
退職金運用に定期預金はおすすめしない?理由や国債との比較を解説
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公開:
2025.03.07
更新:
2025.03.07
目次
多くの金融機関では、退職金が支給された方を対象とした「退職金専用定期預金」を用意しています。普通預金や通常の定期預金よりも高金利で預け入れができるメリットがある反面、いくつか注意すべきデメリットがあります。
デメリットを理解しないまま、退職金専用定期預金を利用するのはおすすめしません。具体的なデメリットとして、優遇金利が適用される期間が限定されていたり、インフレに対応できなかったりする点が挙げられます。
実際に申し込む前に、商品の実態や特徴、自分との相性などを確認しましょう。今回は、退職金専用定期預金の特徴やおすすめしない理由を解説します。
退職金専用定期預金の特徴と仕組み
まずは、退職金専用定期預金の基本的な特徴と仕組みを解説します。通常の定期預金との違いを理解し、どのような場面で活用できそうか確認しましょう。
通常の定期預金との違い
退職金専用定期預金は、通常の定期預金よりも高い金利が適用されます。通常の定期預金金利は0.5%程度が相場ですが、退職金専用定期預金の中には、1.0%を超える金利を設定しているケースがあります(2024年11月時点)。
定期預金は元本割れのリスクがない安全な金融商品なので、リスクを抑えながらも収益性を求めている方にとって、魅力的に映るかもしれません。
金利の傾向と預入条件
実際に退職金専用定期預金を取り扱っている金融機関の、具体的な金利を比較してみましょう。
銀行名 | 預入期間 | 金利 |
---|---|---|
西京銀行 | 3ヶ月 | 3.0% (4ヶ月目以降は0.125%) |
みなと銀行 | 3ヶ月 | 1.5%(4ヶ月目以降は0.125%) |
第四北越銀行 | 3ヶ月 | 1.3%(4ヶ月目以降は0.105%) |
トマト銀行 | 3ヶ月 | 店頭表示金利+1.0%(預入が1,000万円以上の場合。4ヶ月目以降は0.105%) |
香川銀行 | 3ヶ月 | 店頭表示金利+1.0%(預入が300万円以上の場合。4ヶ月目以降は0.105%)) |
銀行 名 | 1年目の 税引き前利息 (預入額100万円) | 2年目以降の 税引き前利息 (預入額 100万円) |
---|---|---|
西京銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×3.0%×0.25=7,500円 残りの9ヶ月 100万円×0.125%×0.75=937.5円 1年目の合計利息 =7,500円+937円=8,437円 | 100万円×0.125%=1,250円 |
みなと銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×1.5%×0.25=3,750円 残りの9ヶ月 100万円×0.125%×0.75= 937円 3,750円+937円=4,687円 | 100万円×0.125%=1,250円 |
第四北越銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×1.3%×0.25=3,250円 残りの9ヶ月 100万円×0.105%×0.75=787円 3,250円+787円= 4,037円 | 100万円×0.105%=1,050円 |
トマト銀行 | 最初の3ヶ月 100万円 ×1.105%×0.25=2,762円 残りの9ヶ月 100万円×0.105%×0.75=787円 1年目の合計利息 =2,762円+787円 = 3,549円 | 100万円×0.105%=1,050円 |
香川銀行 | 最初の3ヶ月 100万円×1.105%×0.25=2,762円 残りの9ヶ月 100万円×0.105%×0.75=787円 1年目の合計利息 =2,762円+787円 = 3,549円 | 100万円×0.105%=1,050円 |
