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推定相続人とは?相続人・法定相続人との違いを分かりやすく解説

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推定相続人とは?相続人・法定相続人との違いを分かりやすく解説

推定相続人とは?相続人・法定相続人との違いを分かりやすく解説

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執筆者:

公開:

2025.08.22

更新:

2026.03.16

相続

推定相続人とは、現時点で相続が発生した場合に法定相続人になると推定される人のことです。法定相続人や相続人とは概念が異なるため、混乱してしまう方もいるのではないでしょうか。

この記事では、推定相続人の基本的な定義から実務での重要性まで、わかりやすく解説していきます。正しい知識を身につけ、相続対策に役立てていきましょう。

サクッとわかる!簡単要約

本記事で得られるのは、推定相続人の概念だけではなく、効果的な相続対策に役立つ判断軸です。推定相続人と法定相続人の切り替わり、配偶者が常に対象である点、子・直系尊属・兄弟姉妹の順位と再代襲の範囲、実務上の注意点まで一気に把握できます。さらに、相続時精算課税の2,500万円非課税や基礎控除、保険金の「500万円×人数」も押さえ、相続対策の確認事項が明確になります。戸籍一式の集め方と調査上の注意点も整理しているので、家族構成が複雑でも漏れを減らせます。

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目次

推定相続人とは何か?

推定相続人の基本的な定義

推定相続人の特徴

推定相続人・法定相続人・相続人の違い

時系列による使い分け

実際に推定相続人・法定相続人・相続人が異なるケース

推定相続人の範囲と順位

配偶者相続人

血族相続人の順位

代襲相続の考え方

推定相続人の調べ方

戸籍謄本による確認

調査上の注意点

専門家へ相談する

推定相続人が相続できないケース

相続欠格

推定相続人の廃除

その他の失権事由

推定相続人に関する実務上の重要性

遺言書作成時の考慮

相続時精算課税制度利用時の留意点

生前贈与・遺留分対策への活用

推定相続人を把握するメリット

相続対策の立案に役立つ

「争族」のトラブルを予防できる

財産を把握して適切に管理できる

相続発生時の対応

推定相続人とは何か?

推定相続人は、相続制度を理解するうえで重要な概念の一つです。民法では「相続が開始した場合に相続人となるべき者」と規定されており、現在の家族構成に基づいて判断されます。

推定相続人の基本的な定義

推定相続人とは、現時点で相続が発生した場合に、民法の規定により法定相続人になると推定される人のことです。「推定」という言葉が使われているのは、実際に相続が発生するまでは確定していないためです。

例えば、夫・妻・子ども2人の4人家族を考えてみましょう。もし夫が今亡くなったと仮定した場合、妻と子ども2人が法定相続人になります。つまり、現時点での夫の推定相続人は、妻と子ども2人ということになります。

ただし、推定相続人は状況の変化により変わる可能性があります。離婚や養子縁組、死亡などの事情により、家族構成が変われば推定相続人も変化するのです。

推定相続人の特徴

推定相続人には、いくつかの重要な特徴があります。まず、被相続人(財産を残す人)が存命中であることが前提です。実際に相続が発生していない段階での、あくまで「推定」に基づく相続人なのです。

次に、相続権がまだ確定していない点も特徴といえます。推定相続人は、将来相続を受けることを期待する権利(期待権)を持つにとどまり、現在の財産に対して具体的な権利を有しているわけではありません。

  1. さらに、推定相続人は状況変化により変動する可能性があります。被相続人より先に亡くなったり、配偶者の場合は離婚したりすることで、推定相続人ではなくなることもあるのです。このような変動性も、推定相続人の重要な特徴といえるでしょう。

推定相続人・法定相続人・相続人の違い

これら3つの用語は似ているため混同されがちですが、それぞれ異なる意味を持っています。最も大きな違いは、相続が発生しているかどうかという時系列にあります。

時系列による使い分け

推定相続人、法定相続人、相続人は、相続の進行段階に応じて使い分けられます。相続発生前の段階では「推定相続人」、相続発生後は「法定相続人」や「相続人」という呼び方に変わるのです。

