Loading...

MENU

記事>
定期預金はおすすめしない?5つの理由とデメリットや国債との比較を解説

定期預金はおすすめしない?5つの理由とデメリットや国債との比較を解説

難易度:

執筆者:

公開:

2025.03.07

更新:

2025.05.29

債券退職金インフレ対策定期預金

超低金利時代でも「元本保証」で選ばれがちな定期預金ですが、利息はインフレに届かず途中解約には想像以上のペナルティが潜んでいます。本記事では定期預金の利点を認めつつ、目減りリスクや銀行の販売構造を数値で検証し、個人向け国債など代替策と比較して退職金や生活防衛資金をどう配分すべきかの判断材料を示します。さらにインフレ率と実質利回りの推移を図解し、見落とされがちな運用コストも明らかにします。この記事を読むだけで、定期預金と国債のどちらが自分の資産保全に適するかを短時間で判断できる土台が整います。ぜひ活用してください。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、従来元本保証とされる定期預金がインフレ率を下回り実質資産を減らすメカニズム、退職金専用定期預金については優遇期間終了後に利率が急降下する理由、途中解約で利息ゼロ・手数料負担が生じるリスクが把握できます。さらに変動金利も選択できる個人向け国債と比較し、利回り・流動性・機会損失を数値で検証。退職金などのまとまったお金を、生活防衛資金、長期運用資金を安全かつ効率的に分割し、自分のリスク許容度で最適配分を判断できるようになります。

目次

定期預金はやめたほうがいい、と言われる理由と5つのデメリット

インフレ負けの可能性:インフレで元本保証が実質“元本割れ”に

金利が低すぎて資産が増えない

運用の機会損失が大きい:投資信託と比較

途中解約ペナルティが重い:途中解約のデメリットと手数料まとめ

投信抱き合わせで手数料がかさむ恐れ

それでも「定期預金しか考えられない」と感じる3つの理由

①退職金や相続資産など大きなお金の一時的な置き場が必要

②元本保証への強いこだわり:ただし元本保証=安全ではない

③夫婦でリスク許容度が異なる:リスクギャップをどう埋める?

退職金専用定期預金とは?優遇金利と3つの注意点

退職金専用定期預金と通常の定期預金の違い

退職金専用定期預金の金利の傾向と預入条件

優遇金利が適用されるのは短期間

退職金専用定期の3つの注意点

優遇期間終了後は通常金利以下になる低金利化

途中解約すると高金利が一切付かず利息ほぼゼロへ

投資信託抱き合わせ条件の有無を必ず確認

生活防衛資金として定期預金を活用する方法

定期預金と個人向け国債を選ぶならどっち?

定期預金と個人向け国債のメリット・デメリットを比較

定期預金と個人向け国債のどちらがおすすめ?

定期預金はやめたほうがいい、と言われる理由と5つのデメリット

大切な退職金、まずは安全な定期預金に…と考える人も多いでしょう。しかし、「定期預金はやめたほうがいい」という声があるのも事実です。安全だと思っていた定期預金に、一体どんなデメリットがあるのでしょうか? ここでは、そう言われる主な理由である5つのデメリットを、ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみましょう。

インフレ負けの可能性:インフレで元本保証が実質“元本割れ”に

定期預金は物価上昇(インフレ)に弱いという弱点があります。物価が上昇すると、お金の価値が相対的に下がります。例えば、物価が年2%上昇している中、金利0.2%の定期預金に預けると、実質的には資産の価値が約1.8%減ってしまいます。元本は減りませんが、購買力が下がるリスクがあります。

定期預金で資産が目減りする仕組みについては、以下質問に対しても解説しています。

金利が低すぎて資産が増えない

定期預金は安全ですが、金利が低いため資産を大きく増やすことは難しい「ローリスク・ローリターン」な金融商品です。

債券を中心としたリスクとリターンの関係イメージです。資産クラスごとのリスク・リターンの関係を説明した図です。預貯金や債券はローリスク・ローリターン、仮想通貨等はハイリスク・ハイリターンです。ローリスク・ハイリターンのような都合の良い資産はありません。

例えば、金利0.5%の定期預金に100万円を預けても年間利息は税引き前で5,000円程度です。資産を増やしたい場合、定期預金だけでは十分ではありません。

運用の機会損失が大きい:投資信託と比較

退職金を全額定期預金にすると、より高いリターンを得る機会を逃してしまう可能性があります。

例えば、2,000万円の退職金を以下の2パターンで運用した場合を比較します。

ケース①:全額定期預金(年利0.5%)

