
資産クラスとは?初心者向けに種類・特徴・配分の基本をやさしく解説
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執筆者:
公開:
2023.04.02
更新:
2025.04.23
「投資に興味はあるけれど、何から始めていいかわからない…」そんな不安を抱えている方にこそ知ってほしいのが「資産クラス」の考え方です。資産クラスとは、投資先を種類ごとに分けて理解するシンプルな分類法で、リスクを抑えながら運用を考える第一歩になります。この記事では、代表的な資産クラスの特徴や活用法、初心者にもできる資産配分の考え方までを、やさしく丁寧に解説します。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むことで、これまで「なんとなく難しそう」と感じていた資産運用が、グッと身近に感じられるようになります。資産クラスという考え方を知ることで、「株式って怖い?」といった漠然とした不安が、「なるほど、これはこういう役割なんだ」とクリアになり、自分に合った資産の選び方がわかるようになります。また、分散投資の重要性や、資産配分の基本ステップも学べるため、投資初心者でも安心して“最初の一歩”を踏み出せるようになります。「まずはこれだけ押さえておけばいい」という安心感が得られ、自信を持って次の行動に進むための土台が整います。
資産クラス(アセットクラス)とは何か
「資産運用に興味はあるけれど、どこから考えればいいのかわからない…」 そんな方にとって出発点となるのが、資産クラス(アセットクラス)という考え方です。
資産クラスとは、「値動きが似ている資産のグループ」のことです。たとえば、株は株同士で似た動きをし、債券は債券でまた違う動きをします。こうした種類ごとに分けた「分類」を資産クラスと呼びます。
たとえば、株式・債券・不動産・金などのコモディティ・現金などは、いずれも異なる特性を持つ資産クラスです。
それぞれの資産クラスがどのような値動きをし、どんな役割を果たすかを知ることで、「何に、どのくらい投資するか」=資産配分(アセットアロケーション)の考え方がぐっと明確になります。
資産クラスの定義
金融商品との違いにも注意 資産クラス(アセットクラス)は、収益の得られ方やリスクの傾向が共通している資産のグループを意味します。以下が代表的な分類です。
資産クラス | 主な特徴 |
---|---|
株式 | 企業の成長に投資。高リスク・高リターン |
債券 | 国や企業にお金を貸して利息を得る。比較的安定 |
不動産(REIT含む) | 賃料収入や資産価値の上昇益を狙う。インフレに強い |
コモディティ | 金や原油などの資源。インフレヘッジに使えるが変動は大きい |
現金・短期資産 | 流動性が高く元本が減りにくいが、リターンはほぼゼロ |
代替資産 | 暗号資産やヘッジファンドなど。ハイリスクだが新しい可能性もある |
投資信託・ETFは資産クラスではない
投資初心者の方がよく混同してしまうのが、「資産クラス」と「投資信託」などの金融商品そのものとの違いです。
たとえば、投資信託はあくまで「商品」です。 その中に何の資産クラスが、どれくらいの比率で含まれているかによって、実際のリスクやリターンが決まります。
例えるなら、資産クラスは「素材(米・肉・野菜)」、金融商品は「料理(カレー・丼・弁当)」です。
資産運用では、料理の見た目に惑わされず、中にどんな素材=資産クラスが使われているかを見ることが大切です。
資産クラスを知るメリットとは?
