や取引所への手数料支払いが増え、利益を圧迫します。

さらに、短期売買を繰り返すと、売買手数料やスプレッドに加え、商品によっては税制面で長期投資より不利になるケースもあります(※上場株式などは保有期間にかかわらず一律の税率が適用されます)。

長期投資なら年に数回の売買で済むところ、デイトレードでは毎日のようにコストが発生するため、コスト負担が大きくリターンを削る点は無視できません。

デメリット3:常に市場を監視する精神的負担

投機的トレードを成功させるには、市場のちょっとした変動も見逃さず迅速に対応する必要があります。そのため相場を常時監視し続ける精神的ストレスが非常に大きいです。ポジションを持っている間は夜も気になって熟睡できなかったり、仕事中も価格チェックに気を取られるなど心理的な負荷がかかります。いつでもどこでも相場のことが頭から離れない状態は、メンタルヘルスを損ねたり日常生活に支障を来す恐れもあります。

デメリット4:安定性・再現性に欠ける

投機はうまくいけば大儲けできますが、それが長期的に安定して続けられる保証はありません。多くの投機的手法は運や偶然の要素に左右され、一度勝てても次も勝てるとは限らないものです。また、市場環境が変わればこれまで通用した手法が突然効かなくなることもあります。いわば再現性の低い利益であり、「たまたま今回うまくいっただけかもしれない」という不安が常につきまとう点もデメリットと言えるでしょう。安定した資産形成には不向きです。

借金投資が危険な理由と絶対的なルール

借入金を使った投資(レバレッジ投資)は、初心者には推奨されません。 自己資金以上の取引は、利益が出ればリターンも大きいですが、逆に**「損失も増幅される」**からです。

最悪のケースでは、暴落時に自己資金が消し飛ぶだけでなく、返済義務のある「借金」だけが残る可能性があります。そのため、投資の世界では「生活費や借金を使っての投資はNG」が鉄則です。 精神的にも余裕を持って判断できるよう、万が一失っても生活に支障のない「余剰資金」の範囲内で行うことが重要です。

資産運用初心者の第一歩:まず「投資」から始めるべき理由

資産運用初心者が投資や投機の世界に踏み出す際は、焦らず準備を整えることが肝心です。多くの場合、ハイリスクな投機よりも、長期的な資産形成を目指す「投資」から始めるのが現実的でしょう。

ここでは、初心者が最初の一歩として意識すべき「目標設定」「リスク管理」「勉強」「少額から実践」といった重要なポイントを、5つのステップで具体的に解説します。

投資に興味を持った初心者が何から手を付けるべきかは以下Q&Aでも説明しています。

STEP1:目標と計画を明確にする

まず、自分は「何のために資産運用をするのか」をはっきりさせましょう。将来の住宅資金づくりなのか、老後の蓄えなのか、それとも短期的なお小遣い稼ぎなのか──目的によって適した手法は変わります。

資産形成(長期の富の増加)が目的であれば投資的アプローチが基本になりますし、「一攫千金」が目的なら投機的手法も検討に入るかもしれません。しかし大半の初心者にとっては、まず長期的な資産形成を土台に据える方が現実的でしょう。その上で、何年後にいくら貯めたいかといった具体的な目標額や期間を決め、逆算して計画を立てます。

STEP2:リスク許容度を把握し、無理のない資金で始める

次に、自分が許容できるリスクの程度を考えます。仮に投資額が半分になっても生活に支障がないか、最悪ゼロになっても諦められる余裕資金はいくらか──そうしたリスク許容度を見極め、その範囲内で運用資金を用意しましょう。生活費や緊急予備資金まで投資に回すのは厳禁です。

初心者は特に、まず少額からスタートするのが鉄則です。例えば毎月1万円程度の積立投資から始め、慣れてきたら金額を増やすなど、段階的に進めましょう。少額でも長期では大きく育つ可能性がありますし、最初から大金を投じると心理的プレッシャーも大きいので避けるべきです。