ケース②:半分を投資信託(期待利回り5%)、半分を定期預金(年利0.5%)

これらケースの10年後、15年後、20年後の資産の推移は以下表のとおりです。

ケース①ケース②
10年後21,022,803円投資信託:16,288,946円
定期預金:10,511,401円
合計:26,800,347円
15年後21,553,655円投資信託:20,789,282円
定期預金:10,776,827円
合計:31,556,109円
20年後22,097,912円投資信託:26,532,977円
定期預金:11,048,956円
合計:37,581,933円

上表のように、退職金の半分を投資信託の購入に充てた場合と、全額を定期預金に預け入れた場合では20年後に約1,548万円の差がつきました。

ただし、シミュレーションでは「退職金を生活費として取り崩さずに運用し続ける」という前提なので、実際に取り崩しを行うとシミュレーションは異なる結果になります。

投資信託は、運用に寄って価格が日々変化します。価格が下がった結果、元本割れする可能性もあります。

そのため、必ずしも毎年5%の利回りで運用できるとは限らない点に注意が必要です。価格変動の幅があり、場合によっては元本割れが生じる可能性がある点に注意しましょう。

途中解約ペナルティが重い:途中解約のデメリットと手数料まとめ

定期預金は満期前に解約すると大幅に金利が下がります。通常は普通預金並み(年0.001%程度)の低金利しか適用されません。急な資金需要に対応しにくく、柔軟性が低いのがデメリットです。

投信抱き合わせで手数料がかさむ恐れ

「退職金専用定期預金」など一部の特別プランには通常より高い金利の代わりに、「投資信託を同時に購入する」という条件が付く場合があります。そして、セットで勧められる投資信託は、購入時にかかる手数料(販売手数料)や、保有中にかかる費用(信託報酬)が割高な商品であるケースが少なくありません。 ひどい例では、定期預金の利息よりも、投資信託の購入手数料の方が高くつき、トータルで損をしてしまうこともあります。高金利という「エサ」に釣られて、不要なコストを負担させられないよう、注意が必要です。

それでも「定期預金しか考えられない」と感じる3つの理由

定期預金のデメリットを知っていても、「やはりリスクのある運用は怖い」と考えるのは自然なことです。退職金を受け取ったばかりの資産運用初心者ならなおさらでしょう。定期預金を選びたくなる背景には、以下の3つの理由があります。

①退職金や相続資産など大きなお金の一時的な置き場が必要

退職金や相続資産のようなまとまったお金を受け取ると、まずは安全に保管できる場所が必要になります。普通預金だとつい使ってしまったり、投資勧誘が来たりする可能性があります。一方、定期預金なら元本保証で普通預金より少し高い金利がつくため、「とりあえずの置き場所」として安心できるのです。

②元本保証への強いこだわり:ただし元本保証=安全ではない

長年の勤務を経て受け取った退職金ですから、「絶対に減らしたくない」という気持ちが強くなります。年齢を重ねると、大きなリスクを取ることへの抵抗感も強くなります。定期預金の「元本保証」は、その安心感から多くの人に選ばれる要因となっています。ただし、インフレによる実質的な価値の目減りには注意が必要です。

③夫婦でリスク許容度が異なる:リスクギャップをどう埋める?

夫婦間で資産運用の方針を話し合う際、リスク許容度が異なる場合があります。例えば、一方は積極的な運用で資金を増やしたいのに対し、もう一方は元本割れのリスクを避けたいというケースです。意見がまとまらない時、「無難な選択肢」として定期預金に落ち着くことが多くなります。このような方針決定の難しさも、定期預金を選ぶ理由の一つです。

リスク許容度については以下Q&Aをご参照ください。

退職金専用定期預金とは?優遇金利と3つの注意点

退職金を受け取った方向けに、銀行が特別なプランとして用意しているのが「退職金専用定期預金」です。通常の定期預金よりも高い金利が設定されていることが多く、魅力的に見えますが、利用するには条件があり、注意すべき点もいくつかあります。

退職金専用定期預金と通常の定期預金の違い

退職金専用定期預金は、通常の定期預金よりも高い金利が適用されます。通常の定期預金金利は0.5%程度が相場ですが、退職金専用定期預金の中には、1.0%を超える金利を設定しているケースがあります(2024年11月時点)。