多くの退職金専用定期預金は、1.0%~3.0%程度の金利が設定されていることがわかります。また、多くの退職金専用定期預金では、優遇金利が適用される期間は3ヶ月と短期間です。
優遇金利が適用される期間が終了すると、適用金利は下がるのが一般的です。その結果、1年目と2年目では、受け取れる利息に差が出てしまうことがわかります。
なお、退職金専用定期預金は、多くの場合で預入条件が設けられています。例えば、退職後一定期間内(1年~3年以内など)に退職金を受け取った方が対象となるケースが一般的です。
退職金専用定期預金 | 定期預金 | |
---|---|---|
預入期間 | 3ヶ月~1年程度(期間経過後は一般的な定期預金金利が適用) | 1ヶ月~10年など(金融機関によって異なる) |
最低預入額 | 数百万円(金融機関によって異なる) | 特になし |
また、退職金専用定期預金の預入期間は3ヶ月~1年程度に設定されています。預入期間が経過すると、段階的に適用金利が下がったり、通常の定期預金金利が適用されたりする商品が主流です。
ほかにも、預入にあたって最低金額を設けている金融機関もあります。例えば、三井住友信託銀行では最低100万円を最低預入金額に設定しており、通常の定期預金よりも多くの金額を預け入れる必要があります。
退職金専用定期預金の注意点
退職金専用定期預金は通常の定期預金よりも適用金利が高いため、魅力的に映りがちです。
しかし、退職金専用定期預金へ預け入れる前に知っておくべき注意点があります。
優遇金利が適用されるのは短期間
退職金専用定期預金のメリットの一つに高金利である点が挙げられますが、優遇金利が適用されるのは短期間です。金融機関によって異なりますが、長くても1年程度に過ぎません。
優遇期間が経過すると、段階的に適用金利が下がったり、通常の定期預金と同じ金利が適用されたりします。高金利のメリットを受けられる期間は限定的である点は留意するべきでしょう。
さらに、預入期間の途中で解約すると優遇金利は適用されません。無計画に預け入れたあと、医療費や介護費などを工面するために解約を余儀なくされると、高金利のメリットを受けられません。
抱合せで手数料の高い投資信託が購入条件とされることがある
一部の金融機関では、退職金専用定期預金を利用するための条件として、自社が販売している投資信託やファンドラップの購入を設けています。
金融 機関 | コース名 ・条件 | ファンドラップ の手数料 | 優遇 金利 |
---|---|---|---|
三菱UFJ信託銀行 | ファンドラップコース 預入れ総額の50%以上を「MUFGファンドラップ」で運用する | 投資一任運用に係る報酬:0.462%~1.309% 投資信託の運用管理費用(信託報酬) :0.23%~0.565% | 年7.2%(預入期間3ヶ月) |
三井住友信託銀行 | 退職金特別プラン「運用50タイプ」 申し込み総額の50%以上の金額で投資信託または三井住友信託ファンドラップを購入する | 投資顧問報酬(固定報酬):最大年率1.760% 投資顧問報酬(成功報酬)運用成果の16.5% ほか、投資信託の信託報酬 | 年7.2%(預入期間3ヶ月) |
上表はあくまでも一例で、ほかにもさまざまな金融機関が退職金専用定期預金の抱き合わせとして、投資信託やファンドラップを販売しています。
投資信託やファンドラップの中には手数料が高額だったり、投資経験が少ない方にとっては理解が難しかったりするケースが少なくありません。
ファンドラップとは、運用を金融機関に任せられる金融商品です。手間がかからないメリットがある一方で、必ず利益を得られるとは限らないうえに、手数料が高いデメリットがあります。
店頭には高金利の退職金専用定期預金を大々的にアピールしておきながら、最終的な目的は投資信託ファンドラップの販売、という可能性がある点には注意しましょう。
高額な手数料が発生する投資信託を購入すると、退職金専用定期預金で得られる利息以上の手数料を支払う事態になりかねません。つまり、最終的に損をしてしまう恐れがあるため、安易に投資信託を購入するのは控えたほうがよいでしょう。
なぜ定期預金全般がおすすめされないのか?