リスク許容度の考え方については以下記事で詳しく解説しています。

STEP3:基本的な知識を身につける

実際に運用を始める前に、投資の基本知識をしっかり学びましょう。投資信託や株式・債券の仕組み、リスクとリターンの関係、分散投資の方法、そして投機的商品(FXや暗号資産など)の特性まで、一通り理解しておくことが大切です。

難しく感じるかもしれませんが、初心者向けの書籍やインターネットの解説記事、証券会社の入門セミナーなどを活用すれば体系的に学べます。「知らないものには手を出さない」が鉄則です。逆に、知識が身につけば漠然とした不安感も薄れ、リスクと上手に付き合えるようになります。

STEP4:まず「投資」から始め、経験を積む

初心者にはまず投資(長期運用)から始めることをおすすめします。長期投資向きの金融商品としては、分散の効いた投資信託(インデックスファンドなど)や債券、あるいは少額で複数銘柄に投資できる積立サービス等が挙げられます。これらは値動きが比較的マイルドで、長期的な資産形成に適しています。

最初は投資信託で毎月積み立てを行い、資産運用の習慣と相場感に慣れると良いでしょう。投機的な取引(例えばFXの短期売買など)は経験と知識が必要ですので、十分学んで少額で試し、リスクになじめるまではメインにしない方が無難です。

投資の種類や初心者へのおすすめの方法は以下記事で詳しく解説しています。

STEP5:記録と振り返りを行う

運用を始めたら、自分の取った行動や成績を記録し、定期的に振り返りましょう。なぜその投資をしたのか、結果どうなったのかをノートやアプリに記録することで、うまくいった点・失敗した点が見えてきます。

初心者は闇雲に売買しがちですが、振り返りによって徐々に自分なりのルールやスタイルが固まってきます。他人の投資法を鵜呑みにせず、経験から学んで改善を重ねる姿勢が大事です。

ポートフォリオ管理の重要性と資産管理アプリの活用法については以下記事で詳しく解説しています。

「投機=ギャンブル」は本当?株はどっち?

初心者の方が投資と投機について抱きやすい誤解や疑問をいくつか取り上げ、その真相を解説します。「投機はギャンブルと同じ?」「株式投資は結局投機なの?」といった典型的な疑問について、中立的な視点で整理してみましょう。

なお、資産運用とギャンブルは一緒なのでは?という疑問に対しては以下Q&Aでも説明しています。

「投機」と「ギャンブル」の決定的な違いとは?(期待値と胴元の有無)

投機とギャンブルは一攫千金を狙う点で似ていますが、厳密には異なります。最大の違いは、手数料を徴収する「胴元」が存在するかどうか、そして参加者全体の「期待値」がどうなるか、という点にあります。

違い1:ギャンブルは「胴元」が存在するマイナスサムゲーム

ギャンブルとは、主催者である「胴元」が存在し、参加者は胴元に手数料(控除率)を差し引かれた残りのお金を奪い合う仕組みです。公営競技やカジノのように運営側が必ず利益を得るため、参加者全体で見ると期待値は必ずマイナスになります。

違い2:投機は「市場参加者」とのゼロサム(またはプラスサム)

投機は金融市場での売買であり、公営ギャンブルのように控除率を設定する「胴元」がいるゲームではありません。もちろん証券会社や取引所に手数料は支払いますが、その構造はギャンブルとは異なります。市場参加者同士で利益を奪い合うため、短期ではゼロサムゲーム(誰かの利益は誰かの損失)の側面が強いです。

しかし、経済成長に伴い市場全体が成長すれば、長期的にはプラスサム(参加者全体が利益を得る)になる可能性も秘めています。ギャンブルほど機械的に「やれば損をする」ものではなく、知識や分析によって勝率を上げる余地があるのが投機です。