定期預金は元本割れのリスクがない安全な金融商品なので、リスクを抑えながらも収益性を求めている方にとって、魅力的に映るかもしれません。しかし、退職金専用定期預金は、誰でも、いつでも利用できるわけではありません。通常の定期預金との主な違いをまとめました。

項目退職金専用定期預金通常の定期預金
対象者退職金受取後、一定期間内の人のみ (例: 1年以内) 、一人1回限りが多い原則誰でも利用可能
最低預入額まとまった金額が必要 (例: 100万円以上)1万円程度から可能な場合が多い
預入上限額退職金の範囲内などの制限がある場合あり制限がない場合が多い
途中解約可能だが、優遇金利は適用されず、普通預金並みの低金利になる可能だが、普通預金並みの低金利になる
その他条件投資信託等の同時購入が条件の場合あり通常なし

このように、利用できる人や金額、期間に制限がある特別な商品であることがわかります

退職金専用定期預金の金利の傾向と預入条件

実際に退職金専用定期預金を取り扱っている金融機関の、具体的な金利を比較してみましょう。

銀行名預入期間金利
西京銀行3ヶ月3.0%(4ヶ月目以降は0.125%)
みなと銀行3ヶ月1.5%(4ヶ月目以降は0.125%)
第四北越銀行3ヶ月1.3%(4ヶ月目以降は0.105%)
トマト銀行3ヶ月店頭表示金利+1.0%(預入が1,000万円以上の場合。4ヶ月目以降は0.105%)
香川銀行3ヶ月店頭表示金利+1.0%(預入が300万円以上の場合。4ヶ月目以降は0.105%))

多くの退職金専用定期預金は、1.0%~3.0%程度の金利が設定されていることがわかります。また、多くの退職金専用定期預金では、優遇金利が適用される期間は3ヶ月と短期間です。

優遇金利が適用されるのは短期間

退職金専用定期預金の最大の特徴は、預け入れ当初の非常に短い期間(多くは3ヶ月程度)だけ、年3.0%やそれ以上といった、通常では考えられないような高金利が適用されることです。 しかし、この高い金利がずっと続くわけではありません。優遇期間が終わると、金利は大幅に引き下げられ、通常の定期預金と同じか、場合によってはそれ以下の低い金利になってしまうのが一般的です。

以下表に1年目・2年目の利息例を示します。

銀行名1年目の税引き前利息
(預入額100万円)
2年目以降の税引き前利息
(預入額100万円)
西京銀行最初の3ヶ月
100万円×3.0%×0.25=7,500円
残りの9ヶ月
100万円×0.125%×0.75=937.5円
1年目の合計利息 =7,500円+937円=8,437円
100万円×0.125%=1,250円
みなと銀行最初の3ヶ月
100万円×1.5%×0.25=3,750円
残りの9ヶ月
100万円×0.125%×0.75= 937円
3,750円+937円=4,687円
100万円×0.125%=1,250円
第四北越銀行最初の3ヶ月
100万円×1.3%×0.25=3,250円
残りの9ヶ月
100万円×0.105%×0.75=787円
3,250円+787円= 4,037円
100万円×0.105%=1,050円
トマト銀行最初の3ヶ月
100万円×1.105%×0.25=2,762円
残りの9ヶ月
100万円×0.105%×0.75=787円
1年目の合計利息 =2,762円+787円 = 3,549円
100万円×0.105%=1,050円
香川銀行最初の3ヶ月
100万円×1.105%×0.25=2,762円
残りの9ヶ月
100万円×0.105%×0.75=787円
1年目の合計利息 =2,762円+787円 = 3,549円
100万円×0.105%=1,050円

優遇金利が適用される期間が終了すると、適用金利は下がるのが一般的です。その結果、1年目と2年目では、受け取れる利息に差が出てしまうことがわかります。

退職金専用定期の3つの注意点

退職金専用定期預金を利用する際には、特に以下の3つの点に注意しましょう。

優遇期間終了後は通常金利以下になる低金利化

前述の通り、魅力的な高金利は最初の数ヶ月だけです。問題は、その後の適用金利です。キャンペーン終了後の金利が、その銀行の通常の定期預金金利よりも低いケースすらあります。契約する前に、優遇期間終了後の金利がいくらになるのか、必ず確認しましょう。長期的に見ると、他の銀行の通常の定期預金の方が有利だった、ということにもなりかねません。

