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国債は儲かる?

国債は儲かるの?投資先としてのメリット・デメリットを徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.02.10

更新:

2025.05.28

債券ポートフォリオ運用リスク管理インカムゲイン

国債は「安全だが利回りが低い」と敬遠されることもしばしば。しかし金利の成り立ちや種類を理解し、購入タイミングを見極めれば、預金より効率的に資産を守りながら増やす選択肢になり得ます。 本記事では国債の仕組みや金利・利回り、国債は儲かるのかという疑問をわかりやすく解説します。安全資産と呼ばれる理由からインフレへの弱点、個人向け国債と市場公募債の違いまで網羅しています。

サクッとわかる!簡単要約

読み終える頃には、国債の「金利」と「利回り」の違い、インカムゲインとキャピタルゲインの関係、固定・変動・物価連動債の選び方、税金や購入ステップまでを一気に整理できます。さらに、預金・株式・債券ETFと比較した実質的なリスク-リターンやデュレーションによる価格変動の感度まで理解できるため、国債を“退屈な低利商品”ではなくポートフォリオの安定装置として戦略的に位置づけられるようになります。初心者でも迷わない購入チャートや、中途換金時の注意点も具体例付きで解説しており、国債投資にあたって必要な情報は網羅できるでしょう。

目次

国債とは何か?政府が資金調達のために発行する債券

国債の基本的な分類

償還期限(満期)による分類

利息のタイプによる分類

投資家層・発行形態による分類

個人が購入できる国債の種類と比較(個人向け国債と新窓販国債)

国債の信用リスクと「元本保証」の実態

信用リスクは極めて低く安全性が高い

「元本保証」は満期まで保有するという条件付き

国債の金利と利回り:リターンを理解する

「金利(利率)」と「利回り」の違いとは?

名目金利と実質金利の違いとは?

名目金利(Nominal Interest Rate)とは?

実質金利(Real Interest Rate)

国債は本当に「儲かる」のか?

国債投資の収益源は利子と売却益の2種類

国債が「儲からない」と言われる理由

国債の収益性を他の投資と比較

国債投資のリスクと注意点

インフレリスク

金利変動リスク(価格変動リスク)

流動性リスクと中途換金

デュレーションと価格変動の感応度

国債の買い方は?個人向け国債・市場公募国債それぞれのステップを解説

個人向け国債の購入ステップ

市場公募債の購入ステップ

国債の利子や売買益にかかる税金

国債の利子は利子所得として総合課税

国債の売買益は譲渡所得として分離課税

国債が向いている人、向いていない人はどんな人?

国債は資産運用において安定性を高める守りの資産

国債とは何か?政府が資金調達のために発行する債券

国債とは、国が資金調達のために発行する債券です。日本政府が発行する国債が日本国債、米国政府であれば米国債、というように呼ばれます。国債を購入するということは、国にお金を貸し出し、その見返りとして定期的に利子を受け取り、満期(償還期限)には貸したお金(元本)が戻ってくるということになります。

民間企業が発行する「社債」と比較して、発行体が国家であるため信用度が非常に高く、一般的に安全性が高い投資先とされています。特に日本国債は、過去に債務不履行(デフォルト)を起こしたことがなく、銀行の自己資本規制においても「自国通貨建ての国債は信用リスク0%」と評価されるほどです。このため、「元本保証に近い」という安心感から、預金よりも有利な利回りを求める資産運用初心者にとって、魅力的な選択肢の一つとなっています。

しかし、「安全=ノーリスク」ではありません。国債の金利は固定されているため、物価上昇によって実質的な価値が減少するインフレリスクが存在します。また、市場で売買される国債には、金利の変動に伴う価格変動リスクもあります。

国債の基本的な分類

国債は、様々な観点から分類することができます。主な分類軸は以下の通りです。

償還期限(満期)による分類

国債は、満期までの期間によって「短期国債」「中期国債」「長期国債」「超長期国債」に分けられます。

国債の分類主な償還期限
短期国債1年以内
中期国債2年・5年
長期国債10年(一般的に「長期金利」の指標とされる)
超長期国債20年・30年・40年

一般的に、償還期間が長いほど利率は高めに設定される傾向がありますが、金利変動による価格変動リスクも大きくなります。

利息のタイプによる分類

支払われる利息が固定されているか、変動するかによっても分類されます。

国債タイプ利率・元本の特徴主な代表例・補足
固定利付債発行時にクーポンレートが決定され、満期まで変動しない市場で発行される日本国債の大半が該当
変動利付債市場金利の動向に応じて、所定のタイミングで利率が見直される個人向け国債「変動10年」など
物価連動国債物価変動に連動して元本・利息が増減し、インフレリスクに対応日本の物価連動国債(新発・既発)

物価連動国債については以下の記事で詳しく解説しています。

固定金利と変動金利の選び方については以下FAQもご参照ください。

投資家層・発行形態による分類

誰を対象に、どのように発行されるかによっても分けられます。

国債の分類発行対象・形態主な特徴
市場公募債金融市場で広く募集(機関投資家が中心、個人も証券会社経由で購入可)多様な投資家に販売され、市場流動性が高い
個人向け国債個人投資家限定(1万円から購入可)中途換金でも元本割れしない仕組みがある