「投機=ギャンブル」は誤解。ただし注意は必要

「投機=ギャンブル」と単純に決めつけるのは誤解です。

ただし、投機も短期では運に左右される面が大きく、ギャンブル的な「マネーゲーム」の様相を帯びることは事実です。初心者が十分な知識やリスク管理なしに安易に手を出すと、ギャンブルと同じく負け越す結果になりかねない点には注意が必要です。

「株式投資」は投機?やり方次第で両方の側面を持つ

株式は典型的な投資対象ですが、その扱い方次第で投資にも投機にもなります。「株はギャンブルだ」と誤解されがちですが、実態は「長期なら投資、短期なら投機」と考えるのが適切です。

「投資」となる株式の扱い方(長期・価値重視)

株式を長期保有し、企業の成長に伴う配当金や株価上昇(価値の向上)を狙う行為は「投資」です。これは、株主として会社の経営成果の果実を受け取るイメージであり、社会貢献にもつながる堅実な資産形成手段と言えます。

「投機」となる株式の扱い方(短期・価格変動重視)

一方、今日買って明日売るような短期売買で、値上がり益だけを狙う行為は「投機」です。短期間では企業の本質的価値(収益力)はほとんど変わらず、その時点の需給や市場心理といった一時的な要因で動く「価格変動」に賭ける行為だからです。

株式自体ではなく「取引のやり方」で決まる

まとめると「株式そのもの」は投資対象ですが、「株式の取引」は投資的にも投機的にもなり得るということです。世間で「株はギャンブル」と言われるのは、デイトレードなど投機的な側面だけを見ているケースが多いでしょう。

「投機心」に注意。行動ファイナンスで学ぶ失敗回避術

人間は必ずしも合理的ではなく、心理的な偏りや感情によって非合理な投資判断をしがちです。この心理要因を研究するのが「行動ファイナンス」です。ここでは、初心者が陥りがちな失敗パターン(心理バイアス)と、その回避策を解説します。

初心者が陥りがちな5つの心理的ワナ(行動パターン)

投資で失敗する典型的なパターンは、心理バイアスと深く関係しています。代表的な「損失回避性」や「群集心理」が引き起こす、初心者が陥りやすい5つの行動パターンを解説します。

ワナ1:損切りできず塩漬け(損失回避性)

含み損を抱えたまま損切り(ロスカット)を先延ばしにし、長期間「塩漬け」にしてしまう失敗です。これは「損失を確定したくない」という心理(損失回避性)によるものです。人は利益の喜びより損失の痛みを強く感じるため、売却の決断ができず、結果として損失が拡大する悪循環に陥ります。

ワナ2:早まった利確(利益の取り急ぎ)

ワナ1とは逆に、利益が出ているとすぐに確定(利確)したくなるのも典型的な失敗です。「せっかくの利益を失いたくない」という心理(損失回避性)が働き、本来ならまだ伸びるはずの利益の芽を早めに摘んでしまい、トータルのリターンを押し下げます。

ワナ3:短期変動による感情的売買

相場の一時的な上下に心を乱され、感情的な売買(パニック売り・熱狂買い)に走るケースです。恐怖や欲望、あるいは「他人が売っているから」といった群集心理に流され、冷静さを欠いた行動をとることで、高値掴みや安値での狼狽売りにつながります。

ワナ4:情報過信・うのみによる判断ミス

SNSや知人の噂話を鵜呑みにし、十分検証せずに飛び乗る失敗です。背景にはFOMO(乗り遅れたくない恐怖)や確証バイアス(自分に都合のいい情報だけ信じる)といった心理があります。流行りものへの投資は高値掴みになりがちで、他人の成功談だけを信じる過剰な自信も危険です。

ワナ5:目的と手段のミスマッチ

自分の運用目的を明確にせず、合わない金融商品を選んでしまう失敗です。例えば、安全志向なのにハイリスクな投機商品に手を出したり、逆に積極的なのに預金同然の商品で時間を浪費したりするケースです。目的設定や自己分析の不足が原因で、「思っていたのと違う」と途中で投げ出すことにつながります。