途中解約すると高金利が一切付かず利息ほぼゼロへ

もし、優遇期間中に急にお金が必要になり、解約せざるを得なくなった場合、当初の高い優遇金利は一切適用されません。解約時点までの利息は、普通預金と同じ程度の極めて低い金利で計算されてしまいます。高金利の恩恵を受けるには、少なくとも優遇期間中は絶対に解約しないことが前提となります。資金計画をしっかり立ててから利用する必要があります。

投資信託抱き合わせ条件の有無を必ず確認

最も注意したいのが、投資信託などの他の金融商品の購入がセットになっている、いわゆる「抱き合わせ販売」です。高金利を提示する代わりに、「同額以上の投資信託を購入してください」といった条件が付いている場合があります。勧められる投資信託は、販売手数料や信託報酬が高く設定されていることが多く、定期預金で得られる利息以上に手数料で損をしてしまうリスクがあります。契約前に、そのような条件が付いていないか、もし付いている場合は、その投資信託が本当に自分に必要なものか、手数料は妥当か、などを冷静に判断する必要があります。「よくわからないけど、お得そうだから」と安易に契約するのは禁物です。

銀行が国債を勧めてこない理由については、以下質問でも解説しています。

金融機関コース名・条件ファンドラップの手数料優遇金利
三菱UFJ信託銀行ファンドラップコース
預入れ総額の50%以上「MUFGファンドラップ」で運用する
投資一任運用に係る報酬:0.462%~1.309%
投資信託の運用管理費用(信託報酬) :0.23%~0.565%
年7.2%(預入期間3ヶ月)
三井住友信託銀行退職金特別プラン「運用50タイプ」
申し込み総額の50%以上の金額で投資信託または三井住友信託ファンドラップを購入する
投資顧問報酬(固定報酬):最大年率1.760%
投資顧問報酬(成功報酬)運用成果の16.5%
ほか、投資信託の信託報酬
年7.2%(預入期間3ヶ月)

上表はあくまでも一例で、ほかにもさまざまな金融機関が退職金専用定期預金の抱き合わせとして、投資信託やファンドラップを販売しています。

ファンドラップについては以下記事をご参照ください

生活防衛資金として定期預金を活用する方法

定期預金には注意点もありますが、「生活防衛資金」を安全に保管する場所としては有効な選択肢です。

生活防衛資金とは、病気や怪我、突然の収入減など、予期せぬ事態が発生した際に、当面の生活を守るためのお金です。一般的に、月々の生活費の6ヶ月分から1年分を目安に、すぐに使える安全な形で準備しておくことが推奨されます。特に収入が変化しやすい退職後は、この備えの重要性が増します。

定期預金が生活防衛資金の置き場所として考えられる理由は、以下の2点です。

  1. 元本が保証されている:
    基本的に預けたお金が減る心配がありません。
  2. いざとなれば換金できる:
    満期前でも解約は可能です(ただし、受け取れる利息は大幅に減ります)。

もし、ご自身の世帯の1ヶ月の生活費が25万円であれば、生活防衛資金の目安は150万円(6ヶ月分)から300万円(1年分)となります。この金額を定期預金で確保しておくと、いざという時の安心につながります。

生活防衛資金として定期預金を利用する場合、重視すべきは金利の高さよりも以下2点が重要です。

  • 必要な時にすぐ使えること(流動性)
  • 万が一銀行が破綻しても守られること(安全性:預金保険の範囲内であるかなど)

この2点を優先して、預入期間や預け先を選びましょう。

定期預金と個人向け国債を選ぶならどっち?

元本割れが発生しない安全性が高い金融商品として、個人向け国債があります。リスクを抑えて運用したい場合、定期預金だけでなく個人向け国債も検討すべき選択肢の一つです。