これら以外にも、「円建てか外貨建てか」といった通貨による分類や、「建設国債か赤字国債か」といった発行目的による分類がありますが、個人投資家が主に接するのは上記の分類で理解しておけば十分でしょう。

個人が購入できる国債の種類と比較(個人向け国債と新窓販国債)

個人投資家が購入できる国債には、大きく分けて「個人向け国債」と「新窓販国債」があります。どちらも金融機関の窓口やネット証券で購入できますが、商品設計やリスクの性質が異なるため、目的に応じた選択が重要です。

個人向けと新窓販の違いはこちらのFAQもご覧ください。

項目個人向け国債新窓販国債
対象個人投資家専用個人・法人向け(2年・5年・10年債)
発行形態個人専用に特別設計市場発行された一般国債を個人向けに分割・額面販売
購入単位1万円から(1万円単位)一般に5万円単位など(銘柄ごとに異なる)
金利タイプ固定3年・5年/変動10年(金利下限あり)固定金利(最低保証なし)
利払い年2回年2回
中途解約1年経過後に額面で換金可能(調整金あり)市場で売却(価格変動あり)
元本保証あり額面償還だが購入価格と異なる可能性あり
主な販売チャネル銀行・郵便局・証券会社(対面・ネット)証券会社など(対面・ネット)
  1. 元本保証と最低金利保証を重視するなら個人向け国債
  2. 利回りや金利水準によって選びたい人は新窓販国債も選択肢に

国債の信用リスクと「元本保証」の実態

国債の魅力として「安全性の高さ」がよく挙げられますが、その実態を正確に理解することが重要です。

信用リスクは極めて低く安全性が高い

信用リスクとは、発行体が財政難などで利払いや元本返済ができなくなる(デフォルトする)可能性を指します。

日本国債の発行体は日本政府です。日本政府は自国通貨(円)を発行する能力を持ち、理論上は日本銀行を通じて資金を調達することも可能です。そのため、自国通貨建てである日本国債のデフォルトリスクは極めて低いとされています。

実際に、国際的な格付け会社(例:フィッチ・レーティングス)による日本の長期国債の格付けは、信用リスクが低いとされる「A」レベル(2024年5月時点)です。銀行の自己資本比率規制においても、日本国債はリスクウェイト0%と見なされています。歴史的にも、戦後の特殊な事例を除き、日本国債が元本削減された例はありません。

これらの事実から、日本国債の信用リスクは、個人投資家が懸念する必要はほとんどないレベルと言えるでしょう。

「元本保証」は満期まで保有するという条件付き

「元本保証」という言葉は魅力的ですが、国債におけるその意味合いは、種類や保有期間によって異なります。

満期まで保有する場合、国がデフォルトしない限り、どの種類の国債も満期時には額面金額で償還されます。この意味では、満期保有を前提とすれば実質的に元本は保証されていると言えます。

一方、途中で売却・換金する場合は事情が異なります。

市場公募債であれば、市場価格で売却するため、購入時よりも価格が下落していれば元本割れする可能性があります。逆に価格が上昇していれば売却益を得られます。

個人向け国債の場合、発行後1年経過すれば、国が額面金額で買い取ってくれます。ただし、直近2回分の利子に相当する調整額が差し引かれるため、受け取り総額が購入金額をわずかに下回ることはありますが、元本部分の価格変動リスクはありません。

したがって、市場公募債の場合、「元本保証」は満期保有が前提です。一方、個人向け国債は、1年経過後の途中換金でも元本相当額は守られる設計になっています。特に中途売買や換金する場合は元本保証されない場合もあるので注意しましょう。

「元本割れ」の具体例はこちらのFAQもご参照ください。

国債の金利と利回り:リターンを理解する

国債投資で得られる収益を考える上で、「金利」と「利回り」の違いを理解することは非常に重要です。

「金利(利率)」と「利回り」の違いとは?

金利(利率)とは、国債の額面金額に対して、1年間に支払われる利子の割合です。表面利率やクーポンレートとも呼ばれます。固定金利型の場合、発行時に決定された利率が満期まで変わりません。

例えば、額面100万円、利率1.0%の国債なら、年間1万円(税引前)の利子が支払われます。

利回りとは投資した金額に対して、1年あたりどれくらいの収益が得られるかを示す割合です。利子収入だけでなく、購入価格と償還価格(または売却価格)との差額(償還差損益・売買差損益)も考慮に入れた総合的な収益率です。

新発債を額面で購入し満期まで保有する場合: 購入価格=償還価格(額面)なので、このケースでは「利回り=金利(利率)」となります。

既発債を購入・売却する場合や、額面以外の価格で購入した場合:

額面より安く購入(アンダーパー発行・購入)した場合:利回り > 金利

額面より高く購入(オーバーパー発行・購入)した場合:利回り < 金利

投資判断においては、表面的な「金利」だけでなく、実際の投資効率を示す「利回り」を見ることが重要です。

債券の利率と利回りの違いについては、以下記事でも詳しく解説しています。

名目金利と実質金利の違いとは?