定期預金がおすすめされない理由は以下の3点です。
- 比較的低金利になりやすい
- インフレーションに弱い
- 運用の機会損失が発生する
退職金専用定期預金以外にも、定期預金は収益性が乏しくインフレーションに対応できないというデメリットがあります。以下で、定期預金全般をおすすめできない理由について、経済環境やほかの選択肢と比較しながら解説します。
1.比較的低金利になりやすい
定期預金は元本割れしない安全性がある一方で、収益性が乏しく低金利になりやすいデメリットがあります。投資の世界では「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」が鉄則なので、この点は致し方ありません。
昨今、日本銀行は利上げを行っているものの、いまだに金利は低い水準にあります。ある程度リスクを取って運用したい場合、定期預金の金利は十分とはいえません。
2.インフレーションに弱い
定期預金は、インフレーション(物価の上昇)に対応できません。預入時の条件に基づいて適用金利が固定され、預入期間中に金利は見直されないのが原則です。
総務省の資料によると、2024年10月の物価は、前年同期比2.3%の上昇でした。つまり、インフレーションにより、預貯金の実質的な価値が2.3%低下していることになります。
インフレーションに対抗するにはインフレ率以上の利率で運用する必要がありますが、定期預金だけで対応するのは現実的ではありません。
「元本割れは避けたいから」という理由で、資産のほとんどを定期預金で保有していると、実質的な資産価値がどんどん減ってしまう点には注意するべきでしょう。
3.運用の機会損失が発生する
定期預金に回すお金を増やしすぎると、ほかの金融商品を購入して運用するお金が減ってしまいます。その結果、運用で増やせる機会を失ってしまう「機会損失」が発生し、長期的に損をする可能性があります。
例えば、2,000万円の退職金が支給されて以下のパターンで運用したとき、どのような結果になるかシミュレーションしてみましょう。
- ケース①:2.000万円をすべて金利0.5%の定期預金に預け入れる
- ケース②:1,000万円で期待利回り5.0%の投資信託を購入し、1,000万円を金利0.5%の定期預金に預け入れる
ケース① | ケース② | |
---|---|---|
10年後 | 21,022,803円 | 投資信託:16,288,946円 定期預金:10,511,401円 合計:26,800,347円 |
15年後 | 21,553,655円 | 投資信託:20,789,282円 定期預金:10,776,827円 合計:31,556,109円 |
20年後 | 22,097,912円 | 投資信託:26,532,977円 定期預金:11,048,956円 合計:37,581,933円 |
上表のように、退職金の半分を投資信託の購入に充てた場合と、全額を定期預金に預け入れた場合では20年後に約1,548万円の差がつきました。
ただし、シミュレーションでは「退職金を生活費として取り崩さずに運用し続ける」という前提なので、実際に取り崩しを行うとシミュレーションは異なる結果になります。
投資信託は、運用に寄って価格が日々変化します。価格が下がった結果、元本割れする可能性もあります。
そのため、必ずしも毎年5%の利回りで運用できるとは限らない点に注意が必要です。価格変動の幅があり、場合によっては元本割れが生じる可能性がある点に注意しましょう。
定期預金と個人向け国債を選ぶならどっち?
元本割れが発生しない安全性が高い金融商品として、個人向け国債があります。
リスクを抑えて運用したい場合、定期預金だけでなく個人向け国債も検討すべき選択肢の一つです。
関連記事:個人向け国債は買ってはいけない?やめとけと言われる理由を解説
定期預金と個人向け国債のメリット・デメリットを比較
定期預金と個人向け国債の違いをまとめると、以下のとおりです。
定期預金 | 個人向け国債 | |
---|---|---|
安全性 | 高い | さらに高い |
流動性 | 高い | 高い(購入後1年間は解約できない) |
金利 | 0.2%~0.7%程度 | 固定3年:0.38% 固定5年:0.51% 変動10年:0.61% (2024年10月発行分) |
適用金利の見直し | × | ○(変動10年のみ。半年に1回) |
複利効果(元利継続) | ○ | × |
自動購入 | ○(金融機関による) | × |
預金保護の対象 | ○ | × |
iDeCoでの取り扱い | ○ | × |
解約時 | 普通預金金利が適用される(金融機関によって取り扱いは異なる) | 直近2回分の利息が差し引かれる |
メリット | ・いつでも解約できる ・元利継続を選択すれば複利効果を得られる ・定期的な積立購入ができる | ・金融商品の中でも安全性がトップクラスに高い ・変動10年は金利上昇の恩恵を受けられる ・定期預金よりも金利が比較的高い |
デメリット | ・途中で解約すると普通預金金利が適用される ・インフレーションに対応できない ・金利上昇の恩恵を受けられない | ・購入後1年間は解約できない ・利息は都度受け取る必要があり、複利効果は得られない |
定期預金は銀行にお金を預け入れる金融商品ですが、個人向け国債は政府へお金を貸す金融商品です。銀行と政府を比較した場合、政府のほうが安心してお金を貸せる点を考えると、個人向け国債のほうが安全性は高いといえるでしょう。
流動性の高さは、ほとんど変わりません。個人向け国債は購入後1年間解約できない点を考えると、わずかながら定期預金のほうが優れているといえそうです。
個人向け国債の中でも、変動10年は適用金利が見直されます。今後の金利上昇の恩恵を受けたい場合は、定期預金ではなく個人向け国債の変動10年を購入するとよいでしょう。
定期預金と個人向け国債のどちらがおすすめ?
