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変額保険とは?仕組みや加入するメリット、受取時の税金などを徹底解説

変額保険とは?仕組みや加入するメリット、受取時の税金などを徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.06.12

更新:

2025.06.12

貯蓄型保険生命保険変額保険

変額保険は、保険と投資を一度に手に入れられる反面、高コストや元本割れリスクも孕む複雑な商品です。超低金利時代に資産形成と保障を両立したい人ほど魅力的に映りますが、「本当に得なのか」「どんな人に向くのか」は意外と語られません。

本記事では仕組み・費用・税制・出口戦略までを最新データとシミュレーションで解剖し、納得して選ぶための判断基準を提示します。読み終える頃には迷いが消えるはずです。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、変額保険の仕組みと投資信託・NISA等との違い、手数料総額や解約控除が実質利回りに与える影響、長期複利と死亡保障の価値、出口戦略別の課税までを一気に整理できます。

向く人・向かない人を判定するチェックポイント付きだから、自分が加入すべきかを10分で判断でき、営業トークに頼らず合理的に意思決定できます。各特別勘定のコスト差や節税メリットも数値で確認でき、保険と投資の最適バランスが見えてきます。初心者でも中級者でも今すぐ活用できる実践的シミュレーション例で、毎月いくら積み立てれば何年後いくらになるかも把握可能です。

目次

変額保険の仕組みと他金融商品の位置づけ

変額保険の基本的な仕組み:保険+投資信託のハイブリッド

投資信託(公募投信)との比較

NISA・iDeCoとの比較

外貨建て保険との比較

定額貯蓄型保険(学資保険・終身保険)との比較

メリットとデメリットを数字で検証

長期運用によるメリット:複利効果と死亡保障の付加価値

コストとリスクによるデメリット:手数料負担と途中解約時の損益

手数料と途中コストを詳しく見る

保険関係費用の内訳

資産運用関係費用の内訳

解約控除(途中解約時の費用)

その他の費用項目

ケーススタディ:どんな人に向くか

変額保険に向いている人

変額保険に向かない人

出口戦略と税務整理

解約・満期時の戦略:一時金か年金か、それとも継続か

受け取り時の税金整理:一時所得・年金雑所得・相続税

変額保険の仕組みと他金融商品の位置づけ

変額保険とは、受け取れる保険金や解約返戻金が、運用状況によって変動する保険です。まずは、変額保険の基本的な仕組みから確認しましょう。

変額保険の基本的な仕組み:保険+投資信託のハイブリッド

変額保険は、一言でいうと「生命保険」と「投資信託」のハイブリッド商品です。契約者が支払う保険料の一部(多くの場合大部分)は、保険会社が用意する「特別勘定」と呼ばれる投資信託に積み立てられ運用されます。

その運用実績によって、解約返戻金や死亡保険金が増減する仕組みです。一方、保険料の一部は保険契約を維持するための費用や死亡保障のための費用に充当され、保険会社の一般勘定とは区分して管理されます。

具体的には、変額保険の契約時に特別勘定(運用ファンド)を一つまたは複数選択し、各ファンドに保険料の何%を配分するか決めます。以後、支払った保険料は所定の費用控除後にその割合で特別勘定に投資され、契約者の積立金として運用されます。

例えば「国内株式型50%・外国債券型50%」のように配分しておけば、保険料払込のたびにその比率で購入されていきます。運用成果は特別勘定の基準価額(ユニットプライス)の上下として反映され、これが解約返戻金額や保険金額に反映されます。

  1. 変額保険では、運用リスク(価格変動リスクや為替変動リスクなど)を契約者が負う点が特徴的です。株式市場の下落や為替変動によって積立金額が減少し、解約返戻金が払込保険料総額を下回る(元本割れする)可能性があります。つまり、元本保証のない投資型商品であることを理解しなければなりません。

一方で、「保険」という名称がある通り、死亡保障という保険としての側面も持ち合わせています。多くの変額保険では、契約時に設定した基本保険金額(死亡保険金額)を最低保証しています。例えば契約時の死亡保障額が1,000万円であれば、積立金の運用が大きく目減りしても死亡時には最低1,000万円は支払われる(不足分は保険会社が補填する)ということです。

ただし、商品によっては保険期間満了後に保障を継続する際、この最低保証を外して運用を続けるものもあります。基本保険金額の最低保証があるため、死亡時には元本割れが起こらない一方で、その保証を維持するための費用が保険料から差し引かれています。

投資信託(公募投信)との比較

変額保険の運用は、実質的に投資信託と同様の仕組みで行われています。特別勘定には、国内外の株式や債券に連動するインデックス型ファンドや、ファンドマネージャーが運用するアクティブ型ファンドが含まれ、いずれも一般の公募投信と同じような商品性を持っています。

ただし、大きな違いはその「形」です。投資信託が単体の商品として提供されるのに対し、変額保険ではそれが生命保険契約の一部として組み込まれています。このため、同じ100万円を拠出しても、投資信託であれば全額がそのまま市場に投資されるのに対し、変額保険では保険料の一部(おおむね20%前後)は死亡保障や各種手数料に充てられ、運用に回る金額は減少します。

比較項目変額保険投資信託(公募投信)
運用の中身特別勘定(インデックス/アクティブファンド)公募投信(インデックス/アクティブファンド)
運用に充てる金額保険料の約80%(残りは保障・手数料など)投資額の100%がそのまま運用に充当
解約の自由度制限あり(解約控除期間あり・返戻金方式)自由(いつでも換金可能)
解約時の課税一時所得課税(50万円控除+1/2課税)譲渡所得として20.315%課税(NISAなら非課税)
元本保証なし(市場の影響を受ける)なし(市場の影響を受ける)
死亡保障あり(基本保険金額が支払われる)なし(保有資産は相続財産となる)
税制優遇生命保険料控除(所得税最大4万円・住民税最大2.8万円)NISA等利用で運用益が非課税/それ以外は通常課税(運用益に対して20.315%)