心理のワナを克服する4つの対策

これらの失敗は、人間が損失を極端に嫌ったり、集団に流されたりする普遍的な心理傾向によるものです。まず「自分もそうした心理のワナに陥り得る」と自覚することが重要です。その上で、具体的な4つの回避策を解説します。

対策1:ルールを決めて機械的に実行する

感情に左右されないために、あらかじめ売買ルールを決め、機械的に実行することが有効です。例えば「〇%下落したら損切り」「資産の△%以上は一つの銘柄に投資しない」といったルールを明確にし、感情的な判断ミスを防ぎます。

対策2:長期目線を常に思い出す

短期の値動きはノイズと捉え、長期的な視野を持つことが大切です。短期の変動に心を乱されそうになったら、「自分は〇年後を見据えている」と原点に立ち返り、不要な売買を避けましょう。メディアの煽りや他人の損益自慢を避け、自分の計画に集中します。

対策3:第三者の知恵や仕組みを利用する

自分一人で感情を制御できない場合は、専門家など信頼できる第三者に相談するのも手です。また、「自動積立」のように強制力のある仕組みを利用するのも有効です。積立なら下落時に「怖くて買えない」という感情的な失敗を防げます。「自分を縛る仕組み」を工夫しましょう。

対策4:小さな失敗を経験として活かす

最初から完璧を目指さず、少額で投資や投機を試してみましょう。多少の失敗は避けられないものと割り切り、「小さく失敗して大きな教訓を得る」ことが重要です。損失を被ったら必ず「なぜそうなったか」を分析・記録し、同じ失敗を繰り返さないよう次に活かします。

人は不合理なもの。感情と上手に付き合う

「人は不合理な行動をしてしまう」という前提に立ち、自分自身をコントロールする術を身につけることが、資産運用を長く続ける鍵です。感情に振り回されず、あらかじめ決めた計画とルールに従って一歩一歩着実に進むことで、投資の本来の力を発揮できるでしょう。

なお、お金を増やすためには投機ではなく投資をする必要があります。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。

この記事のまとめ

この記事では、投資・投機・ギャンブルの違いを4つの軸で整理し、株式・投信・FX・暗号資産・不動産がどのように投機的になり得るかを学びました。また、心理バイアスが判断を狂わせる仕組みと、その回避策、初心者が堅実に投資を始める基本ステップも確認しました。次のステップとして、まずは自分の取引目的や時間軸を言語化し、必要であればリスクを抑えた積立投資への切り替えを検討しましょう。不安が残る場合は「投資のコンシェルジュ」の無料相談をご利用ください。適切な判断をサポートいたします。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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投機

投機とは、将来の価格の変動を予測して利益を得ようとする行為のことを指します。価格が大きく動くことを期待して、短期間で売買を繰り返すのが特徴です。たとえば、株や仮想通貨などが値上がりすると思って買い、実際に値上がりした後にすぐ売って差額の利益を得ようとするような取引が該当します。投資との違いは、企業の成長や価値に注目するのではなく、あくまで値動きそのものを重視して利益を狙う点です。成功すれば短期間で大きな利益を得られることもありますが、反対に損失を被るリスクも高く、初心者には注意が必要なスタイルです。

積立投資

積立投資とは、一定のサイクル(例:毎月や毎週など)で、あらかじめ決めた金額ずつ同じ銘柄や投資信託などを購入していく投資手法です。 この方法は、一度にまとまった資金を投じる「一括投資」とは異なり、少額から始められるのが特徴です。また、購入時期を複数回に分散できるため、相場が高いタイミングで一度に大量購入してしまうリスク(いわゆる高値づかみ)を抑えられると期待されています。 具体的には、「相場が下がったときはより多くの口数や株数を買える」「相場が高いときは割高な投資を抑えられる」という形で、平均取得単価が平準化される効果があります。この仕組みは英語で「ドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)」とも呼ばれ、特に長期運用を考えている初心者からベテランまで、多くの投資家が活用している戦略です。 ただし、積立投資を行ったからといって必ずリスクが軽減されるわけではなく、投資対象自体の価格が大きく下落した場合には損失が出る可能性もあります。したがって、積立する商品や期間、目標リスクなどをしっかり考えたうえで、自分の資産配分に合った方法を選ぶことが大切です。