資産クラスの理解は、資産運用の“設計図”を描くうえでの基礎となります。 具体的には、次のようなメリットがあります。
分散投資でリスクを抑えられる
資産クラスごとに値動きの傾向が異なるため、複数のクラスを組み合わせることでリスクを分散できます。たとえば株式が値下がりしても、債券や不動産といった他の資産が値動きを補えば、全体としての資産の増減幅を抑えられます。
自分に合った資産配分がしやすくなる
「目的に合った資産配分を組む」ためには、それぞれの資産クラスの役割や特性を理解しておくことが不可欠です。投資期間やリスク許容度に応じて、自分に最適な配分が見えてきます。
商品選びに納得感が出る
見た目や流行に惑わされず、「中身」に着目して商品を比較・選択できるようになります。結果として、投資信託やETFの選定でも、軸のある判断ができるようになります。
資産クラスを知ることは、単なる分類の理解にとどまりません。 将来に向けた資産形成を考えるうえで、自分らしい投資方針を築く出発点となる、大切な知識です。
主な資産クラスの種類と特徴(比較表+解説)
ここでは代表的な資産クラスを一覧にし、その特徴を比較します。資産クラスごとにリスク(価格変動の大きさ)とリターン(期待収益)の傾向、および典型的な特徴をまとめました。初心者の方は、この表を参考に各資産クラスの性質を把握してみてください。
ただし、あくまでも一般的な傾向を示したものであり、実際のリスクやリターンは市場状況によって変動します。
また、株式や債券は「国内」「外国」など投資対象地域でも分類されます。初心者のうちは、まず株式・債券・現金といった基本的な資産クラスに焦点を当てると理解しやすいでしょう。
資産クラス | 代表的な投資対象 | 年率リスク(参考) | 期待リターン(参考) | 主な特徴・役割 |
---|---|---|---|---|
株式(国内・外国) | トヨタ、Apple、株式インデックスファンド など | 15〜25% | 5〜8% | 高リスク・高リターン。インフレに強く長期成長が期待できる |
債券(国債・社債) | 日本国債、米国債、社債ファンド など | 3〜8% | 1〜3% | 価格変動が小さく利息収入が中心。株式と逆相関になりやすい |
不動産(REIT) | J‑REIT、米国REIT など | 10〜20% | 4〜6% | 賃料収入と物件価値上昇益。インフレ耐性がある実物資産 |
コモディティ | 金、原油、商品ETF など | 20〜30% | 0〜5% | インフレヘッジ手段。配当や利息はなく値上がり益が収益源 |
現金・短期資産 | 普通預金、定期預金 など | 0% | 0〜0.1% | 元本が減らず流動性が高い。インフレで実質価値が目減り |
代替資産 | 暗号資産、ヘッジファンド など | 30%以上 | 不確定 | 価格変動が激しい新興クラス。全体の 10%以内が目安 |
株式:高リターンだが変動幅大
企業の成長をダイレクトに享受できる一方、景気後退や業績悪化で値下がりも大きい資産。長期保有でリスクを慣らすのが基本です。
債券:価格安定と利息収入
国や企業への貸付けで定期利息を受け取る仕組み。価格変動は小さく、株式と逆方向に動きやすいためポートフォリオの緩衝材になります。
不動産(REIT):インフレ耐性と賃料収入
オフィスや住宅など実物不動産に投資し、賃料と物件値上がり益を得る。物価上昇局面で家賃が上がりやすく、インフレヘッジ効果があります。
コモディティ:インフレヘッジと価格変動
金・原油・農産物などの実物資産。インフレ期に価値が上がる傾向があるものの、需給や地政学リスクで価格変動が激しいうえ、利息・配当がない点に注意が必要です。
現金・短期資産:安全性と機動性
元本割れせず、いつでも引き出せる最も安全な資産。ただし超低金利下では実質リターンがマイナスになる恐れがあるため、過度な比率は機会損失につながります。
代替資産:暗号資産など新興クラス
ビットコインなど値動きが極端な資産群。ハイリスク・高潜在リターンの“スパイス”として、ポートフォリオ全体の10%以内を上限目安に取り入れるのが無難です。
資産クラスを意識すべき理由【分散の効果】
資産クラスを意識する最大の理由は、「リスク分散」によってポートフォリオ全体の値動きを安定させることにあります。投資の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」という格言がありますが、これは特定の資産クラスに集中投資した場合、その資産が不調に陥ると損失が大きくなりやすいという教訓です。
異なる資産クラスに分散して投資すれば、一部の資産が値下がりしても、他の資産がそれを補うことで、全体のブレを抑える効果が期待できます。たとえば、株式と債券は一般に値動きの方向が異なる傾向があり、株式市場が不調な局面では、安全資産とされる債券が安定した動きを示すことが多くなります。その結果、両者を組み合わせたポートフォリオは、株式だけに比べてリスクを抑えつつ、安定したリターンを目指せます。
実際、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のシミュレーションでは、国内外の株式と債券を25%ずつ均等に組み合わせた「4資産分散ポートフォリオ」は、毎年トップのリターンを記録することはないものの、最下位にも一度もならず、常に中位以上の安定した成績を維持しています。