また、解約時の取扱いにも違いがあります。投資信託であれば、解約時にその時点の時価で換金するだけですが、変額保険では保険会社ごとに定められている「解約返戻金」という形で支払われます。さらに、解約によって得た利益は「一時所得」として課税される点も、税務上の重要な相違点です。

換金の自由度も異なります。投資信託は原則いつでも換金可能ですが、変額保険は途中解約に制限があり、多くの場合「解約控除期間(数年程度)」が設定されており、その期間内に解約すると返戻金が大きく減額されることがあります。

一方で、変額保険には死亡保障が付いており、契約者が亡くなった場合には、運用成績に関係なく、あらかじめ定めた基本保険金額が遺族に支払われます。たとえ市場が暴落していたとしても、最低限の保障が確保されるという点は、保険ならではの安心材料です。

このように、変額保険は「投資信託をベースとしながら、保障機能を加えることで長期積立に適した形に再設計された商品」といえます。単なる運用商品としてではなく、「保障」と「資産形成」を両立したい人にとって、一つの選択肢となるでしょう。

NISA・iDeCoとの比較

変額保険は、「保障と資産運用を一体化できる商品」です。変額保険と同様に資産形成を目的とした制度である、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)との違いも理解しておきましょう。

項目変額保険NISAiDeCo
税制優遇保険料控除/運用益繰延運用益非課税(360万円/年、制度全体で1,800万円)掛金全額所得控除/運用益非課税
引き出し中途解約可(元本割れリスク)いつでもOK原則60歳まで不可
商品構成保険会社が選定(信託報酬高め)国内外株式や投資信託、ETFなど元本確保型商品(定期預金や保険)と元本変動型商品(投資信託)
死亡保障あり(保障付き)なしなし(条件付きで遺族給付あり)
手数料比較的高い比較的低い比較的低い

NISAとiDeCoには、ともに運用益が非課税になる税制優遇があります。iDeCoは拠出した掛金が全額所得控除の対象となり、節税しながら老後資金を用意できる点が特徴です。

一方、変額保険にはNISAのような運用益非課税制度はありません。しかし、「一般の生命保険料控除」の対象となり、毎年所得税は最大4万円、住民税は最大2万8,000円の所得控除を受けられます。

ただし、コスト面では大きな違いがあります。NISAやiDeCoでは信託報酬が低い商品を選択できる一方で、変額保険はアクティブ運用型が中心のため、信託報酬が年1%前後と高めになるケースも珍しくありません。

NISAやiDeCoには死亡保障がないため、万一の備えが必要な場合には別途生命保険の加入が必要です。この点、変額保険は死亡保障と資産運用を一契約でカバーできるため、「掛け捨てではなく、積立型の保険で資産形成をしたい」と考える方にとっては、合理的な選択肢となり得ます。

外貨建て保険との比較

生命保険には、他にも外貨建終身保険や外貨建年金保険などがあります。外貨建て保険は米ドルや豪ドルで運用利率が定められ、その利率に応じて解約返戻金や年金が増える商品です。

ただし、多くは契約時に利率や最低保証利率が決まっている(固定利率もしくは一定範囲での変動利率)ため、変額保険ほど運用結果のブレは大きくありません。

比較項目変額保険外貨建て保険
運用の中身特別勘定(インデックス/アクティブファンド)主に外国債券
解約の自由度制限あり(解約控除期間あり・返戻金方式)制限あり(解約控除期間あり・返戻金方式)
解約時の課税一時所得課税(50万円控除+1/2課税)一時所得課税(50万円控除+1/2課税)
元本保証なし(市場の影響を受ける)なし(市場・為替相場の影響を受ける)

変額保険(円建て)は主に円建資産で運用するため、為替リスクは原則ありません。ただし、そもそもの運用先(特別勘定)が外国資産を含む場合は、そのファンド内で為替の影響を受けます。

最近は通貨選択型の変額保険のように、外貨運用を組み込んだタイプも登場しており、純粋な円建て変額保険との差が縮まっています。総じて、外貨建て保険は一定の利回りを狙う貯蓄型保険で、変額保険は投資信託並みの積極運用型保険と位置づけられるでしょう。

なお、外貨建て保険に関しては、以下のFAQもご参照ください。

定額貯蓄型保険(学資保険・終身保険)との比較

従来からある学資保険や低解約返戻金型終身保険などは、決められた利率または保険会社の予定利率で運用されるため、満期金や解約返戻金が契約時にある程度確定しています。たとえば、学資保険で「○年後の満期学資金が○円」と契約時に示され、そのために毎月(あるいは毎年)決まった保険料を払います。

比較項目変額保険定額貯蓄型保険
運用利率特別勘定で市場連動運用(株・債券ファンドなど)保険会社が提示する予定利率で固定的に運用
満期金・解約返戻金の確定性契約時には未確定。運用成果次第で変動契約時点でおおむね確定し、資金計画を立てやすい
期待リターンリスクを取る分、インフレを上回る実質利回りを得られる可能性低金利下では予定利率が抑えられ、払込総額と同程度にとどまることも
元本割れリスク市場環境次第で元本割れの可能性原則なし(保険会社が負担)
経済環境との相性成長局面でパフォーマンスが伸びやすいが、不況時はダメージ低金利・デフレ局面でも一定額を確保

変額保険では将来受け取る額が契約時には確定していないため、将来の資金計画が立てづらい商品と言えます。しかし、超低金利時代において定額保険の予定利率は低く抑えられており、変額保険の方がリスクを取る分リターン期待値は高いという見方もできます。