インカムゲイン(インカム)

インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。

ファンダメンタルズ

ファンダメンタルズとは、企業や経済全体の「基礎的な要素」や「本質的な価値」に関わる情報のことを指します。企業であれば、売上や利益、資産、負債、業界内での競争力などが含まれ、経済であればGDP、失業率、金利、物価などが該当します。投資の世界では、これらの情報をもとに企業の実力や今後の成長性を見極めて、株価が割安か割高かを判断するために使われます。株式を長期で保有する投資家にとっては、このファンダメンタルズ分析がとても重要な視点となります。一方で、短期的な値動きを重視する人は、テクニカル分析と呼ばれる別の視点を使うことが多いです。

キャピタルゲイン(売却益/譲渡所得)

キャピタルゲインとは、株式や不動産、投資信託などの資産を購入した価格よりも高く売却したことによって得られる利益のことです。一般的な経済用語としては「売却益」と呼ばれ、資産運用における収益のひとつとして広く使われています。日本の税法においては、このキャピタルゲインは「譲渡所得」として分類され、確定申告などで所得として扱われます。つまり、経済的な意味ではキャピタルゲインと譲渡所得は同様の概念を指しますが、前者が広義の利益、後者が課税対象としての所得という違いがあります。投資の成果を判断したり、税金を計算したりするうえで、両者の使われ方を正しく理解することが大切です。

複利効果

複利効果とは、投資で得られた利益を元本に組み入れて再び運用することにより、利益が利益を生むという仕組みのことを指します。たとえば、最初に100万円を年利5%で運用した場合、1年後には105万円になりますが、その翌年は105万円に対して5%の利息がつくため、さらに増えた金額に利息が上乗せされていきます。このように、運用期間が長くなるほど利益が加速度的に増えていくのが複利効果の特徴です。特に配当再投資や自動積立投資との組み合わせによって、この効果はより強く現れます。短期間では実感しにくいかもしれませんが、10年、20年といった長期で見ると、元本だけで運用する単利に比べて、はるかに大きな資産形成が可能になります。複利効果は「時間を味方につける」資産運用の基本的な考え方として、投資初心者にとっても非常に重要です。

デイトレード

デイトレードとは、株式や為替などの金融商品を1日のうちに売買して利益を得ようとする投資手法のことをいいます。朝に買った銘柄をその日のうちに売るなど、取引をその日の間に完結させるのが特徴です。 値動きの小さな差を狙って頻繁に売買を行うため、相場の変化にすばやく対応できる判断力や経験が求められます。長期的な成長を狙う投資とは異なり、短期間での利益を目指すため、リスクも高くなりがちです。そのため、初心者の方には注意が必要で、まずは相場の仕組みをよく理解したうえで取り組むことが大切です。

チャート分析

チャート分析とは、株価や為替、商品などの過去の価格変動をグラフ(チャート)で視覚的にとらえ、今後の値動きを予測しようとする投資手法です。 これは「テクニカル分析」とも呼ばれ、主に売買タイミングを判断する目的で用いられます。投資家はローソク足や移動平均線、出来高、トレンドライン、各種テクニカル指標などを用いて、相場の流れや反転の兆しを読み取ろうとします。 たとえば、過去に何度も価格が止まった水準(サポートラインやレジスタンスライン)を確認することで、今後の値動きの目安としたり、移動平均線との位置関係から売買のタイミングを判断したりすることが一般的です。ファンダメンタルズ(企業業績や経済指標)を使わずに、価格と取引量のパターンのみをもとに予測する点が特徴です。 チャート分析は、短期売買(トレード)を行う投資家に特に好まれますが、長期投資においてもエントリーや利益確定の判断に活用されることがあります。視覚的で直感的に相場を理解しやすいため、初心者でも比較的取り組みやすい分析方法のひとつです。