定期預金と個人向け国債はいずれも、元本を確実に守りたいお金を運用する際に有効活用できます。以下で、個人の財務状況や運用目的に応じて、それぞれおすすめできる人の特徴をまとめました。
定期預金が おすすめの人 | 個人向け国債が おすすめの人 |
---|---|
・1年以内に解約する可能性がある人 ・運用期間が比較的短い人(おおむね3年以内) ・手間をかけず自動的・定期的にお金を預け入れたい人 | ・少しでも高い収益性を求める人 ・運用資金が1,000万円を超える人 ・金利上昇の恩恵を受けたい人(変動10年) |
定期預金は預け入れてからいつでも解約できるため、1年以内に解約する可能性がある方や運用期間が短い方に向いています。また、多くの金融機関では自動積立機能のサービスを提供しているため、手間をかけず着実に貯蓄を増やしたい方とも好相性でしょう。
元本保証の金融商品で、少しでも収益性が高い商品を探している方は個人向け国債が向いています。適用される金利が半年に1回見直され、金利上昇の恩恵を受けたいと考えている方は、個人向け国債の変動10年を購入するのがおすすめです。
関連記事:安全な資産運用の味方!シニア債・一般社債を わかりやすく解説
まとめ
退職金を受け取った人向けの退職金専用定期預金は、期間限定で高金利が適用されます。一見するとメリットが大きい商品ですが、優遇金利が適用されるのは短期間で、抱合せで手数料の高い投資信託が購入条件とされているケースがあるため注意しましょう。
そもそも、定期預金は安全に保全したい資産の預入先として適しており、高いリターンを狙うには適しません。株式や債券、投資信託などへ投資したほうが、資産寿命を伸ばせる可能性が高いでしょう。
退職金を受け取ったら、自分のリスク許容度や今後の資金ニーズなどを鑑みて、どのように運用すべきか考えることが大切です。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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関連する専門用語
退職金専用定期預金
退職金を受け取った人を対象に、金融機関が特別な金利で提供する定期預金のことを指す。通常の定期預金よりも高い金利が適用されることが多く、一定の預入期間や最低預入額が設定されている。退職金の運用方法として、安全性を重視する人に適した選択肢とされるが、預入期間の途中で解約すると通常の定期預金よりも低い金利が適用される場合がある。
優遇金利
優遇金利とは、特定の条件を満たした場合に適用される通常よりも高い金利のことを指します。例えば、大口預金や特定の取引を行うことで適用される場合があります。金融機関が顧客の預金を増やすための施策として用いられますが、適用条件や期間に制限があることが多いため、詳細を確認することが重要です。資産運用の観点では、優遇金利を活用して効率的に資産を増やす工夫が求められます。
最低預入額
最低預入額とは、銀行や金融機関が定める預金商品の最低預け入れ金額のことを指す。定期預金や投資信託、外貨預金などの金融商品では、口座開設や運用を始める際に一定の金額以上を預ける必要がある場合がある。この基準額は金融機関や商品によって異なり、少額から始められるものもあれば、高額の資金を必要とするものもある。最低預入額が設定されている理由には、金融機関の管理コストや運用効率の確保がある。投資を始める際には、この条件を確認し、自身の資金計画に合った商品を選択することが重要である。
元本保証
元本保証とは、投資や預金において、満期まで保有すれば最低でも投資した元本が保証される仕組みを指します。銀行預金や一部の保険商品などが該当し、元本が減るリスクを抑えられるため、安全性を重視する人に向いています。しかし、元本保証がある商品は一般的に利回りが低く、インフレによる実質的な購買力の低下を考慮する必要があります。
機会損失
機会損失とは、ある選択をしたことによって、別の選択肢で得られたはずの利益を失うことを指します。例えば、低金利の預金に資金を預けている間に、高利回りの投資商品で運用する機会を逃す場合などが該当します。資産運用においては、慎重になりすぎて投資を見送ることで得られたはずのリターンを逃さないよう、適切なリスク管理を行うことが重要です。