金利を語る上でもう一つ重要な概念が、名目金利と実質金利の違いです。簡単に言えば、名目金利とは額面通りの数字上の金利であり、実質金利とはそこからインフレ率を差し引いた実質的な利回りのことです。

名目金利(Nominal Interest Rate)とは?

銀行の預金金利や国債の表面利率など、物価変動を考慮しない「見かけの金利」です。たとえば「年利1%」という表示は名目金利です。名目金利はその時点での利息の増加分を示すに過ぎず、お金の購買力までは考えていません。

実質金利(Real Interest Rate)

名目金利から予想インフレ率を控除したものを実質金利と呼びます。言い換えると、物価変動を加味したお金の増減率です。実質金利 = 名目金利 - インフレ率という単純な近似式で理解できます(正確には「(1+名目金利)/(1+インフレ率)-1」です)。例えば名目金利が2%でも、その間に物価が2%上昇していれば実質金利はおおよそ0%となり、お金の購買力は増えていないことになります。一方、名目金利1%でも物価が-1%下落(デフレ)していれば実質金利は約2%となり、購買力は増える計算です。

このように、投資の成果を見るには実質的な利回りを見る必要があります。特にインフレ局面では、名目上プラスの利息を得ていても実質では目減りしているケースがあるので注意が必要です。

国債は本当に「儲かる」のか?

「国債は安全だけど、儲からない」というイメージを持つ方もいるかもしれません。ここでは「儲かる」とはどういうことか、国債投資の収益性について掘り下げてみましょう。

国債投資の収益源は利子と売却益の2種類

国債投資で得られる「儲け」には、主に以下の2つがあります。

  1. インカムゲイン(利子収入):
    定期的に支払われる利子です。満期まで保有し続けることで、安定的に利子収入を積み重ねることができます。
  2. キャピタルゲイン(売買差益):
    国債を市場で購入価格よりも高い価格で売却できた場合に得られる利益です。金利が低下すると債券価格は上昇する傾向があるため、そのタイミングで売却すれば利益が期待できます。ただし、逆に金利が上昇すれば債券価格は下落し、売買差損が生じる可能性もあります。

初心者の場合、主にインカムゲインを目的とした長期保有が一般的です。

国債が「儲からない」と言われる理由

「国債は儲からない」と言われるのには、主に以下3つのような理由があります。

  1. インフレに弱い
  2. 金利が低い
  3. 元本保証はあるがリターンは限定的

以下で詳しく説明します。

1.インフレに弱い

国債の利回りはインフレ率を上回らない場合が多いため、実質的な購買力が低下する可能性があります。

2.金利が低い

日本の金利は歴史的に低く、国債の利回りも低水準にとどまっています。特に個人向け国債の最低金利は0.05%で、超低金利環境ではほとんどリターンが期待できません。

3.元本保証はあるがリターンは限定的

国債は元本保証という大きなメリットがありますが、その分リターンも制限されており、大きな資産成長を狙うには不向きです。

国債の収益性を他の投資と比較

国債のリターンは、他の投資手段と比べてどうなのでしょうか?いくつかの代表的な資産クラスと比較してみましょう。

資産クラスの意味や種類については以下記事で詳しく解説しています。

国債と株式投資の収益性比較

比較項目国債株式投資
収益性低い(0.3~1.0%程度)高い(年率5~7%以上も可能)
リスク低い(元本保証)高い(価格変動が大きい)
流動性低い(満期まで保有が基本)高い(いつでも売買可能)

国債は低リスク・低リターン、株式は高リスク・高リターンという対照的な性質を持っています。

国債と債券ETFの収益性比較

比較項目国債債券ETF
収益性固定された利回り市場の金利や価格変動の影響を受ける
リスク低いやや高い(価格が変動)
流動性低い高い(市場で売買可能)

債券ETFは分散投資が可能で、国債よりも流動性が高いですが、市場変動の影響を受けやすい点に注意が必要です。

債券ETFの仕組みやメリットについては以下記事で詳しく解説しています。

国債と銀行定期預金の収益性比較

比較項目国債銀行定期預金
収益性やや高い(0.3~1.0%)非常に低い(0.002~0.2%)
リスク低い(国の保証)低い(銀行の保証)
流動性低い低い(満期前解約のペナルティあり)

銀行定期預金よりも国債の方が利回りは高い傾向にあります。

国債投資のリスクと注意点

国債は安全性が高いとされますが、投資である以上、いくつかのリスクや注意点が存在します。

インフレリスク

既に触れた通り、固定金利の国債は、インフレによって実質的な価値が目減りするリスクがあります。満期時に受け取る元本や利子の購買力が、購入時よりも低下している可能性があるのです。特に長期間の国債を保有する場合、このリスクは大きくなります。