実際、定額の貯蓄性保険では満期時に受け取る額が払込保険料総額と同程度(もしくはそれ以下)という商品もありますが、変額保険は運用次第でインフレに負けない実質利回りを得られる可能性があります。

反面、デフレや長期不況では運用成績が振るわず元本割れリスクを負うため、経済状況次第で明暗が分かれます。まとめると、確実性を求めるなら定額保険、成長性を狙うなら変額保険という棲み分けになります。

メリットとデメリットを数字で検証

変額保険のメリットとデメリットについて、数字を用いたシミュレーションで具体的に示してみましょう。ここでは、代表的なケースとして「毎月一定額を長期積み立てた場合の将来受取額」や「各種費用が運用成績に与える影響」「途中解約時の損益」を検証します。

長期運用によるメリット:複利効果と死亡保障の付加価値

変額保険最大のメリットは、長期の複利運用による資産成長と保障の付加価値です。例えば毎月1万円を20年間積み立てた場合を考えます(合計払込保険料=240万円)。

運用の平均利回りが年3%で推移した場合

  1. 20年後の積立金額は約328万円(元本240万円に対して約1.37倍)

同じ元本を銀行預金(金利0%台)や低利の定額保険で蓄えた場合、ほぼ240万円のままです。つまり、変額保険で運用することで、数十万円単位の資産増が期待できることがわかります。

さらに利回りが年5%で運用できた場合、20年後の受取額はもっと大きくなります。

運用の平均利回りが年5%で推移した場合

  1. 20年後の積立金額は約400万円(元本240万円に対して約1.67倍)

実際の株式市場や投資信託の長期平均リターンは年5%前後とされることも多く、実際に享受できればインフレに負けない資産形成が可能となります。変額保険はこのような投資のリターンを享受しながら、死亡保障も得られる点がメリットです。

さらに、変額保険は生命保険料控除の対象です。毎年支払った保険料の一部について、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8,000円の所得控除を受けられます(所得税率20%の方なら、所得税と住民税を合わせて毎年約13,600円の節税効果)。

このように、数字上では変額保険の長期積立はインフレに対応し得る運用利回りを享受でき、税制面でも一時所得課税や保険料控除で有利になり得ます。加えて保障(保険金)というプラスアルファがあり、家族に万一があっても資産形成目標を果たすことができる点が計算上のメリットです。

コストとリスクによるデメリット:手数料負担と途中解約時の損益

変額保険には、コストが高くなりやすい構造上のデメリットがあります。運用利回りのシミュレーションで楽観的な数字を出しましたが、実際にはそこから各種手数料分だけ実現利回りが目減りします。

保険業界の有識者による分析では「変額保険の平均的な費用総額は運用資産に対して年約2.4%とされています。仮にファンド自体は年5%で増えていても、2.4%分のコスト控除後の実質利回りは約2.6%となり、投資信託単体の運用に比べリターンが大きく削られる可能性があります。

変額保険に関する手数料は、以下のように「保険関係費用」と「運用関係費用」に大別できます。

費用区分主な内訳・具体例料率・負担イメージ差し引かれるタイミング/影響
保険関係費用契約締結・維持コスト、保険料収納事務費、払込免除特約の費用、死亡保障コスト(最低保証含む)初年度保険料の約20%(=毎月1万円払っても約2,000円が諸費用、投資に回るのは約8,000円)保険料から先取り控除→契約直後は解約返戻金が払込総額の80%前後にとどまり、5~10年以内の解約は元本割れしやすい
運用関係費用特別勘定の信託報酬年間で1%程度が積立金から日々控除毎日純資産から差し引き→低金利・低リターン環境では「手数料負け」で実質利回りがマイナスになる恐れ

保険会社が用意しているパンフレットには、明確な手数料率が記載されていないことが一般的です。実態としては積立金額の約2~4割程度が諸費用に充てられ、運用に回っているのは6~8割程度と考えてよいでしょう。

極端な言い方をすれば、毎月1万円払っても、実際には6,000~8,000円程度しか投資に回っていないということです。コストの重さにより、契約開始直後の解約返戻金は払込保険料累計よりかなり少ない金額になります。

運用関係費用である信託報酬も考慮しましょう。変額保険の特別勘定にはインデックス型の低コストファンドもありますが、アクティブファンドでは信託報酬が年率1%以上になる例もあります。

このように高コストであることから、期待リターンが低い運用環境では、変額保険は不利になります。仮にリスクを抑えて債券中心で運用した場合、現在の低金利下では年2~3%の運用益がやっとですが、それを上回る費用がかかれば実質利回りがマイナスになりかねません。

実際、保険会社が提示するシミュレーションでも「年率0%(=解約時に元本割れ)」のケースが示されるほどで、ローリスク運用では手数料負けする可能性が高いと言えます。

手数料と途中コストを詳しく見る

前章で触れたように、変額保険には多くの種類の手数料(費用)が組み込まれています。手数料と途中コストの仕組み、契約者の積立金からどのタイミングで控除されるのかを理解しておきましょう。

保険関係費用の内訳

保険関係費用とは、その名の通り保険契約を維持し保障を提供するために必要な費用です。具体的には以下のようなものが含まれます。

契約の締結や維持に必要な費用

契約書の作成、システム管理、保険証券の発行、営業職員や代理店への手数料(コミッション)など、契約の締結・維持にかかる事務的・営業的コストです。

これは一般的に初年度に多く発生し、前述の「約2割は費用に充当」の大半を占める部分です。たとえば初年度保険料の数十%が販売手数料として代理店等に支払われる、といった形で差し引かれます。

保険料収納に関する費用

保険料を集金・処理する経費です。口座振替やクレジットカード決済の手数料、保険会社の経理処理コストなどが該当します。これも毎回の保険料から一定額控除されます(多くの場合、月あたり数百円程度の定額費用としてあらかじめ組み込まれています)。