用語被相続人の状態相続権の状態使用場面
推定相続人存命中期待権のみ生前対策・遺言作成時
法定相続人死亡後確定相続手続き開始時
相続人死亡後実際に相続遺産分割完了後
推定相続人・法定相続人・相続人の違い

相続発生前は、被相続人が存命中のため、相続人はまだ確定していません。この段階で「相続するであろう」と推定される人が推定相続人です。一方、実際に被相続人が亡くなると相続が開始され、民法の規定により法定相続人が確定します。

そして、最終的に法定相続人のうち実際に遺産を相続した人が「相続人」と呼ばれます。相続放棄をした人は、法定相続人であっても相続人にはなりません。このように、3つの用語は相続の進行段階に応じて使い分けられているのです。

実際に推定相続人・法定相続人・相続人が異なるケース

推定相続人と法定相続人が異なるケースもあります。推定相続人が被相続人より先に死亡した場合、その人は法定相続人にはなりません。代わりに、代襲相続により子や孫が法定相続人になることがあります。

推定相続人が先に死亡した場合

推定相続人が被相続人より先に死亡した場合、その人は法定相続人にはなりません。例えば、父親Aさん、母親Bさん、長男Cさんの3人家族で、Aさんの推定相続人がBさんとCさんだったとします。

しかし、Aさんより先にCさんが亡くなった場合、法定相続人はBさんのみとなります。

ただし、Cさんに子ども(Aさんの孫)がいた場合は代襲相続が発生し、その孫が法定相続人となります。つまり、推定相続人の段階ではBさんとCさんでしたが、実際の法定相続人はBさんと孫になるのです。このように、推定相続人と法定相続人の顔ぶれが変わることがあります。

相続廃除により相続権を失った場合

相続廃除(相続人の相続権を奪う手続き)により、推定相続人が法定相続人になれないケースもあります。例えば、被相続人Dさんの推定相続人が妻Eさんと長男Fさんだったとします。

しかし、FさんがDさんに対して日常的に暴力をふるったり、財産を無断で使い込んだりしていたとしましょう。

この場合、DさんはFさんの相続廃除を家庭裁判所に申立てることができます。廃除が認められれば、Fさんは相続権を失い、実際の法定相続人はEさんのみとなります。

推定相続人の段階ではEさんとFさんでしたが、廃除により法定相続人がEさんだけになるのです。なお、Fさんに子どもがいる場合は、その子が代襲相続により法定相続人となります。

相続放棄により相続人とならない場合

法定相続人であっても、相続放棄により相続人にならないケースがあります。例えば、被相続人Gさんが多額の負債を抱えて亡くなり、法定相続人が妻Hさんと子どもIさん・Jさんだったとします。

負債が資産を上回っていることが判明した場合、法定相続人は相続放棄を検討するでしょう。HさんとIさんが家庭裁判所で相続放棄の手続きを行った場合、実際に相続する「相続人」はJさんのみとなります。

つまり、法定相続人は3人でしたが、相続人は1人だけという状況が生まれるのです。相続放棄は相続開始を知った時から3か月以内に手続きする必要があります。

なお、相続放棄、単純承認、限定承認の違いに関しては、以下のFAQも参考にしてみてください。

推定相続人の範囲と順位

推定相続人の範囲と順位は、民法の相続制度により明確に定められています。

配偶者相続人

配偶者は、他の相続人の有無に関係なく、常に推定相続人となります。ただし、法律上の婚姻関係にあることが必要で、内縁関係や事実婚では推定相続人にはなれません。

配偶者の相続権は非常に強く保護されており、他の血族相続人と組み合わせて相続することになります。たとえば、配偶者と子がいる場合は、配偶者が2分の1、子が2分の1を相続します。配偶者と直系尊属(父母など)の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。

  1. なお、離婚した元配偶者は推定相続人にはなりません。離婚により婚姻関係が解消されると、相続権も同時に失われるからです。これは離婚の届出をした時点で効力が発生します。

血族相続人の順位

血族相続人には明確な優先順位があり、上位の順位の人がいれば、下位の順位の人は推定相続人になりません。第1順位は子(養子を含む)、第2順位は直系尊属(父母・祖父母など)、第3順位は兄弟姉妹です。