金利変動リスク(価格変動リスク)

市場で売買される国債(市場公募債)は、市場金利の変動に応じて価格が変動します。

  • 市場金利が上昇すると、債券価格は下落します。
  • 市場金利が低下すると、債券価格は上昇します。

これは、既に発行されている固定金利の国債の魅力が、新しい金利水準と比較して相対的に変化するためです。満期まで保有すれば額面で償還されますが、途中で売却する場合は、購入時よりも価格が下落していて元本割れする可能性があります。特に、償還期間が長い国債ほど、金利変動による価格の変動幅は大きくなる傾向があります。

個人向け国債は、発行1年経過後であれば国が額面で買い取ってくれるため、この市場価格の変動リスクは直接的には影響しません(ただし、中途換金調整額は考慮が必要です)。

流動性リスクと中途換金

流動性リスクとは、売りたいときにすぐに売れない、または不利な価格でしか売れない可能性を指します。

市場公募債の流動性リスク

日本国債の市場は非常に大きく流動性は高いですが、個人が売買する際には、銘柄や取引量によっては希望通りの価格やタイミングで取引できない可能性が皆無ではありません。

個人向け国債の流動性リスク

発行後1年間は原則として中途換金できません。この期間内に現金が必要になっても換金できないという制約があります。1年経過後は国が買い取ってくれるため換金は容易ですが、急な資金ニーズには対応できない期間があることを理解しておく必要があります。

デュレーションと価格変動の感応度

デュレーションとは、債券投資の平均回収期間を示すとともに、金利変動に対する債券価格の感応度(どれくらい価格が変動するか)を示す指標です。

  • デュレーションが長いほど、金利が1%変動したときの価格変動幅が大きくなります。
  • 一般的に、償還までの期間が長い債券や、表面利率(クーポンレート)が低い債券ほど、デュレーションは長くなる傾向があります。

例えば、デュレーションが「9」の10年物国債があった場合、金利が1%上昇すると、理論上、債券価格は約9%下落することを示唆します。金利上昇局面では、デュレーションの長い国債を保有していると、価格下落リスクが大きくなるため注意が必要です。

価格変動リスクを抑えたい場合は、デュレーションの短い国債(償還期間の短い国債など)を選ぶか、個人向け国債のように価格変動リスクが直接影響しにくい商品を選ぶことが考えられます。

国債の買い方は?個人向け国債・市場公募国債それぞれのステップを解説

国債を購入するには、主に銀行や証券会社を利用します。ここでは、具体的な購入手順を解説します。

  • 証券会社(対面型):
    担当者からアドバイスを受けながら、個人向け国債や市場公募債を購入できます。
  • ネット証券:
    手数料が比較的安く、オンラインで手軽に個人向け国債や一部の市場公募債を購入できます。
  • 銀行・ゆうちょ銀行:
    馴染みのある窓口で相談しながら購入できます。特に個人向け国債の取り扱いが多いです。

初めてで不安な方は対面窓口、コストを抑えたい方や自分で判断できる方はネット証券など、ご自身の状況に合わせて選びましょう。

個人向け国債の購入ステップ

個人向け国債は、毎月発行される募集に合わせて購入します。

Step1:金融機関を選び、口座を開設する

国債取引ができる口座(証券総合口座など)が必要です。未開設の場合は、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)と印鑑(必要な場合)を用意して口座開設手続きを行います。マイナンバーの届け出も必須です。

Step2:募集中の個人向け国債を選ぶ

金融機関の窓口やウェブサイトで、現在募集中の個人向け国債(固定3年、固定5年、変動10年)の条件(利率など)を確認し、購入したい種類と金額を決めます。

Step3:購入の申し込み

募集期間中に、窓口やオンラインで申し込み手続きを行います。申込書や契約締結前交付書面(目論見書)の内容をよく確認しましょう。

Step4:購入代金の支払い

発行日(購入日)に、指定した口座から購入代金が引き落とされます。個人向け国債は額面100円あたり100円で購入できます。

Step5:購入後の確認

購入後、取引報告書などが交付(郵送または電子交付)されるので、内容を確認し保管します。利子は半年ごとに支払われ、指定口座に自動的に入金されます。

市場公募債の購入ステップ

市場で取引される国債の購入は、個人向け国債よりも少し専門的になります。

Step1:証券会社で口座を開設する

市場公募債の取引は、主に証券会社で行います。そのため、証券会社の口座が必要になりますので、お持ちでない場合は開設する必要があります。

Step2:購入したい国債を選び、価格・利率・利回りを確認

新発債なのか、既発債なのか、どの種類の国債を購入するのかを選定し、価格・利回りを確認します。

新たに発行される国債「新発債」の場合は、発行条件(利率、発行価格など)を確認して申し込みます。

既に発行され、市場で流通している国債「既発債」の場合は、証券会社に希望する銘柄(償還期間、利回りなど)を伝え、現在の市場価格や利回りを確認します。既発債の価格は日々変動します。額面100円あたりの価格と、その時点での利回りを確認します。購入時には、経過利子(前回利払日の翌日から受渡日までの利子相当額)を買い手が売り手に支払うのが一般的です。