死亡・高度障害保障のための純保険料部分

変額保険でも死亡保障が付いているため、保険会社は死亡リスクに備えてモータリティチャージ(死亡保険料)を徴収します。契約者の年齢・性別・保険金額によって異なりますが、年齢が上がるほど死亡保障コストが高くなる点は他の生命保険と同様です。

保険料払込免除特約の費用

変額保険には、保険料払込免除(高度障害や所定の重病で以降の保険料免除)を標準搭載またはオプションで付けるケースが一般的です。この機能を付けると、その保障のための費用(免除となった保険料を補填するための保険料)がかかります。

例えば特定疾病で保険料免除である変額保険であれば、そのための費用も保険料に含まれています。商品によっては免除特約を付加しない選択も可能で、付加しなければわずかに保険料が割安になります。

基本保険金額の最低保証費用

死亡保険金額を最低保証するためのコストです。運用が大幅に悪化したとき、積立金だけでは基本保険金額に満たない差額を保険会社が補填する必要があります。

そのためのリスクヘッジ費用として、払込期間中は毎月一定の率(例:積立金に対し年率0.25%など)を控除する商品があります。

資産運用関係費用の内訳

運用関係費用は、積立金を運用するためにかかる費用です。こちらは主に信託報酬と特別勘定管理費から構成されます。

信託報酬(運用管理費用)

信託報酬とは、特別勘定の資産を運用する投資信託ごとに設定された運用管理費用です。投資信託の純資産総額に対して、日割りで控除されます(ファンドの基準価額に予め織り込み)。

変額保険契約者は、この費用を間接的に負担しなければなりません。信託報酬の料率はファンドによって様々で、インデックス型ファンドなら年0.1%前後、アクティブ型ファンドなら年0.5~1%超といった幅があります。

契約時にどの特別勘定を選ぶかで、コストが大きく異なる点に留意しましょう。なお、この信託報酬には売買手数料や為替コスト等の諸経費も含まれるため、実質コストは表示より若干上振れすることがあります。

特別勘定の管理費用

保険会社が特別勘定を運営・管理するための費用です。各特別勘定の積立金額に対して「年率〇%」という形で設定され、毎日の基準価額算出時に控除されます。

「特別勘定管理費用」や「運用関係費用」と表記されることもあり、所定の率が積立金から日々控除されます。この費用は投資信託でいう信託事務管理費用に相当し、運用利回りに影響します。

運用関係費用は積立金額に比例してかかるため、運用残高が増えるほど絶対額も増えていきます。例えば積立金が100万円に育った場合、年率0.2%の管理費用では年間2,000円、0.7%の信託報酬では年間7,000円が控除される計算です。

  1. このように見ると額面上は大きく感じないかもしれませんが、低利回り局面では運用益を相殺しかねない額です。特別勘定を選ぶ際は信託報酬水準にも注意し、できるだけ低コストのファンドを選ぶことが長期では有利になるでしょう。

解約控除(途中解約時の費用)

解約控除とは、一定期間内に契約を解約した場合に課されるペナルティ的な費用です。保険会社にとっては、契約初期にかかった事務手数料や代理店手数料を回収する前に解約されると損失になるため、その補填として解約返戻金から差し引く仕組みです。

多くの変額保険では、契約後5~10年未満の解約に対して解約控除が設定されています。控除率は契約経過年数に応じて逓減し、経過年が浅いほど高率となります。

解約控除の一般的な例

  1. 契約後1年以内の解約:
    払込保険料の20~30%前後
  2. 契約後5年以内の解約:
    払込保険料の10~20%前後
  3. 契約後10年で解約控除はゼロ(控除期間終了)

解約控除は解約時・減額時・払済保険への変更時などに発生し、該当する場合は積立金から所定額が差し引かれて解約返戻金が計算されます。資金が必要になったからといって安易に途中解約・減額すると、元本割れの原因となります。

その他の費用項目

変額保険によっては、年金管理費や口座管理費がかかることがあります。例えば解約返戻金を年金形式で受け取る場合、年金支払期間中に年金管理費として毎年1.0%を残高から控除する、といった設定が見られます。

また契約者サービスとして、特別勘定のスイッチングを一定回数以上行う場合に手数料がかかる会社もあります(最近は無料回数が多いので実質かからないことが一般的)。

契約時には「契約締結前交付書面(契約概要/注意喚起情報)」に費用の一覧が記載されているため、費用項目の存在と大まかな水準は押さえておきましょう。

特に初期費用(保険関係費用)で保険料の約2割が消えること、信託報酬と管理費で年1~2%程度かかること、解約控除期間があることは重要なポイントです。これらのコストを補ってなおメリットを感じられるかが、変額保険に加入するか否かの分かれ目になるでしょう。

ケーススタディ:どんな人に向くか

変額保険は万人に勧められる商品ではなく、向いている人と向いていない人が分かれます。ここでは、どんな人に変額保険が適しているか、またどんな人には不向きかを整理します。

なお、おすすめ変額保険の商品に関しては、こちらの記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

変額保険に向いている人

長期の資産形成と保障ニーズを両立させたい人

変額保険は10年以上の長期積立に適した商品です。将来の教育資金や老後資金を準備したい一方で、自分に万一のことがあった場合に備えて家族に保障を残したいという方に向いています。

例えば30代の子育て世代で、「学資保険代わりに積立しつつ、自分にもしものことがあれば死亡保険金で子供の教育費をカバーしたい」というケースです。

この場合、変額保険なら積立金は運用で増やしつつ、契約者に万一があれば所定の死亡保険金が支払われます。

積極的な運用をしたいが、自分で投資するのは不安な人

本来、投資信託や株式で運用できる人はそちらの方が手数料も安く有利です。しかし中には「投資の知識がなく、自分で商品選びやリバランスをするのは不安」という方もいます。