たとえば、2006年から2025年までの各年における主要資産クラス(国内株式、外国株式、国内債券、外国債券)のリターン順位を比較した結果では、4資産分散ポートフォリオの順位は常に安定しており、大きく崩れることがありません。こうした分散投資の効果により、極端なマイナス成績を回避しつつ、長期的には堅実な資産運用が可能になるのです。
初心者でも取り入れやすい資産配分の考え方
資産クラスの重要性を理解したら、次はそれを踏まえて資産配分(アセットアロケーション)を考えましょう。資産配分とは、手持ちの資金をどの資産クラスに何割ずつ配分するかを決めることです。適切な資産配分は、あなたの投資目的やリスク許容度によって大きく異なりますが、初心者にも取り入れやすい基本的な考え方と手順があります。
STEP1:投資の目的と期間を明確にする
まず最初に、「何のために、いつまでに、どれくらいの資産を築きたいのか」という目的と投資期間を明確にしましょう。これが曖昧なままでは、適切なリスクの取り方や商品選びができません。
例:
- 30年後の老後資金を形成したい
- 5年後に住宅の頭金を準備したい
- 子どもの教育費を10年かけて積み立てたい
目的と期間が明確になることで、リスクの取り方や投資対象が自然と見えてきます。
IFAは金融商品を売ることが目的ではなく、あなたに合った資産配分を一緒に考える「中立的な相談相手」です。まずは相談だけでもOKなので、無理なく始められます。
STEP2:自分のリスク許容度を把握する
次に、自分がどの程度の価格変動(リスク)に耐えられるかを考えます。リターンが大きい商品ほどリスクも大きくなりますので、感情面・資金面の両方から無理のない範囲を見極めることが大切です。
一般的には、年齢が若いほど回復期間に余裕があるため、リスク資産の比率を高めやすく、逆に年齢が高くなるにつれて安定資産を中心とした構成が望まれます。
以下のような視点で、自分のリスク許容度を見直してみましょう:
- 値下がり時にも冷静に保有し続けられるか
- 含み損が出ても生活に支障がないか
- 近い将来に大きな支出予定がないか
STEP3:リスク許容度に応じた運用方法を選ぶ
リスク許容度が明確になったら、それに応じた運用方法を選びましょう。ここでは初心者にも取り入れやすい3つの代表的なアプローチをご紹介します。
アプローチ①:バランス型ファンドで始める
手軽に分散投資を始めたい方には「バランス型ファンド」がおすすめです。1本で複数の資産クラス(国内外の株式、債券、不動産など)に投資できるため、管理の手間がかかりません。
特に「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」のような商品は、低コストで自動リバランス機能も備わっており、忙しい方や投資初心者に適しています。
アプローチ②:インデックスファンドを組み合わせる
自分のリスク許容度に合わせて、資産配分を柔軟に設計したい方にはインデックスファンドの組み合わせが有効です。たとえば、株式70%・債券30%という配分で、
- 株式:全世界株/先進国株/日本株など
- 債券:国内債券/先進国債券など
といった形で、自分の方針に合ったファンドを選ぶことができます。
アプローチ③:アドバイザーや一任型サービスを活用する
「自分で資産配分を考えるのは不安」「商品選びに迷う」という方には、IFAやファンドラップ・SMA(投資一任型サービス)といった専門家のサポートを活用する方法もあります。
たとえばIFAは、ライフプランやリスク許容度に基づいて最適な資産配分を提案し、運用まで任せられる存在です。定期的な見直しやリバランスも任せられるため、安心して資産形成を進められます。
また、ファンドラップやSMAについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
STEP4:ポートフォリオを継続的に見直す
資産配分を決めた後も、定期的な見直し=「リバランス」が重要です。相場の変動や資産の増減により、当初の配分比率は時間とともにズレていきます。
例:株式の値上がりで「株式80%、債券20%」になっていれば、当初の「株式70%、債券30%」に戻すために調整(売却・買い増し)を行う必要があります。
リバランスの頻度は半年〜1年に一度が目安ですが、大きな市場変動時には臨時で行う判断も大切です。
なお、リバランスの負担は運用スタイルによって異なります。
- バランス型ファンド:運用会社が自動的にリバランスしてくれる
- インデックスファンドの組み合わせ:自分で定期的に配分確認・売買が必要
- ファンドラップやSMA:運用機関やアドバイザーが代行してくれる
リバランスの手間や精度も含めて、自分に合った運用方法を選ぶことが、長く続けるためのカギとなります。
以上が、初心者でも実践しやすい資産配分の基本ステップです。「完璧を目指す」のではなく、「無理なく始めて続けること」を意識するのが、資産形成の第一歩として大切です。
この記事のまとめ
「資産クラスって、意外とシンプルかも」と思えた今こそ、次の一歩を踏み出すチャンスです。とはいえ、自分一人で具体的な資産配分を決めたり、商品を選ぶのは不安が残るもの。そんなときは、金融商品を売らない中立的な立場でサポートしてくれる「IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)」に相談するのが安心です。あなたのライフプランやリスク許容度に合わせて、無理のない運用設計を一緒に考えてくれます。「売られずに相談できる」という安心感は、慎重派のあなたにこそぴったり。まずは話を聞いてみることから、資産形成の第一歩をはじめてみませんか?