個人向け国債を検討する際のポイントについては以下Q&Aをご参照下さい。

定期預金と個人向け国債のメリット・デメリットを比較

定期預金と個人向け国債の違いをまとめると、以下のとおりです。

定期預金個人向け国債
安全性高いさらに高い
流動性高い高い(購入後1年間は解約できない)
金利0.2%~0.7%程度固定3年:0.38%
固定5年:0.51%
変動10年:0.61%
(2024年10月発行分)
適用金利の見直し×○(変動10年のみ。半年に1回)
複利効果(元利継続)×
自動購入○(金融機関による)×
預金保護の対象×
iDeCoでの取り扱い×
解約時普通預金金利が適用される(金融機関によって取り扱いは異なる)直近2回分の利息が差し引かれる
メリット・いつでも解約できる
・元利継続を選択すれば複利効果を得られる
・定期的な積立購入ができる
・金融商品の中でも安全性がトップクラスに高い
・変動10年は金利上昇の恩恵を受けられる
・定期預金よりも金利が比較的高い
デメリット・途中で解約すると普通預金金利が適用される
・インフレーションに対応できない
・金利上昇の恩恵を受けられない
・購入後1年間は解約できない
・利息は都度受け取る必要があり、複利効果は得られない

定期預金は銀行にお金を預け入れる金融商品ですが、個人向け国債は政府へお金を貸す金融商品です。銀行と政府を比較した場合、政府のほうが安心してお金を貸せる点を考えると、個人向け国債のほうが安全性は高いといえるでしょう。

定期預金と国債のどちらが安定性が高いかは、以下質問に対しても解説しています。

流動性の高さは、ほとんど変わりません。個人向け国債は購入後1年間解約できない点を考えると、わずかながら定期預金のほうが優れているといえそうです。

個人向け国債の中でも、変動10年は適用金利が見直されます。今後の金利上昇の恩恵を受けたい場合は、定期預金ではなく個人向け国債の変動10年を購入するとよいでしょう。

定期預金と個人向け国債のどちらがおすすめ?

定期預金と個人向け国債はいずれも、元本を確実に守りたいお金を運用する際に有効活用できます。以下で、個人の財務状況や運用目的に応じて、それぞれおすすめできる人の特徴をまとめました。

定期預金がおすすめの人個人向け国債がおすすめの人
・1年以内に解約する可能性がある人
・運用期間が比較的短い人(おおむね3年以内)
・手間をかけず自動的・定期的にお金を預け入れたい人
・少しでも高い収益性を求める人
・運用資金が1,000万円を超える人
・金利上昇の恩恵を受けたい人(変動10年)

国債でも元本割れするケースについては、以下の質問でも解説しています。

定期預金は預け入れてからいつでも解約できるため、1年以内に解約する可能性がある方や運用期間が短い方に向いています。また、多くの金融機関では自動積立機能のサービスを提供しているため、手間をかけず着実に貯蓄を増やしたい方とも好相性でしょう。

元本保証の金融商品で、少しでも収益性が高い商品を探している方は個人向け国債が向いています。適用される金利が半年に1回見直され、金利上昇の恩恵を受けたいと考えている方は、個人向け国債の変動10年を購入するのがおすすめです。

国債への投資が儲かるかどうか、については以下の質問でも解説しています。

この記事のまとめ

定期預金は短期の資金置き場としては有効ですが、長期運用では金利推移・インフレ率・途中解約コストを総合的に見ると実質利回りがマイナスに傾くリスクが高いことが分かりました。個人向け国債は最低利率と変動金利でインフレ耐性を持ち、売却時の控除額も限定的で流動性を確保しやすい点が優位です。金利差・税負担・資金拘束期間という三つの軸で評価し、生活防衛資金、中期目標資金、長期運用資金へ分割することでリスク許容度に沿った最適配分が可能になります。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

投資のコンシェルジュを使ってみませんか?

資産を自動で見える化CTAバナー
mitsuki-shibata
柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

関連記事

リスク許容度の決め方とは?

リスク許容度の決め方とは?初心者にもわかりやすい基準と考え方を事例付きでご紹介

2025.06.10

難易度:

基礎知識ポートフォリオ運用リスク管理投資理論

関連質問

関連する専門用語

金利(利率)

金利(利率)とは、お金を貸したり預けたりしたときに発生する利息の割合を表す言葉です。たとえば、銀行にお金を預けると一定の利息がもらえますが、そのときの利息の割合を金利または利率と呼びます。一般的には「金利」が金融機関との貸し借りに使われることが多く、 「利率」は投資商品の収益率などに使われる傾向がありますが、日常的にはほぼ同じ意味で使われています。資産運用の場面では、金利の動きが預金、ローン、債券などの価格や収益に影響を与えるため、金利や利率に注目することはとても大切です。特に経済状況や中央銀行の政策によって金利は変動するため、それを理解しておくことでより良い投資判断につながります。