順位相続人対象者配偶者との相続分
第1順位・実子
・養子
・認知された子
配偶者:1/2
子:1/2を均等分割
第2順位直系尊属・父母
・祖父母
・曾祖父母
配偶者:2/3
直系尊属:1/3を均等分割
第3順位兄弟姉妹・全血兄弟姉妹
・半血兄弟姉妹
配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4を分割

第1順位の子には、実子と養子の区別はありません。また、婚姻外で生まれた子であっても、認知されていれば同等の相続権を持ちます。複数の子がいる場合は、全員が推定相続人となり、相続分を均等に分けることになります。

第2順位の直系尊属は、父母が優先され、父母がいない場合に祖父母が推定相続人となります。第3順位の兄弟姉妹は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹と、父母の一方のみを同じくする半血兄弟姉妹がありますが、半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の2分の1です。

法定相続人と法定相続分に関しては、こちらの記事もご覧ください。

代襲相続の考え方

代襲相続とは、本来相続人となるべき人が被相続人より先に死亡していた場合に、その子や孫が代わって相続することです。代襲相続が発生する場合、代襲者も推定相続人に含まれます。

第1順位の子が先に死亡していた場合、その子(被相続人の孫)が代襲相続します。孫も先に死亡していれば、ひ孫が代襲相続する「再代襲」も可能です。このように、直系卑属については無制限に代襲相続が認められています。

一方、第3順位の兄弟姉妹の代襲相続は、その子(被相続人の甥・姪)までにとどまり、再代襲は認められていません。また、第2順位の直系尊属については、代襲相続の概念はありません。これらの違いを理解しておくことが大切です。

推定相続人の調べ方

推定相続人を正確に把握するためには、戸籍謄本による調査が不可欠です。家族関係が複雑な場合や、過去に養子縁組や離婚の経験がある場合は、特に注意深い調査が必要となります。

戸籍謄本による確認

推定相続人の確定には、被相続人の出生から現在までのすべての戸籍謄本が必要です。まず、現在の本籍地の市区町村役場で現在戸籍謄本を取得し、そこから過去の戸籍をさかのぼって調査していきます。

戸籍謄本には、婚姻・離婚・養子縁組・認知などの身分関係の変動がすべて記載されています。これらの記録を丁寧に確認することで、推定相続人を正確に把握できるのです。特に、認知された子や養子がいる場合は、見落としがないよう注意が必要です。

  1. また、戸籍の電算化により、古い戸籍が除籍謄本として保管されている場合があります。戸籍の改製により記載されなくなった事項もあるため、改製前の戸籍も取得して確認することが重要です。

調査上の注意点

戸籍調査では、転籍により戸籍が複数の市区町村に分散していることがよくあります。戸籍謄本の「従前戸籍」欄を確認し、前の本籍地の戸籍も順次取得していく必要があります。

除籍謄本は、戸籍に記載されていた人全員が除籍(死亡・転籍など)された場合に作成されます。除籍謄本には80年、改製原戸籍には150年の保存期間がありますが、古いものは廃棄されている可能性もあります。

また、戸籍の記載方法は時代により変化しており、古い戸籍では読み取りが困難な場合もあります。筆書きの戸籍や旧字体で書かれた戸籍もあるため、専門的な知識が必要になることもあるでしょう。

専門家へ相談する

複雑な家族関係や多数の転籍がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家であれば、効率的かつ正確に戸籍調査を行い、推定相続人を確定できます。

特に、相続人の中に行方不明者がいる場合や、養子縁組の経緯が複雑な場合は、一般の方では調査が困難です。専門家に依頼することで、時間と労力を節約できるうえ、調査漏れのリスクも回避できます。

また、推定相続人の確定後は、相続税の概算や遺言書の作成など、さらなる相続対策が必要になることもあります。早い段階から専門家と連携しておくことで、包括的な相続対策を進められるでしょう。

なお、相続に関する相談は、内容によって頼れる専門家が異なります。詳しくは、以下のFAQを参考にしてみてください。

推定相続人が相続できないケース

推定相続人であっても、必ずしも相続できるとは限りません。相続欠格や推定相続人の廃除により相続権を失ったり、状況の変化により推定相続人でなくなったりすることがあります。