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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アセットクラス(資産クラス)
資産クラスとは、性質やリスク・リターンの特性が似ている金融資産を分類するためのカテゴリーのことです。代表的な資産クラスには、以下のようなものがあります。 株式(国内株・外国株など) 債券(国債・社債など) 不動産(現物不動産・REITなど) 現金・預金(流動性資産) コモディティ(金、原油、農産物など) それぞれの資産クラスは異なる値動きをするため、特定の市場環境で上昇するものもあれば、下落するものもあります。この特性を活かし、複数の資産クラスを組み合わせることでリスクを分散し、安定的な運用成果を目指す方法が「アセットアロケーション(資産配分)」です。 資産運用において、資産クラスの特徴を理解することは、自分に適した投資スタイルやリスク許容度に合った運用戦略を組み立てるうえで欠かせません。投資初心者にとっても、資産クラスの考え方を知ることは、長期的な資産形成の出発点となります。
アセットアロケーション(資産配分)
アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
リスク許容度
リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。
ファンド
ファンドとは、多くの投資家から集めたお金をひとつにまとめて、専門の運用会社が株式や債券、不動産などに投資・運用する金融商品のことです。 投資家は自分で個別の銘柄を選ばなくても、ファンドを通じて分散された投資ができるため、リスクを抑えながら運用が可能になります。ファンドには、投資信託、ETF(上場投資信託)、ヘッジファンドなどさまざまな種類があり、それぞれ運用方針や対象資産が異なります。初心者にとっては、少額から始められ、プロによる運用が受けられる点が大きなメリットです。ただし、運用成績によって元本割れのリスクもあるため、目的やリスク許容度に応じて選ぶことが大切です。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
独立系アドバイザー(IFA)
IFAとは、Independent Financial Advisorの略で、日本語では「独立系フィナンシャルアドバイザー」と呼ばれる資産運用の専門家を指す。内閣総理大臣より金融商品仲介業の登録を受け、1つ以上の証券会社と業務委託契約を締結し、投資家に対して資産運用のアドバイス業務や金融商品の仲介を行う。
ファンドラップ
ファンドラップは、金融機関が顧客から資産運用を一任され、顧客の目標やリスク許容度に応じてポートフォリオを構築・管理するサービスです。顧客の資産を複数の投資信託やETFなどに分散投資し、運用を行います。運用内容や資産配分の調整(リバランス)は専門家が行い、定期的な運用状況の報告も提供されます。 主に、初心者や忙しい投資家が利用することが多く、手数料はファンドラップ・フィーとして一括で支払う形式が一般的です。この手数料には運用管理費やアドバイス料が含まれます。
SMA(投資一任口座)
SMAとは「Separately Managed Account(セパレートリー・マネージド・アカウント)」の略で、日本語では「投資一任口座」と呼ばれます。これは、投資家が証券会社や運用会社などの専門家に運用を一任し、個別に運用してもらう口座のことです。ファンドのように他の投資家と資産をまとめて運用するのではなく、あくまで一人ひとりの投資家の口座単位で運用が行われる点が特徴です。運用方針の設計や銘柄選定などはプロが担当するため、投資の知識や時間がない方でも、本格的な資産運用が可能になります。また、個別運用であることから、資産の透明性が高く、税金対策や柔軟なカスタマイズがしやすいというメリットもあります。その一方で、一定の資産規模が求められることが多く、主に富裕層向けのサービスとされています。
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。
コモディティ
コモディティとは、世界中で取引される原材料や商品を指します。代表的なものとして、金・銀などの貴金属、原油・天然ガスなどのエネルギー資源、小麦・トウモロコシなどの農産物があります。投資対象としてのコモディティは、インフレ時のリスクヘッジや分散投資の手段として利用されることが多いです。市場の需給バランスや国際情勢によって価格が大きく変動するため、リスク管理が重要になります。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)
REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)とは、多くの投資家から集めた資金を使って、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設などの不動産に投資し、そこで得られた賃貸収入や売却益を分配する金融商品です。 REITは証券取引所に上場されており、株式と同じように市場で売買できます。そのため、通常の不動産投資と比べて流動性が高く、少額から手軽に不動産投資を始められるのが大きな特徴です。 投資家は、REITを通じて間接的にさまざまな不動産の「オーナー」となり、不動産運用のプロによる安定した収益(インカムゲイン)を得ることができます。しかも、実物の不動産を所有するわけではないので、物件の管理や修繕といった手間がかからない点も魅力です。また、複数の物件に分散投資しているため、リスクを抑えながら収益を狙える点も人気の理由です。 一方で、REITの価格は、不動産市況や金利の動向、経済環境の変化などの影響を受けます。特に金利が上昇すると、REITの価格が下がる傾向があるため、市場環境を定期的にチェックしながら投資判断を行うことが重要です。 REITは、安定した収益を重視する人や、実物資産への投資に関心があるものの手間やコストを抑えたい人にとって、有力な選択肢となる資産運用手段の一つです。