Step3:注文と約定:

購入する銘柄、金額、価格に同意したら、注文を出します。注文が成立(約定)すると、購入代金(+経過利子+手数料がかかる場合も)を支払います。

Step4:購入後の確認:

取引報告書で内容を確認します。利払いや償還は、個人向け国債と同様に指定口座で行われます。

国債の利子や売買益にかかる税金

国債の利子や売却益には税金がかかります。

国債の利子は利子所得として総合課税

国債の利子は「利子所得」として、原則として20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。つまり、利子が支払われる際に税金が天引きされるため、基本的に確定申告は不要です。

国債の売買益は譲渡所得として分離課税

市場公募債を売却して得た利益(売却益)は「譲渡所得」として、同じく20.315%の申告分離課税の対象となります。特定口座で取引していれば、証券会社が損益計算や納税を代行してくれる場合が多いですが、一般口座の場合は原則として確定申告が必要です。売却損が出た場合は、他の上場株式等の譲渡益と損益通算できる場合があります。

国債が向いている人、向いていない人はどんな人?

国債は優れた金融商品ですが、全ての人にとって最適とは限りません。国債が適している人と、国債では物足りない可能性のある人を簡単にまとめました。

<国債が適している人>

  • 元本安全性を最優先する人:
    リスクを極力抑えたい、元本割れは避けたいと考える人。
  • 安定した利子収入を求める人:
    定期的なインカムゲインを重視する人。
  • 投資初心者:
    まずは安全性の高い商品から資産運用を始めたい人。
  • 預金より有利な運用をしたい人:
    現在の低金利な預金からのステップアップを考えている人。
  • 長期的な視点で資産を守りたい人:
    短期的な値動きに一喜一憂せず、じっくり資産を保全・育成したい人。
  • ポートフォリオの一部として安定資産を組み入れたい人:
    株式などリスクの高い資産と組み合わせて、全体のバランスを取りたい人。

<国債では物足りない可能性のある人>

  • 高いリターンを積極的に狙いたい人:
    年数%以上の大きな収益を目指す人。
  • インフレに強い資産を求める人:
    インフレ率が高い状況下で、実質的な資産価値の維持・向上を重視する人(物価連動国債は除く)。
  • 短期で資産を大きく増やしたい人:
    短期間でのキャピタルゲインを期待する人。
  • 投資の刺激や面白さを求める人:
    値動きの大きい商品でアクティブに取引したい人。

国債は資産運用において安定性を高める守りの資産

国債は、資産ポートフォリオの中で「守り」の役割を担うコア資産として活用できます。株式や投資信託といった相対的にリスクの高い資産と組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを分散し、安定性を高める効果が期待できます。

例えば、資産の一部を国債で堅実に運用しつつ、残りの部分でより高いリターンを目指すといったバランスの取れた運用が考えられます。ご自身の年齢、リスク許容度、投資目的、運用期間などを総合的に考慮して、国債をどの程度組み入れるかを判断することが大切です。

この記事のまとめ

国債は政府発行の債券で、信用度が高く預金より高い金利を見込める一方、インフレや金利上昇局面では実質価値が目減りし、途中売却では価格変動リスクを負います。個人向け国債は少額・元本保証設計、市場公募債は利回りの伸び代がある代わりに値動きが大きめです。本記事では金利と利回りの違い、デュレーション、税制、購入手順を具体例で整理し、国債をポートフォリオの安定装置として活かす視点を提示しました。とはいえ最適な割合や銘柄は目標とリスク許容度次第。判断に迷う場合は金融機関や独立系アドバイザーなど専門家へ相談し、自分に合ったバランスを検討しましょう。

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国債

発行体が各国中央政府の債券を国債といいます。発行目的や利払い方式などで種類が分別されます。中央政府に資金需要が発生した際に、国債を発行して資金の調達を行うことがあります。 投資家は国債を購入することで、発行体である中央政府へ資金を提供し、その見返りとして半年に1回などのペースで、中央政府から利子を受け取ります。償還期限までに中央政府の財政が悪化するなど、債務が履行されない状況に陥らなければ、満期には額面どおりの金額が投資家へ償還される仕組みです。 国債には、固定利付国債、変動利付国債、物価連動国債などがあります。

債券

債券(サイケン、英語表記:Bond)とは、発行者が投資家に対して将来一定の金額を支払うことを約束する金融商品です。 国や地方自治体、企業などが資金を調達する目的で発行し、投資家はこれを購入することで、定期的に利息(クーポン)を受け取ります。満期が来ると、投資した本金が返済されます。 債券はリスクが比較的低く、安定した収入を求める投資家に選ばれることが多いです。 また、市場で自由に売買が可能であるため、流動性も確保されています。債券市場は世界的にも広がりを見せており、多様な投資戦略に利用されています。