相続欠格

相続欠格とは、民法891条に規定された重大な非行により、被相続人の意思に関係なく当然に相続権を失う制度です。相続欠格に該当すると、推定相続人であっても法定相続人にはなれません。

相続欠格事由は5つあります。

相続欠格事由

  1. 被相続人や他の相続人を殺害、または殺害しようとして刑に処せられた場合
  2. 被相続人の殺害を知っていながら告発・告訴しなかった場合
  3. 詐欺・強迫により遺言の作成・撤回・取消・変更を妨げた場合
  4. 詐欺・強迫により遺言をさせ、撤回・取消・変更をさせた場合
  5. 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合

相続欠格の効果は絶対的で、被相続人が許したとしても相続権は回復しません。ただし、相続欠格者に子がいる場合は、その子が代襲相続により相続権を取得します。相続欠格は本人のみに及び、その子には影響しないのです。

推定相続人の廃除

推定相続人の廃除とは、被相続人の意思により、遺留分を有する推定相続人の相続権を奪う制度です。民法892条により、虐待・重大な侮辱・その他の著しい非行があった場合に、家庭裁判所に請求できます。

廃除は相続欠格ほど重大ではないものの、被相続人との関係を破綻させるような行為があった場合に利用されます。具体的には、暴力・暴言・借金の肩代わり強要・犯罪行為・浮気・財産の無断使用などが代表例です。

廃除には「生前廃除」と「遺言廃除」があります。生前廃除は被相続人が生前に家庭裁判所に申立てる方法で、遺言廃除は遺言により廃除の意思を示し、相続開始後に遺言執行者が申立てる方法です。なお、兄弟姉妹は遺留分がないため、廃除の対象外となっています。

その他の失権事由

推定相続人が被相続人より先に死亡した場合、その人は法定相続人にはなりません。ただし、代襲相続の要件を満たす場合は、その子が代襲相続により相続権を取得します。

配偶者の場合、離婚により推定相続人ではなくなります。離婚の届出により婚姻関係が解消されると、相続権も同時に失われるのです。また、養子の場合は、養子縁組の解消により推定相続人でなくなります。

さらに、相続放棄により相続権を放棄することも可能です。相続放棄は相続開始後に家庭裁判所で行う手続きで、放棄すると初めから相続人でなかったものとして扱われます。これにより、負債を含めて一切の相続関係から離脱できるのです。

推定相続人に関する実務上の重要性

推定相続人の概念は、単なる法律用語にとどまらず、相続実務において重要な意味を持ちます。遺言書作成や税制活用の場面で、推定相続人の正確な把握が必要となるケースが多いのです。

遺言書作成時の考慮

遺言書を作成する際、推定相続人の把握は不可欠です。特に、公正証書遺言や秘密証書遺言では2人以上の証人が必要ですが、推定相続人やその配偶者・直系血族は証人になれません(民法974条)。

推定相続人を正確に把握していないと、適切な証人を選定できない可能性があります。また、遺言内容を検討する際も推定相続人の遺留分を考慮する必要があるため、事前の確認が重要なのです。

さらに、推定相続人が先に死亡する可能性を考慮した「予備的遺言」の作成も検討すべきでしょう。予備的遺言とは、遺言で指定した相続人が先に死亡した場合に備えて、代わりの相続人を指定しておく遺言です。

遺言の種類に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。

相続時精算課税制度利用時の留意点

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、2,500万円まで贈与税を非課税とする制度です。この制度の適用要件として、受贈者が贈与者の「推定相続人」である必要があります。

重要なのは、推定相続人の判定は「贈与の日」を基準とすることです(相続税法基本通達21の9-1)。つまり、贈与後に養子縁組をしても、贈与時点で推定相続人でなければ制度を利用できません。

また、年の途中で養子縁組をした場合、贈与のタイミングによって制度の適用可否が変わります。養子縁組前の贈与では制度を利用できず、縁組後の贈与でのみ利用可能となるのです。このように、推定相続人の判定タイミングが重要な意味を持ちます。