需給バランス

需給バランスとは、株式市場における需要(買い注文)と供給(売り注文)の均衡状態を指します。需給バランスが崩れると、株価の変動要因となります。例えば、買い注文が多ければ株価は上昇し、売り注文が多ければ株価は下落します。

テクニカル分析

テクニカル分析とは、過去の株価や出来高などの市場データをもとに、今後の値動きを予測しようとする投資手法のことです。ニュースや企業の業績などの情報を重視する「ファンダメンタル分析」とは異なり、チャートや数値パターンに注目して売買のタイミングを見極めます。 たとえば、移動平均線やローソク足、RSIやMACDといった指標がよく使われます。テクニカル分析は、短期的な売買やタイミング投資に強みがあり、特にデイトレードやスイングトレードを行う投資家に重宝されています。ただし、未来の値動きを確実に当てられるわけではないため、リスク管理や他の情報との併用が重要です。資産運用を始めるうえで、チャートを読む力は判断材料のひとつとして有用なスキルです。

外国為替取引(FX)

外国為替取引(FX)とは、異なる国の通貨を売買し、為替レートの変動によって利益を狙う取引のことです。個人投資家でも少額から取引可能で、レバレッジを活用して大きな取引ができる点が特徴です。

暗号資産(仮想通貨/暗号通貨)

暗号資産とは、インターネット上でやり取りされるデジタルな財産のことで、代表的な例にビットコインやイーサリアムがあります。これらはブロックチェーンという分散型台帳技術を基盤とし、国家や中央銀行といった特定の管理主体を持たずに取引されるのが特徴です。 日本では「暗号資産」という名称が資金決済法上の正式な用語として定義されており、これに該当するトークンは法的に一定の規制下に置かれています。たとえば、暗号資産交換業者には登録制が課され、ユーザー保護やマネーロンダリング防止の観点からの監督も強化されています。 資産としての取り扱いについては、税務上は原則「雑所得」として扱われ、短期売買による利益も総合課税の対象となります。また、会計上は現金や有価証券ではなく、「その他の資産」として分類されるのが一般的です。 現在では、決済手段や資金移動のほか、価格変動を狙った投資対象としての側面が大きく、資産運用の一選択肢として注目を集めています。しかしその一方で、価格の急激な変動、ハッキング、保管の難しさといったリスクも内在しており、法律・税務・セキュリティの観点から十分な知識と準備が求められます。

ボラティリティ

ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

レバレッジ

レバレッジとは、借入金や証拠金取引など外部資金を活用して自己資本以上の投資規模を実現する手法です。利益の拡大が期待できる一方、市場の下落や金利の変動で損失が膨らみやすく、追加証拠金(追証)が必要になる場合やロスカットが発生するリスクも高まります。 また、借入金利や手数料などのコストが利益を圧迫する可能性があるため、ポジション管理やヘッジ手法を含めたリスク管理が不可欠です。レバレッジによる損益変動幅が大きくなることで精神的な負担も増えやすい点にも注意が必要です。最終的には、投資目的やリスク許容度を考慮し、適切なレバレッジ水準を設定することで、資産運用の効率を高めつつリスクを抑えることが重要となります。

ゼロサム

ゼロサムとは、ある人の利益が、別の人の損失によって成り立っている関係のことを指します。つまり、参加者全体の利益と損失を合計すると常にゼロになるという構造です。たとえば、先物取引やFXなどの一部の金融取引では、一方が儲かればもう一方がその分損をする仕組みになっており、これが典型的なゼロサムの例です。ゼロサムの世界では、他者に勝つことが自分の利益になるため、参加者同士の利害が対立する傾向があります。 一方、株式投資のように企業の成長によって全体の利益が増える可能性がある市場は「プラスサム」と呼ばれ、ゼロサムとは異なります。資産運用においては、自分が取り組む市場がゼロサムかどうかを理解することが、リスクと期待リターンの見極めに役立ちます。