社債

社債とは、企業が事業資金を調達するために発行する「借金の証書」のようなものです。投資家は社債を購入することで企業にお金を貸し、その見返りとして、あらかじめ決められた利息(クーポン)を一定期間ごとに受け取ることができます。満期が来れば、企業は投資家に元本を返済します。 銀行からの融資とは異なり、社債は不特定多数の投資家から直接資金を集める方法であり、企業にとっては柔軟かつ効率的な資金調達手段です。 投資家にとって社債の魅力は、株式に比べて価格の変動が小さく、定期的な利息収入が得られる点にあります。一方で、発行体である企業が経営破綻した場合、元本が戻らないリスクがあるため、信用格付けや業績などを十分に確認することが重要です。 安定的な収益を目指しつつ、リスク管理も重視する投資家にとって、社債はポートフォリオの中核を担いうる資産クラスのひとつです。

元本

元本とは、投資や預金を始めるときに最初に出すお金、つまり「もともとのお金」のことを指します。たとえば、投資信託に10万円を入れた場合、その10万円が元本になります。 運用によって利益が出れば、元本に運用益が加わって資産は増えますが、損失が出れば元本を下回る「元本割れ」の状態になることもあります。 元本が保証されている商品(例:定期預金、個人向け国債など)もありますが、多くの投資商品では元本保証がないため、どれくらいのリスクを取るかを理解しておくことが大切です。

償還

償還とは、債券の満期到来時に発行体が投資家に対して元本を返済することを指します。例えば、10年満期の債券であれば、10年後に元本が返金されます。債券の発行元が満期までの間に利息を支払い、償還時に元本を返済することで投資家は利息収益と元本の返金を得ます。ただし、償還には発行体の信用力が影響し、デフォルトリスクが存在する場合があります。

債務不履行(デフォルト)

債務不履行(デフォルト)とは、企業や国などの債務者が、借入金や債券などの元本や利息の支払いを、契約どおりに履行できなくなる状態を指します。利払いの遅延や元本返済の停止が発生した時点で、デフォルトとみなされます。 債務不履行が発生すると、債券を保有している投資家は、予定されていた利息や元本の一部または全額を受け取れないリスクに直面し、損失を被る可能性があります。特に、国による債務不履行(ソブリン・デフォルト)は、為替市場や株式市場にも連鎖的な影響を与え、国際的な金融不安を引き起こす要因となることがあります。 また、支払いの一時的な遅延や手続上の不備によって形式的に契約違反が生じる「テクニカル・デフォルト」というケースも存在します。これは即時の経済的破綻を意味するわけではありませんが、発行体の信用力に対する警戒が強まるきっかけとなり得ます。 投資においては、こうしたデフォルトの可能性(デフォルトリスク)をあらかじめ評価し、債券の発行体の財務状況や格付、市場環境を踏まえてリスク管理を行うことが重要です。

自己資本比率

自己資本比率とは、会社が持っている全体の資産のうち、どれだけが借金ではなく自分自身の資本(=自己資本)でまかなわれているかを示す割合のことです。 この比率が高いほど、会社は外部からの借入れに頼らずに経営していることになり、財務的に安定していると判断されやすくなります。たとえば、自己資本比率が50%であれば、会社の資産の半分が自己資本、残り半分が借入金などの他人資本ということになります。 投資家にとっては、自己資本比率が高い企業ほど経営の安定性が高く、倒産のリスクが低いと考えられるため、企業の健全性を見極めるうえで重要な指標のひとつです。特に長期投資を考える際には、注目しておきたい数字です。

信用リスク(クレジットリスク)

信用リスクとは、貸し付けた資金や投資した債券について、契約どおりに元本や利息の支払いを受けられなくなる可能性を指します。具体的には、(1)企業の倒産や国家の債務不履行(いわゆるデフォルト)、(2)利払いや元本返済の遅延、(3)返済条件の不利な変更(債務再編=デット・リストラクチャリング)などが該当します。これらはいずれも投資元本の毀損や収益の減少につながるため、信用リスクの管理は債券投資の基礎として非常に重要です。 この信用リスクを定量的に評価する手段のひとつが、格付会社による信用格付けです。格付は通常、AAA(最上位)からD(デフォルト)までの等級で示され、投資家にとってのリスク水準をわかりやすく表します。たとえば、BBB格付けの5年債であれば、過去の統計に基づく累積デフォルト率はおおよそ1.5%前後とされています(S&Pグローバルのデータより)。ただし、格付はあくまで過去の情報に基づいた「静的な指標」であり、市場環境の急変に即応しにくい側面があります。 そのため、市場ではよりリアルタイムなリスク指標として、同年限の国債利回りとの差であるクレジットスプレッドが重視されます。これは「市場に織り込まれた信用リスク」として機能し、スプレッドが拡大している局面では、投資家がより高いリスクプレミアムを求めていることを意味します。さらに、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保険料率は、債務不履行リスクに加え、流動性やマクロ経済環境を反映した即時性の高い指標として、機関投資家の間で広く活用されています。 こうしたリスクに備えるうえでの基本は、ポートフォリオ全体の分散です。業種や地域、格付けの異なる債券を組み合わせることで、特定の発行体の信用悪化がポートフォリオ全体に与える影響を抑えることができます。なかでも、ハイイールド債や新興国債は高利回りで魅力的に見える一方で、信用力が低いため、景気後退時などには価格が大きく下落するリスクを抱えています。リスクを抑えたい局面では、投資適格債へのシフトやデュレーションの短縮、さらにCDSなどを活用した部分的なヘッジといった対策が有効です。 投資判断においては、「高い利回りは信用リスクの対価である」という原則を常に意識する必要があります。期待されるリターンが、想定される損失(デフォルト確率×損失率)や価格変動リスクに見合っているかどうか。こうした視点で冷静に比較検討を行うことが、長期的に安定した債券運用につながる第一歩となります。