生前贈与・遺留分対策への活用

推定相続人の把握は、効果的な生前対策の第一歩です。将来の相続を見据えて、相続税の概算計算や遺産分割の検討を行う際の基礎資料となります。

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。推定相続人の数を把握することで、将来の相続税負担を概算できるのです。また、生命保険金や死亡退職金の非課税枠も「500万円×法定相続人の数」で計算されるため、保険加入の検討にも役立ちます。

さらに、推定相続人間の関係性や経済状況を踏まえて、争族対策を講じることも可能です。遺留分を考慮した遺言書の作成や、生前贈与による財産移転など、推定相続人の状況に応じた対策を検討できるでしょう。

遺留分に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

推定相続人を把握するメリット

推定相続人を正確に把握することは、将来の相続に向けた準備として多くのメリットをもたらします。計画的な相続対策により、税負担の軽減や家族間トラブルの予防が可能となるのです。

相続対策の立案に役立つ

推定相続人の把握により、将来の相続をシミュレーションできます。法定相続分に基づく遺産分割を想定して、各相続人の取得予定額を概算できるのです。これにより、相続税の負担額や納税資金の準備額を事前に検討できます。

相続税の概算計算では、まず遺産総額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求めます。次に、法定相続分で按分した各相続人の取得金額に税率を適用し、相続税の総額を計算します。最後に、実際の取得割合に応じて各相続人の納税額を按分するのです。

また、推定相続人の把握により、効果的な生前贈与の計画も立てられます。相続時精算課税制度や年110万円の暦年贈与を活用して、計画的に財産を移転できるでしょう。特に、相続税率が高い場合は、生前贈与による節税効果が大きくなります。

贈与税や遺贈の仕組みに関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。

「争族」のトラブルを予防できる

推定相続人を事前に把握し、家族間で情報共有しておくことで、相続時のトラブルを予防できます。相続人の範囲について争いが生じるケースは意外に多く、事前の確認が重要です。

特に、認知された子や養子がいる場合、他の相続人が存在を知らないケースがあります。相続開始後に突然現れた相続人により、遺産分割が複雑になることも少なくありません。生前に推定相続人を確定し、必要に応じて家族間で情報共有しておくことが大切です。

  1. また、推定相続人の経済状況や生活状況を把握しておくことで、適切な遺産分割方法を検討できます。不動産を相続予定の相続人が納税資金に困らないよう、預貯金の配分を調整するなどの配慮が可能となるでしょう。

財産を把握して適切に管理できる

推定相続人を把握することで、将来への漠然とした不安を解消できます。誰がどの程度の遺産を相続するのか、相続税はどの程度かかるのかを事前に把握できれば、安心して老後を過ごせるでしょう。

また、推定相続人の中に財産管理能力に不安がある人がいる場合、成年後見制度や家族信託の活用を検討できます。認知症などで判断能力が低下する前に、適切な財産管理体制を構築しておくことが重要です。

さらに、推定相続人との関係性を良好に保つための努力も可能となります。定期的な家族会議の開催や、相続に関する意思の伝達により、家族の絆を深められるでしょう。良好な家族関係は、円滑な相続手続きにつながります。

財産の把握は、二次相続対策にもつながります。二次相続に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

相続発生時の対応

実際に相続が発生した場合、推定相続人の調査結果を基に、正式な相続人確定手続きを行います。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得し、法定相続人を確定させましょう。

相続手続きでは、相続人全員の合意による遺産分割協議が必要となります。相続人の中に行方不明者や認知症の人がいる場合は、不在者財産管理人の選任や成年後見人の選任が必要になることもあります。

また、相続放棄や限定承認を検討する場合は、相続開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。期限を過ぎると単純承認したものとみなされ、負債も含めて相続することになるため、注意が必要です。

遺産分割協議書に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

この記事のまとめ

推定相続人とは、現時点で相続が発生した場合に法定相続人になると推定される人です。法定相続人や相続人との違いは主に時系列にあり、相続発生前は推定相続人、発生後は法定相続人・相続人という使い分けがなされます。