変額保険の場合、保険会社や担当者が運用の枠組みを用意してくれるため、自分で証券口座を開いて投資するより心理的ハードルが低いという側面があります。

強制的な積立貯蓄の仕組みとして、銀行引き落としで半強制的に積立投資が行われるので、自分で投信を買うより続けやすいと感じる方に向いているでしょう。また、運用のプロがファンドを選定・運用してくれる安心感を求める方にも適しています。

生命保険料控除や相続税非課税枠を活用したい人

税制メリットを活かしたい方にも、変額保険は一考の価値があります。

例えば、高収入で毎年所得税・住民税を多く払っている人は、生命保険料控除で所得を圧縮するメリットは大きいでしょう。変額保険に加入すれば一定額を控除申告できるため、節税しながら投資できます。

また相続対策として、自身の財産を効率よく遺族に残したい富裕層にも適します。生命保険の死亡保険金には「法定相続人×500万円」の非課税枠があるため、例えば子ども2人にそれぞれ1000万円ずつ保険金を残せば、計1000万円まで相続税が非課税になります。

つまり、相続税を計算する際には、現金や証券で持っているより保険で持っていた方が有利です。このように、税優遇制度をフルに活かしたい人には向いている保険商品と言えます。

相続税対策で生命保険の活用をご検討中の方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

他の非課税投資枠を使い切った人

NISAやiDeCoなどを限度額まで活用してもなお資金に余裕があり、さらなる運用先を求める方も、変額保険は検討に値します。

NISAには年間投資額に上限がありますし、iDeCoは60歳までの資金拘束があります。変額保険は非課税ではないものの、運用益が一時所得課税扱いで税優遇があり、かつ任意のタイミングで解約可能です。

したがってNISA・iDeCoの次の一手として、余裕資金の受け皿にするイメージです。ただし手数料負担があるため、余裕資金で長期の時間を味方につけられる人でないと、メリットを活かしにくい点には注意です。

以上を総合すると、変額保険に向いている人は「長期運用ができて保障ニーズもある程度あり、リスクを許容できる計画性のある人」と言えます。具体的な年齢層でいえば20代後半~40代で将来に向けた資産形成と保障準備を並行したい人、資産に少し余裕が出てきて長期投資を始めたい人が典型でしょう。

変額保険に向かない人

短期で貯蓄結果を出したい人・流動性重視の人

変額保険は、契約後しばらくは解約返戻金が払込保険料に届かないため、短期で解約すると元本割れします。そのため、結婚や住宅購入などのライフイベントが控えており、数年内に資金が必要になる人には不向きです。

例えば「3年後に○○資金を作りたい」という目的には適しません。また途中で学費や緊急資金として取り崩す可能性がある人も注意が必要です。解約控除期間中に出金するとペナルティが大きいため、流動性(いつでも引き出せること)を重視する人には向きません。

投資リスクを許容できない人

元本割れの可能性があることに少しでも不安を感じるなら、変額保険は避けた方が無難です。特にリスク許容度が低い人や高齢の人で、運用損失をカバーする時間的・精神的余裕がない場合には不向きです。

例えば、60代で退職金運用として変額保険に加入し、その後に大きくマイナスになると挽回が難しくなります。一般に50代以降での新規契約は慎重に判断すべきで、元本確保を第一に考えるなら、定期預金や個人向け国債の方が適しています。

保障ニーズが皆無の人

独身で扶養家族もなく、万一自分が死亡しても経済的に困る人がいない場合、死亡保障は必要ありません。このような人が資産運用したいなら、わざわざ保険という形にせず、通常の証券投資をした方が合理的です。

例えば20代独身で、「投資は怖いから変額保険で貯蓄しようかな」という発想はよくありますが、死亡保障が誰の役にも立たないのであれば、余計なコストを払っていることになります。その資金で「投資信託+医療保険程度」に分けた方が、費用対効果が高いでしょう。

保険と投資を切り分けて考えたい人

お金の使途や管理を明確にしたい人にとって、変額保険は中身が見えにくく煩雑に感じられるかもしれません。保障額・貯蓄額・運用額が一体化しているため、運用成績によっては「今自分はいくら保障を持っていて、いくら貯まっているのか」が把握しにくい面があります。

「保険は保険」「投資は投資」とシンプルに管理したい人にとって、変額保険はストレスになる可能性があります。その場合、「掛け捨ての定期保険+NISA」と分けて契約した方が分かりやすいでしょう。

手数料負けを嫌う効率重視の人

費用に対する考え方も人それぞれです。変額保険は上述の通り、かなりの手数料負担があります。投資経験者などで、「信託報酬0.1%の投信があるのに0.5%も払うなんて馬鹿らしい」と考える効率重視派の人には向きません。

無駄なコストを負担したくない方は、NISAやETFなど低コスト商品で運用した方が納得感が高いはずです。逆に多少コストが高くてもプロに任せたい派なら良いですが、費用対効果にシビアな人には向かない商品です。

出口戦略と税務整理

変額保険に加入した後、どのように契約を終了させ、資金を受け取るか(出口戦略)も重要なポイントです。また、受け取った保険金や返戻金に対する課税も押さえておきましょう。

変額保険の典型的な出口パターン(解約・満期・年金受取・死亡時)と、それぞれの税務上の扱いについて整理します。

解約・満期時の戦略:一時金か年金か、それとも継続か

変額保険の契約満了時や中途解約時には、基本的に積立金(解約返戻金)を一時金として受け取るか、年金形式で受け取るかの選択肢があります。商品によっては、そのまま運用を継続(払済保険や第2保険期間への移行)するオプションもあります。