変動金利
変動金利とは、市場の金利動向に応じて一定の期間ごとに金利が見直される仕組みのことを指します。住宅ローンや投資信託の分野でよく使われ、金利が低下すれば支払い負担が軽くなる一方で、金利上昇時には支払額が増加するリスクがあります。短期的な金利低下が見込まれる場合に有利ですが、将来的な金利上昇に備えた資金計画が重要です。
固定金利
固定金利とは、契約時に決めた金利が満期まで変わらない金利のことを指します。主に住宅ローンや定期預金などで採用され、金利変動のリスクを避けられるメリットがあります。市場金利が上昇しても支払額が増えないため、長期的な資金計画を立てやすい一方で、市場金利が下がった場合には高い金利を支払い続けるデメリットもあります。
退職金
退職金とは、長年勤務した従業員が退職する際に企業から支給される一時金のことです。その金額は、勤務年数や役職、企業の規模や方針などによって決まり、退職後の生活を支える目的で支給されます。また、従業員にとっては将来への安心感を得るための制度であり、企業にとっては長年の貢献に対する感謝の意を示すとともに、円滑な人事の移行を促す役割も果たします。 退職金は、通常の給与とは異なり、特別な支払いとして扱われるため、税金の計算方法も異なります。一定の条件を満たすと税優遇措置が適用され、受け取る金額に対する税負担が軽減されることがあります。そのため、退職金を受け取る際には、税制や受け取り方法について事前に確認しておくことが大切です。 退職金の制度や金額の決め方は、企業の就業規則や雇用契約によって定められています。また、一括で受け取る方法と分割して受け取る方法があり、運用方法によっては老後の資産形成にも活用できます。退職金をどのように管理・運用するかは、将来の生活設計に大きく影響するため、計画的に活用することが重要です。
インフレーション
インフレーションとは、物価全体が持続的に上昇し、その結果、通貨の購買力が低下する現象です。経済活動が活発になり、需要が供給を上回ると価格が上昇しやすくなります。また、生産に必要な原材料費や人件費の上昇が企業のコストに転嫁されることで、さらに物価が上昇することがあります。適度なインフレーションは経済成長の一側面とされる一方、過度な物価上昇は家計の負担を増大させ、経済全体の安定性を損なうリスクがあるため、中央銀行は金利操作などの金融政策を通じてインフレーションの抑制に努めています。
個人向け国債
国が発行する個人の方を対象とした債券のこと
複利
利息などの運用成果を元本に加え、その合計額を新たな元本として収益拡大を図る効果。利息が利息を生むメリットがあり、運用成果をその都度受け取る単利に比べ、高い収益を期待できるのが特徴。短期間では両者の差は小さいものの、期間が長くなるほどその差は大きくなる。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
信託報酬
信託報酬は、投資信託を運用するための費用として、投資家が保有資産に対して負担する手数料です。運用会社、販売会社、受託会社が投資信託の運用や管理に必要な費用をカバーするために徴収されます。費用は年間の信託財産の一定割合(例:0.1~2%)で計算され、投資信託の純資産価値(基準価額)から日々差し引かれます。そのため、運用成績が悪い場合でも信託報酬は発生し、投資信託を選ぶ際の重要な比較要素となります。
ファンドラップ
ファンドラップは、金融機関が顧客から資産運用を一任され、顧客の目標やリスク許容度に応じてポートフォリオを構築・管理するサービスです。顧客の資産を複数の投資信託やETFなどに分散投資し、運用を行います。運用内容や資産配分の調整(リバランス)は専門家が行い、定期的な運用状況の報告も提供されます。 主に、初心者や忙しい投資家が利用することが多く、手数料はファンドラップ・フィーとして一括で支払う形式が一般的です。この手数料には運用管理費やアドバイス料が含まれます。
リスク許容度
リスクとは収益(リターン)の振れ幅のこと。収益がどれくらいまでならマイナスになっても受け入れることができるか、という度合いのこと。