利回り

利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。

名目金利

名目金利とは、金融市場で表示される利率のことで、インフレ率を考慮しない金利を指します。例えば、銀行の預金金利やローンの利率、国債のクーポン利回りなどが該当します。名目金利は、一般的に市場の需給や中央銀行の金融政策によって決まり、経済活動に大きな影響を与えます。 一方、実質金利は、名目金利からインフレ率を差し引いたもので、資産の購買力の変化を示します。例えば、名目金利が5%でインフレ率が3%の場合、実質金利は2%となります。インフレが高いと、名目金利が高くても実質的な利回りは低くなるため、投資や貯蓄の意思決定に影響を与えます。 したがって、名目金利だけでなく、実質金利やインフレ率も考慮することが、金融市場や経済の動向を正しく理解する上で重要です。

実質金利

実質金利とは、名目金利からインフレ率を差し引いた後の金利を指します。この金利は、資金の貸借や投資の実際の収益性を測るための重要な指標であり、インフレの影響を考慮に入れた金利の実態を示します。名目金利が投資やローンの表面的な利率であるのに対し、実質金利はその金利から物価上昇の影響を除いた純粋な利益の率を表しています。 実質金利が正の場合、投資のリターンはインフレ率を上回っていることを意味し、投資家の購買力は増加します。逆に、実質金利が負の場合には、投資のリターンがインフレ率に追いついていないため、時間の経過と共に購買力が減少します。これは、実際の利益が期待ほど高くないことを示しており、投資や貯蓄の実質的な価値が減少している状態です。 投資家は実質金利を用いて、異なる金融商品や投資案件の収益性を比較し、インフレの影響を考慮したうえで最も効果的な投資選択を行うことができます。また、中央銀行は実質金利を金融政策の設定において重要な指標として利用し、経済成長や物価安定の目標を支えるための政策利率を調整する際の参考にします。 実質金利の動向は経済全体の健全性を示すバロメーターともなり、経済の過熱や不況のサインを察知する手がかりとなるため、経済分析において非常に重要な役割を果たします。

インフレ(インフレーション)

インフレーションとは、物価全体が持続的に上昇し、その結果、通貨の購買力が低下する現象です。経済活動が活発になり、需要が供給を上回ると価格が上昇しやすくなります。また、生産に必要な原材料費や人件費の上昇が企業のコストに転嫁されることで、さらに物価が上昇することがあります。適度なインフレーションは経済成長の一側面とされる一方、過度な物価上昇は家計の負担を増大させ、経済全体の安定性を損なうリスクがあるため、中央銀行は金利操作などの金融政策を通じてインフレーションの抑制に努めています。

キャピタルゲイン(売却益)

キャピタルゲイン(売却益)とは、保有していた資産を売却することで得られる利益のことを指します。株式や不動産、債券、金などの貴金属を購入時の価格より高い価格で売却した場合、その差額がキャピタルゲインです(対義語:インカムゲイン)。 例えば、1,000円で購入した株を1,500円で売却すれば、500円がキャピタルゲインです。ただし、売却時には税制や手数料を考慮する必要があり、特に金融資産では 譲渡益課税 が適用されることが多くあります。 キャピタルゲインは、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、購入時より価格が下がると 元本割れのリスク も伴います。そのため、資産運用では 売却益の確保 と 税負担の最適化 が重要な戦略の一つです。

インカムゲイン(インカム)

インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。

デュレーション

デュレーションは、債券価格が金利変動にどれほど敏感かを示す指標で、同時に投資資金を回収するまでの平均期間を意味します。 一般に「Macaulay デュレーション」を年数で表し、金利変化率に対する価格変化率を示す「修正デュレーション」は Macaulay デュレーションを金利で割って算出します。 数値が大きいほど金利 1 %の変動による価格変動幅が大きく(例:修正デュレーション 5 年の債券は金利が 1 %上昇すると約 5 %値下がり)、金利リスクが高いと判断できます。一方で金利が低下すれば同じ倍率で価格は上昇します。デュレーションを把握しておくことで、ポートフォリオ全体の金利感応度を調整したり、将来のキャッシュフローと金利見通しに応じて保有債券の残存期間やクーポン構成を選択したりする判断材料になります。特に金利の変動が読みにくい局面や長期安定運用を重視する場面では、利回りだけでなくデュレーションを併せて確認することが重要です。