満期(保険期間満了)を迎える場合

有期型の変額保険では契約時に保険期間が定められており、例えば「30年満期」などがあります。満期時には満期保険金として積立金相当額が支払われ、満期保険金と解約返戻金は同額です。

満期保険金には最低保証が無いため、元本割れのまま満期を迎えると、払い込んだ保険料総額より少ない金額しか戻らない点には注意です。満期時の受け取りは一時金で受け取るのが基本ですが、契約時に年金受取特約を付けておけば、満期保険金を原資に有期年金(5年~20年など)として受け取ることも可能です。

年金形式にすると定期的な収入を得られる一方で、毎年所定の年金管理費(例えば年1.0%)が差し引かれる点に留意しましょう。

途中で解約する場合

途中で解約する場合は、経過年数に応じた解約返戻金が支払われます。契約後一定期間は解約控除が差し引かれるので、解約時期の見極めが大切です。

理想的には解約控除期間が終了してから解約する方が良いですが、やむを得ず早期解約する場合は、できるだけ解約控除の少ないタイミングを選びましょう(年数が進むほど控除率は下がるため、可能なら1年でも長く続ける)。

解約時には、契約者貸付や部分解約など利用できる制度がないか確認します。商品によっては一部解約(部分解約)が可能で、必要な資金だけ取り出して契約自体は継続する方法もあります。

部分解約には解約控除がかかる場合もありますが、契約を残せば残りの部分はそのまま運用を続けられます。例えば「子供の大学入学時に100万円だけ取り崩し、残りは老後資金として継続」といった柔軟な戦略も可能です(契約条件による)。

払済保険として継続する場合

保険料の払込を途中で停止し、それまでの積立金をもとに保障を縮小して保険契約を継続する方法があります。これは払済変額保険や延長保険と呼ばれる扱いで、例えば死亡保険金額を減額または保険期間を短縮して、以後保険料負担なしで積立金の運用だけ続ける形です。

払済にすると原則新たな保険関係費用は発生しませんが、特別勘定での運用は継続します。解約控除期間中に払済に変更すると、その時点の解約返戻金計算で控除がかかる場合もあるため注意が必要です。

払済にしておけば資金が必要になるまで運用を継続でき、市場環境が悪いときに無理に解約せずに済むというメリットがあります。つまり、払済保険は解約か継続か迷うときの「待機策」として有効です。資金が必要になるまで様子を見たい場合や、市場回復を期待したい場合に検討しましょう。

年金受取を選択する場合

年金受取の主な方法は、確定年金(一定期間支払)や有期・終身年金(生存期間支払)です。年金で受け取る場合、一時金を原資にした「変額年金」に移行するような形になり、年金原資は特別勘定で運用を続けながら定期的に年金が支払われます。

このとき、年金管理費が別途かかったり、年金受取開始時に改めて年金支払い期間中の最低保証を付けるオプションがあったりします。例えば、保険会社によっては「10年間の確定年金で支払うが、途中で死亡しても残額は遺族に一時金で支払う」のような条件設定が可能です。

老後の収入源として毎年一定額を得たい場合には、年金受取が有力な選択肢となります。ただし、年金形式にすると受け取れる合計額が一時金受取よりやや少なくなる(年金管理費や利回り調整の関係)ことも多いため、メリット・デメリットを比較して選びましょう。

受け取り時の税金整理:一時所得・年金雑所得・相続税

変額保険からお金を受け取る際の課税関係は、受取方法と受取人によって異なります。大きく分けて、解約返戻金(満期保険金)を契約者本人が受け取る場合と、死亡保険金を遺族(相続人)が受け取る場合の2通りを押さえましょう。

なお、保険の契約者・被保険者・受取人をどのように設定するかで、適用される税金の種類や税額が変わります。以下のFAQも、あわせてご覧ください。

解約返戻金・満期保険金を受け取る場合(生存受取)

契約者が自分で契約を解約して返戻金を得た場合、税法上「一時所得」という所得区分になります。計算方法は「一時所得=受取金額-払込保険料累計-50万円(特別控除)」で算出されます。

一時所得は、他の所得と合算する際に1/2のみ課税対象となる優遇があります。

100万円の利益が出た場合

  1. 一時所得は「100万円-50万円=50万円」
  2. 1/2課税なので最終的に課税対象は25万円

上記のシミュレーションでは、25万円を他の所得に加算して、所得税・住民税が計算されます。

なお、解約返戻金を年金で受け取る場合は一時所得ではなく「雑所得(公的年金等以外)」扱いになります。年金形式だと毎年受け取る額のうち利益部分が雑所得として総合課税されます(特別控除50万円は使えなくなります)。

死亡保険金を受け取る場合(死亡受取)

被保険者が亡くなり、受取人(通常は遺族)が死亡保険金を受け取った場合、その保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。契約形態が「契約者=被保険者(死亡した本人)、受取人=相続人」であれば、この扱いです。

相続税には上述の非課税枠があり、「法定相続人×500万円」が非課税限度額になります。例えば法定相続人(配偶者や子)が3人なら、「500万円×3=1,500万円」までの死亡保険金は非課税です。

この非課税枠は生命保険固有の優遇措置であり、変額保険の死亡保険金にも適用されます。仮に死亡保険金が3,000万円だった場合、1,500万円を差し引いた残り1,500万円が相続税の課税対象となります。

ただし、受取人が相続人以外(例:事業承継で法人が受取人、孫が受取人など)の場合は、この非課税枠は使えません。相続税自体の計算は他の遺産と合算して行われますが、多くのケースで死亡保険金の非課税枠により税負担が軽減されます。

