
老後を意識した資産運用は「投機」ではなく「投資」を意識しよう
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執筆者:
公開:
2023.04.02
更新:
2025.03.13
「投資」とは
皆さんは「投資」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
上場企業の株式を購入し、株価が上昇したタイミングで売却することで利益を確保するといったイメージや、仮想通貨を購入して一気に価格が数倍にも膨らみ、巨額の利益を獲得するといったようなシーンを想像するかもしれません。「投資」のイメージをより膨らませるために株式投資の例で考えてみましょう。
「株価」はどうやって決まるのか
企業の価値(時価総額)は、理論的には「ある企業が将来稼ぎ出すであろう収益の総額を現在価値に割り引いたもの」であると考えることができます。中長期で考えると企業の株価は企業の業績によって決まります。
参考記事:企業の株価を算定するDCF法とは?
ところが、実際の株価を見てみると短時間で株価が変動しています。実際の株価は需要と供給によって決定されることからこのような変動が起きてしまいます。株価が下がっているタイミングで購入をして、値上がりしたタイミングで売却をすることができると企業の業績が向上しなくても利益を得ることができます。
「投機」と「投資」の違い
このように需要と供給の関係から日々の値上がり、値下がりを予想して利益を獲得することを「投機」と定義します。投機で利益を確保するためにはチャートと呼ばれる株価の時系列での推移を確認しながら短期での変動を予想しながら売買をすることが必要になります。
一方で投資とは中長期で株式を購入した会社の「収益力」が向上することで中長期で株価が上昇することを期待して株式を購入することを指します。
「投機」ではなく「投資」を目指そう
個人で資産運用をする際には、我々は「投機」ではなく「投資」で利益を得ることをお勧めします。そうすると投資期間は必然的に中長期で考えることが必要になります。「投機」で利益を得ることも理屈上は当然可能ですし、実際に毎日頻繁に取引をすることで利益を確定している人達も多く存在します。
但し、秒単位で変化する株価チャートを眺めることは莫大の時間を要し、仕事と両立しながら取引を継続していくことは現実問題としては難しいです。更にこのような投機的取引にはプロのトレーダー達が自動プログラミングを作成し取引をしているのが現状です。そのような中で一般個人の方が利益を確保するのはかなり難易度が高くなってしまいます。
以上の理由から我々は個人で資産運用を検討している方々には「投機」ではなく「投資」をお勧めします。更に、株式以外にも債券や不動産など幅広い金融商品を組み合わせながら運用をすることをお勧めします。そうすることで単一商品で運用する場合と比較してリスクを分散させることができ、安定した投資収益を追求することが可能です。
このように色々な金融商品に分散させて運用することをポートフォリオ運用と言いますが、その詳細に関してはまた別の記事で解説します。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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インカムゲイン(インカム)
インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。