プラスサム

プラスサムとは、経済活動や取引において、関係者全員が利益を得ることができる状態を指す言葉です。たとえば、ある投資によって企業が成長し、投資家はリターンを得て、従業員の雇用や報酬も増えるといったように、参加者が全員「得をする」状況がプラスサムです。これは、誰かの得が誰かの損につながる「ゼロサム」とは対照的な考え方です。 資産運用の世界では、長期的な経済成長や技術革新、人口増加などを背景に、市場全体の価値が高まることで、投資家全体が利益を享受できるという意味で、プラスサム的な側面があるとされます。特に、分散投資やインデックス投資などは、こうした全体の成長を取り込むことを目指す投資手法です。

期待値

期待値とは、将来的に得られる可能性のある金額の平均的な値を示す考え方です。たとえば、ある投資の結果が複数のパターンで分かれていて、それぞれの結果が起きる確率がわかっている場合、それぞれの結果にその確率をかけて合計したものが期待値になります。 これは、「運がよければこうなる」ではなく、「長い目で見れば平均的にこうなる」という考えに基づいています。投資判断においては、一度きりの結果ではなく、何度も同じ選択を繰り返したときの平均的な利益や損失を見積もるために用いられます。ただし、期待値が高いからといって必ずしも良い投資とは限らず、リスクも一緒に考えることが大切です。

空売り

空売りとは、信用取引の1つで、株を借りて行う取引手法のこと。借りた株式を売却し、売却額より低い価格で買い戻すことにより利益を狙う手法である。 現物取引とは異なり、株価の下落局面で利益を狙うことができる。他にもすでに所有している現物株式のリスクヘッジになる点もメリットとして挙げられる。 デメリットとしては株価の上昇幅には上限がないことから損失が無限に膨らむ可能性がある、手数料をはじめとした費用がかかる点が挙げられる。

損切り(ロスカット)

損切り(ロスカット)とは、投資で保有している資産の価格が下がり、これ以上損失を広げないために、その資産をあえて売却して損失を確定させる行為のことをいいます。多くの投資家は、含み損の状態で損を確定させることに心理的な抵抗を感じますが、損切りをしないまま価格がさらに下がると、より大きな損失につながる可能性があります。そのため、あらかじめ損失の許容範囲を決めておき、一定の価格に達したら機械的に売る「ルールとしての損切り」が資産を守る手段として重要です。また、FXや信用取引では、証拠金維持のために強制的にロスカットが行われることもあります。損切りは投資のリスク管理の基本のひとつです。

FOMO (Fear Of Missing Out)

FOMOとは、「取り残されることへの恐怖」という意味で、投資の世界では価格が急上昇している資産を見て、「このまま乗り遅れたら損をするのではないか」と感じて焦って投資してしまう心理状態を指します。 この感情に駆られて冷静な判断を欠いた結果、過熱した相場のピークで買ってしまい、後から損失を被るケースが多くあります。特に仮想通貨や株式市場で急騰している銘柄に対して見られやすく、SNSなどの情報に影響されて起こることもあります。FOMOは投資判断において注意すべき感情の一つであり、感情に流されず、自分なりの投資基準やリスク管理を持つことが大切です。

確証バイアス

確証バイアスとは、自分がすでに信じている考えや仮説を支持する情報ばかりを重視し、それに反する情報を無視したり軽視したりする心理的傾向のことです。資産運用においては、ある銘柄が将来上がると信じていると、その見方を裏付けるニュースや意見ばかりを集めてしまい、逆のリスク要因や否定的な情報には目を向けなくなるケースがあります。 これにより、判断の偏りが生じ、冷静で客観的な投資判断を妨げてしまうことがあります。特にSNSや動画サイトなど、自分に都合の良い情報だけが表示されやすい環境では、このバイアスが強まりやすくなります。資産運用では、異なる意見や反対の視点にも耳を傾ける姿勢を持つことが、確証バイアスを避けるために重要です。

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