ちなみに、契約者・被保険者・受取人の関係によっては所得税や贈与税が課されるケースもあります(契約者≠被保険者の場合など複雑なパターン)が、一般的な契約では契約者=被保険者とするので相続税扱いで問題ありません。

死亡保険金の税金に関しては、以下のFAQで詳しく解説しています。

この記事のまとめ

変額保険を選ぶ鍵は、保障と運用の比率、手数料総額、解約控除期間、出口時課税の四点を冷静に比較し、リスク許容度と将来の資金計画に照らすことです。

本記事で示したチェックリストを活用し、特別勘定のコストや税制優遇を具体的な数字で再確認しましょう。短期資金や低リスク志向には他の商品が適しますが、長期複利と保障を一括管理したい人には有力な選択肢となります。

運用環境や家族構成が変わった際は払済や部分解約など柔軟な出口も活用することで、期待リターンと保障を両立したままリスクを抑えられます。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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貯蓄型保険生命保険変額保険

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特別勘定

特別勘定とは、主に保険会社が提供する変額保険や年金商品などで使われる仕組みで、契約者から預かったお金を、会社の他の資産とは分けて管理するための専用の勘定のことです。 この仕組みにより、運用による損益は契約者に直接反映され、保険会社の経営状況とは切り離して資産が守られる仕組みになっています。 たとえば、変額保険では、特別勘定の中で株式や債券などの資産を運用し、その運用結果によって将来受け取る金額が変動します。初心者にとっては、特別勘定は「自分のお金がどのように運用されているかが見える透明な箱」とイメージすると理解しやすいです。

変額保険

変額保険とは、死亡保障を持ちながら、保険料の一部を投資に回すことで、将来受け取る保険金や解約返戻金の金額が運用成績によって変動する保険商品です。 保険会社が提供する複数の投資先から自分で選んで運用することができるため、運用がうまくいけば受け取る金額が増える可能性があります。 ただし、運用がうまくいかなかった場合は、受け取る金額が減ることもあります。保障と資産運用の両方を兼ね備えた商品ですが、元本保証がない点には注意が必要です。投資初心者の方には、仕組みを十分に理解したうえで加入することが大切です。

自動積立

自動積立とは、毎月決まった金額をあらかじめ設定した金融商品に自動的に投資していく仕組みのことです。たとえば、銀行口座から毎月一定額を引き落として投資信託や株式を購入するように設定することで、投資を習慣化しやすくなります。この方法を使えば、相場の動きに惑わされずに、長期的に安定した資産形成を目指すことができます。 また、価格が高いときには少なく、安いときには多く購入する「ドル・コスト平均法」の効果も期待できます。自動積立は証券会社やロボアドバイザーなどを通じて簡単に設定することができ、さらにNISAやiDeCoといった税制優遇制度と組み合わせることで、効率的に資産運用を進めることができます。忙しい方でも無理なく投資を続けやすいのが、自動積立の大きなメリットです。

変額終身保険

変額終身保険とは、一生涯の保障を持ちながら、保険料の一部を株式や債券などで運用する仕組みを備えた生命保険です。 この保険では、運用成績によって解約返戻金や死亡保険金の金額が増減するのが大きな特徴です。 運用が順調に進めば、将来的に受け取れる金額が増える可能性がありますが、逆に運用が不調な場合には、受取額が少なくなるリスクもある点には注意が必要です。 とはいえ、多くの商品では「最低保障額」が設定されており、万が一のときに最低限の保障は確保される**ため、一定の安心感もあります。 保障と資産運用を一つの商品で両立させたい方に向いていますが、加入する際は、リスクの内容や仕組みをきちんと理解しておくことが大切です。

ファンド

ファンドとは、多くの投資家から集めたお金をひとつにまとめて、専門の運用会社が株式や債券、不動産などに投資・運用する金融商品のことです。 投資家は自分で個別の銘柄を選ばなくても、ファンドを通じて分散された投資ができるため、リスクを抑えながら運用が可能になります。ファンドには、投資信託、ETF(上場投資信託)、ヘッジファンドなどさまざまな種類があり、それぞれ運用方針や対象資産が異なります。初心者にとっては、少額から始められ、プロによる運用が受けられる点が大きなメリットです。ただし、運用成績によって元本割れのリスクもあるため、目的やリスク許容度に応じて選ぶことが大切です。

外貨建て保険

外貨建て保険とは、保険料の支払いや保険金の受け取りなどが、日本円ではなく米ドルや豪ドルなどの外貨で行われる保険商品のことをいいます。主に終身保険や年金保険の形で提供されており、日本国内の低金利環境に対する対策として注目されることがあります。 外貨建て保険の魅力は、円建ての保険よりも高い利回りが期待できる点ですが、その反面、為替レートの変動によって実際に受け取る金額が目減りするリスクもあります。また、為替手数料や解約時のコストがかかることもあるため、加入する際には仕組みをしっかり理解し、自分の資産運用方針やリスク許容度に合っているかを見極めることが大切です。特に長期で保有する場合には、為替動向や国際情勢にも一定の関心を持つ必要があります。

貯蓄型保険(積立型)

貯蓄型保険(積立型)とは、万が一の保障に加えて、将来的にお金が戻ってくる仕組みを備えた保険商品のことです。保険料の一部が積み立てられ、契約満了時や途中解約時に「解約返戻金」や「満期保険金」として受け取れるようになっています。 代表的な商品には、終身保険、養老保険、学資保険などがあり、保険としての安心を持ちながら、同時に資産形成も行えるのが特徴です。特に、教育資金や老後資金の準備、相続対策など、目的を持った長期の計画に活用されます。 「掛け捨て型保険」と異なり、支払った保険料が将来的に戻ってくるため、保険と貯金の“ハイブリッド”として位置づけられる商品です。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるほか、運用利回りが低めに抑えられていることが多いため、目的と期間をしっかり考えて加入することが大切です。 保障と貯蓄を1つの仕組みで両立させたい人にとって、計画的な資産形成の手段として有効な選択肢のひとつです。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