流動性リスク

流動性リスクとは、資産を売却したいときに市場で買い手が見つからず、希望する価格で売却できないリスクのことを指します。特に市場が混乱した場合や、取引量の少ない資産では、このリスクが顕著になります。例えば、不動産や未上場株式、流動性の低い債券などは、売却に時間がかかることが多く、想定よりも低い価格での取引を余儀なくされる場合があります。金融機関や企業にとっては、必要な資金を調達できずに支払いが滞る可能性があることを意味し、経済危機や市場の急激な変動時には特に注意が必要です。投資ポートフォリオを構築する際には、資産の換金しやすさを考慮し、現金や流動性の高い資産とのバランスを取ることが重要とされます。

公募債

公募債とは、多くの投資家を対象に広く募集される形式で発行される債券のことをいいます。企業や地方自治体、国などが資金調達のために発行し、証券会社などを通じて一般の投資家に販売されます。特徴としては、不特定多数に対して情報が公開されるため、透明性が高く、誰でも購入しやすいという点があります。公募債は、企業などの資金調達手段としてよく使われており、社債や地方債、国債など、さまざまな種類があります。投資初心者でも比較的安心して購入しやすい債券として、資産運用の一環として活用されることが多いです。

途中売却(途中換金)

途中売却(途中換金)とは、本来の満期や運用期間が終わる前に、保有している金融商品を売却して現金化することを指します。たとえば、5年満期の債券を3年目で売ってしまう場合などがこれにあたります。資金が急に必要になったときや、市場環境の変化によって商品を手放したいときなどに行われます。 ただし、途中で売却すると、購入時に予定していた利回りが得られなくなったり、売却価格が元本を下回ることもあり、損失が発生する可能性があります。また、一部の商品では途中売却が制限されていたり、手数料がかかる場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。資産運用においては、流動性とリスクのバランスを考えるうえで重要な考慮点となります。

個人向け国債

個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。

新窓販国債

新窓販国債とは、個人投資家向けに販売される日本国債の一種で、正式には「新窓口販売方式による国債」のことを指します。従来の国債に比べて、比較的少額から購入できるように設計されており、銀行や証券会社の窓口で簡単に申し込めるのが特徴です。固定金利型や変動金利型など種類があり、安全性が高く、元本が保証されるため、資産運用初心者にも人気があります。資産運用の場面では、リスクを抑えたい場合の運用先として、新窓販国債が選ばれることが多いです。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

アンダーパー

アンダーパーとは、投資信託や債券などの金融商品が、その額面金額(例えば100円)よりも低い価格で取引されている状態のことを指します。たとえば、額面100円の債券が95円で取引されている場合、「アンダーパーで取引されている」と表現します。これは、その商品に対する市場の評価が低かったり、金利環境の変化などが影響している可能性があります。投資家にとっては、将来の満期時に額面で償還される場合、購入価格との差額が利益となることがありますが、同時にリスクも伴うため、注意が必要です。

オーバーパー

オーバーパーとは、投資信託や債券などの金融商品が、その額面金額よりも高い価格で取引されている状態のことを指します。たとえば、額面100円の債券が105円で売買されている場合、「オーバーパーで取引されている」と表現します。このような状態になる背景には、発行体の信用力が高いと市場で評価されていたり、既発債券の利率が現在の市場金利よりも高く、魅力的に見えるといった要因があります。投資家は、オーバーパーで購入した場合、満期時には額面で償還されるため、購入価格との差額が損失になることもあるため、利息収入と合わせて全体の収益性を考慮する必要があります。

分離課税

分離課税(ぶんりかぜい)とは、特定の所得について他の所得と合算せず、その所得単独で税額を計算し、課税する方式です。分離課税には「源泉分離課税」と「申告分離課税」の2種類があります。

源泉徴収

源泉徴収とは、給与や報酬、利子、配当などの支払いを受ける人に代わって、支払者があらかじめ所得税を差し引き、税務署に納付する制度です。特に給与所得者の場合、会社が毎月の給与から所得税を控除し、年末調整で過不足を精算します。 この制度の目的は、税金の徴収を確実に行い、納税者の負担を軽減することです。例えば、会社員は確定申告を行わずに納税が完了するケースが多くなります。ただし、個人事業主や一定の副収入がある人は、源泉徴収された金額を基に確定申告が必要になることがあります。 また、配当金や利子の源泉徴収税率は原則20.315%(所得税15.315%+住民税5%)ですが、金融商品によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

特定口座

特定口座とは、投資家の税金計算を簡便にするための口座形式です。証券会社が運用益や損益を自動計算し、年間取引報告書を発行します。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、「源泉徴収あり」を選択すれば、税金が取引時点で自動的に納付されます。これにより、確定申告が不要になるため、多くの投資家に利用されています。ただし、損益通算や損失の繰越控除を行う場合は確定申告が必要です。

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