インフレ(インフレーション)

インフレーションとは、物価全体が持続的に上昇し、その結果、通貨の購買力が低下する現象です。経済活動が活発になり、需要が供給を上回ると価格が上昇しやすくなります。また、生産に必要な原材料費や人件費の上昇が企業のコストに転嫁されることで、さらに物価が上昇することがあります。適度なインフレーションは経済成長の一側面とされる一方、過度な物価上昇は家計の負担を増大させ、経済全体の安定性を損なうリスクがあるため、中央銀行は金利操作などの金融政策を通じてインフレーションの抑制に努めています。

元本保証

元本保証とは、投資や預金において、満期まで保有すれば最低でも投資した元本が保証される仕組みを指します。銀行預金や一部の保険商品などが該当し、元本が減るリスクを抑えられるため、安全性を重視する人に向いています。しかし、元本保証がある商品は一般的に利回りが低く、インフレによる実質的な購買力の低下を考慮する必要があります。

個人向け国債

個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。

複利

複利とは、利息などの運用成果を元本に加え、その合計額を新たな元本として収益拡大を図る効果。利息が利息を生むメリットがあり、運用成果をその都度受け取る単利に比べ、高い収益を期待できるのが特徴。短期間では両者の差は小さいものの、期間が長くなるほどその差は大きくなる。

利回り

利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。

投資信託

投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

ファンドラップ

ファンドラップは、金融機関が顧客から資産運用を一任され、顧客の目標やリスク許容度に応じてポートフォリオを構築・管理するサービスです。顧客の資産を複数の投資信託やETFなどに分散投資し、運用を行います。運用内容や資産配分の調整(リバランス)は専門家が行い、定期的な運用状況の報告も提供されます。 主に、初心者や忙しい投資家が利用することが多く、手数料はファンドラップ・フィーとして一括で支払う形式が一般的です。この手数料には運用管理費やアドバイス料が含まれます。

生活防衛資金

生活防衛資金とは、万が一の病気や失業、災害などで収入が途絶えた場合でも、一定期間は生活を維持できるように、あらかじめ確保しておく現金のことです。投資を始める前にまず準備しておくべきお金で、一般的には生活費の3か月から6か月分を目安にするとされています。 この資金は、株や投資信託のように価格が変動する商品ではなく、すぐに引き出せる預金などで保管するのが望ましいとされています。生活防衛資金がしっかりと確保されていれば、投資のリスクを過度に恐れずに冷静な判断がしやすくなり、精神的な安心感にもつながります。

機会損失

機会損失とは、ある選択をしたことによって、別の選択肢で得られたはずの利益を失うことを指します。例えば、低金利の預金に資金を預けている間に、高利回りの投資商品で運用する機会を逃す場合などが該当します。資産運用においては、慎重になりすぎて投資を見送ることで得られたはずのリターンを逃さないよう、適切なリスク管理を行うことが重要です。

流動性

流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。

預金保険制度

預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に、預金者の資産を一定額まで保護する制度のことである。日本では、預金保険機構がこの制度を運営しており、銀行や信用金庫などの金融機関が加入している。通常、元本1,000万円とその利息までが保護対象となるが、決済性預金(利息の付かない当座預金など)は全額保証される。この仕組みにより、金融システムの安定性が維持され、預金者の信用が確保される。一方で、投資信託や外貨預金などは預金保険の対象外であるため、資産運用においてはリスク管理が求められる。安全性を重視した資産運用を考える際に、預金保険の適用範囲を理解することが重要である

退職金専用定期預金

退職金を受け取った人を対象に、金融機関が特別な金利で提供する定期預金のことを指す。通常の定期預金よりも高い金利が適用されることが多く、一定の預入期間や最低預入額が設定されている。退職金の運用方法として、安全性を重視する人に適した選択肢とされるが、預入期間の途中で解約すると通常の定期預金よりも低い金利が適用される場合がある。

変動金利

変動金利とは、市場の金利動向に応じて一定の期間ごとに金利が見直される仕組みのことを指します。住宅ローンや投資信託の分野でよく使われ、金利が低下すれば支払い負担が軽くなる一方で、金利上昇時には支払額が増加するリスクがあります。短期的な金利低下が見込まれる場合に有利ですが、将来的な金利上昇に備えた資金計画が重要です。

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.