推定相続人の範囲は民法により明確に定められており、配偶者は常に推定相続人となり、血族相続人には優先順位があります。正確な把握には、戸籍調査が不可欠です。

相続は複雑な制度であり、個々の事情により適切な対応が異なります。推定相続人の確定や相続対策については、税理士・司法書士・弁護士などの専門家と連携して進めることをおすすめします。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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被相続人とは、亡くなったことにより、その人の財産や権利義務が他の人に引き継がれる対象となる人のことです。つまり、相続が発生したときに、その資産の元々の持ち主だった人を指します。たとえば、父親が亡くなって子どもたちが財産を受け継ぐ場合、その父親が「被相続人」となります。相続は被相続人の死亡と同時に始まり、相続人は法律や遺言の内容にしたがって財産を引き継ぎます。資産運用や相続対策を考える際、この「被相続人」という概念はすべての出発点となる重要な言葉です。

代襲相続

代襲相続とは、本来であれば相続人となるはずだった人が、相続が始まる前にすでに亡くなっていたり、相続欠格や廃除などの理由で相続できなくなった場合に、その人の子ども(直系卑属)が代わりに相続する仕組みのことをいいます。たとえば、亡くなった人(被相続人)の子どもがすでに他界していた場合、その子どもの子ども、つまり被相続人から見ると孫が相続するという形になります。この制度は、家族間の公平性を保ち、血縁のつながりに沿って財産が引き継がれることを目的としています。代襲相続は主に「子ども」や「兄弟姉妹」が相続人になる場合に認められており、それ以外の親族では適用されない点に注意が必要です。

相続欠格

相続欠格とは、本来なら遺産を受け取る権利があるはずの相続人が、法律で定められた特定の理由によって、その権利を失うことをいいます。たとえば、被相続人(亡くなった方)を故意に殺害しようとした場合や、遺言書を無理やり書き換えたり隠したりしたような行為があった場合に、その相続人は「相続欠格者」として扱われます。 つまり、重大な非行が原因で相続の資格を失う制度です。これにより、故人の意思や家族の秩序を守ることが目的とされています。相続欠格になると、その人自身だけでなく、その子どもにも影響が出ることがありますが、代襲相続が認められるケースもあるため、正確な判断には法律の専門家の助言が必要です。

相続人順位

相続人の順位とは、被相続人(亡くなった方)の財産を、法律上誰がどの順番で引き継ぐ権利を持つかを定めた制度です。日本の民法では、一定の優先順位に基づいて相続人が決まっており、上位の人がいる場合は下位の人に相続権は原則として発生しません。ただし、配偶者については特別で、順位に関係なく常に相続人になります。 まず、配偶者は常に相続人となります。その上で、配偶者とともに相続する「血族相続人(子や親、兄弟姉妹)」の順位は以下の通りです。 第1順位は子どもです。実子・養子・非嫡出子を含みます。子がすでに亡くなっている場合、その子(被相続人にとっての孫)が代わって相続する「代襲相続」が認められます。複数人いる場合は均等に分け合います。 第2順位は直系尊属、つまり父母や祖父母です。第1順位の相続人がいない場合に限り相続権を持ちます。両親が存命であれば通常は両親が相続し、すでに亡くなっていれば祖父母がその代わりになります。直系尊属には代襲相続は認められていません。 第3順位は兄弟姉妹です。第1順位にも第2順位にも相続人がいない場合に限り、兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子である甥や姪が代襲相続人となることが可能です。ただし、甥や姪に対しては再代襲(孫甥など)は認められていません。 このように、相続順位は「子 → 親 → 兄弟姉妹」の順であり、上位の相続人がいる場合には下位の相続人には相続権がないという原則が適用されます。配偶者はこの順位に関係なく常に相続人となり、その割合や具体的な相続分は誰と一緒に相続するかによって異なります。 さらに実務上は、相続開始時に相続人がすでに亡くなっていたり、相続放棄をしていたりする場合もあるため、代襲相続や再代襲の可否、法定相続分の計算にも注意が必要です。相続人の範囲を正確に把握することは、遺産分割協議や相続税の申告、遺言書の効力確認などにおいて極めて重要です。

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