一時所得

一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。

雑所得

雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。

相続税

相続税とは、人が亡くなった際に、その人の財産を配偶者や子どもなどの相続人が受け継いだときに課される税金です。対象となる財産には、預貯金や不動産、株式、貴金属、事業用資産などが含まれ、相続財産の合計額が一定の基準額を超えると課税対象となります。 相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、この範囲内であれば原則として税金はかかりません。しかし、資産規模が大きい場合や相続人の数が少ない場合には、課税対象となり、10%〜55%の累進税率が適用されます。 さらに、相続税にはさまざまな非課税枠や控除制度が設けられており、これらを適切に活用することで税負担を抑えることが可能です。代表的な制度には以下のようなものがあります。 - 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円まで非課税 - 死亡退職金の非課税枠:生命保険と同様に1人あたり500万円まで非課税 - 債務控除:被相続人に借入金などの債務があった場合、その金額を控除可能 - 葬式費用の控除:通夜・葬儀などにかかった費用は、相続財産から差し引くことができる また、配偶者には配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が認められており、適切に遺産分割を行えば、税額を大幅に減らすことができます。 相続税は、財産の種類や分割の仕方、受け取る人の立場によって税額が大きく変動するため、生前からの対策が非常に重要です。生命保険や不動産の活用、資産の組み替えなどを通じて、相続税評価額をコントロールすることが、家族への負担を減らし、スムーズな資産承継を実現するための鍵となります。

解約返戻金

解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、個人が支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税の課税所得額を一定金額まで減らすことができる税制上の優遇制度です。この控除によって、納める税金が軽減されるため、実質的に保険料の一部が戻ってくる効果があります。 対象となる保険は、「一般生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3つの区分に分かれており、それぞれに控除限度額が設けられています。控除を受けるには、保険会社から発行される控除証明書を年末調整や確定申告の際に提出する必要があります。保険による万一への備えと、節税効果の両方を得られる制度として、多くの人に活用されています。初心者にとっても、生命保険を契約する際にはこの控除制度の存在を知っておくことで、より効果的な保険選びや家計管理につなげることができます。

元本割れ

元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。

解約控除

解約控除とは、保険や一部の投資商品を契約期間の途中で解約した場合に、契約者が受け取る解約返戻金などから差し引かれる手数料のことをいいます。特に契約から数年以内など、早い段階で解約した際に高めに設定されていることが多く、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまうことがあります。 この制度は、販売時にかかった初期費用や運用の準備にかかるコストを回収するために設けられていますが、契約者にとっては思ったよりも少ない金額しか戻ってこないというリスクにつながります。そのため、商品選びの際には解約控除の有無やその金額、期間などをよく確認し、「途中で解約したらどうなるか」をあらかじめ理解しておくことがとても大切です。長期での運用を前提とした商品には特に注意が必要です。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

死亡保険金

死亡保険金とは、生命保険契約において、被保険者が死亡した際に受取人に支払われる保険金のことを指す。受取人や契約形態によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかの課税対象となる場合がある。

払済保険

払済保険とは、もともと契約していた保険の保険料の支払いを途中でやめ、その時点までに払い込んだ保険料を使って、以後の支払いをせずに保障だけを継続する保険のことです。たとえば、終身保険などで使われることが多く、保険料を支払うのが難しくなった場合などに選ばれる方法です。 保障額は元の契約よりも小さくなりますが、保険契約を完全に解約するのではなく、一定の保障を残すことができる点が特徴です。資産運用の観点では、解約返戻金を有効に活用しながら保障を維持する手段として理解しておくと役立ちます。

複利

複利とは、利息などの運用成果を元本に加え、その合計額を新たな元本として収益拡大を図る効果。利息が利息を生むメリットがあり、運用成果をその都度受け取る単利に比べ、高い収益を期待できるのが特徴。短期間では両者の差は小さいものの、期間が長くなるほどその差は大きくなる。

管理報酬

管理報酬とは、資産運用を行う金融機関やファンド運営者が、投資家から継続的に受け取る報酬のことを指します。主に投資信託やヘッジファンド、ベンチャーキャピタル(VC)などで適用され、資産残高に対して一定の割合で計算されるのが一般的です。投資家にとっては、管理報酬が高すぎると運用益が目減りするため、費用対効果を考慮した商品選びが重要となります。一方で、適正な報酬を支払うことで、専門家による高度な運用やリスク管理の恩恵を受けることができます。

運用関係費用

運用関係費用とは、金融商品を保有している間に日々差し引かれるコストの総称です。投資信託なら信託報酬(運用会社・販売会社・受託銀行の報酬)が代表的ですが、購入時手数料や信託財産留保額、売買委託手数料も含めて把握する必要があります。 変額保険では特別勘定の運用管理費に加え、死亡保障コストや契約管理費が控除されるため、表面利回りと実質利回りの差が大きくなりがちです。商品選定では、目論見書や契約概要で「いつ・いくら差し引かれるか」を必ず確認しましょう。

保障コスト

保障コストとは、主に生命保険や変額保険といった保険機能を持つ金融商品において、死亡や高度障害などの保障を維持するために必要な費用のことをいいます。このコストは保険料や積立金から自動的に差し引かれることが多く、保障の内容が充実しているほど金額が高くなる傾向があります。 保障コストは一定でないこともあり、年齢や保険金額、保険期間などによって変動する場合があります。また、契約時に明確に提示されるとは限らないため、契約前に「保障にかかるコストはどのくらいか」「どのように引かれるか」を確認することが大切です。保障の充実度と運用効率のバランスを考える上で、このコストの理解は欠かせません。

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