障害年金受給は他の社会保障制度や税金に影響を及ぼしますか?
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2025/06/12 17:43
男性
30代
障害年金の受給を検討していますが、健康保険の扶養、保険料免除、生活保護、老齢年金、失業保険、確定申告などへの影響が複雑で不安です。具体的にどの制度がどう変わるのか、整理して教えてもらえますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
障害年金は非課税所得ですが、他制度と調整が生じます。以下のように整理しておきましょう。
- 健康保険の扶養:受給額が年間180万円を超えると外れ、国民健康保険加入や被保険者区分変更が必要
- 障害等級1級または2級の受給者:国民年金保険料が法定免除となり、免除期間は老齢基礎年金額に2分の1反映される
- 障害基礎年金を受給した人が死亡した場合:寡婦年金・死亡一時金は支給されません。
- 生活保護:障害年金は併給できますが、障害年金は収入認定され、保護費がその分減額される
- 65歳以降:障害基礎年金と老齢基礎年金の選択が必要ですが、障害基礎年金と老齢厚生年金は併給可能
- 失業保険:併給可能でも就労意思が前提のため、更新時の診断書で労働能力を問われる場合がある
- 税務:確定申告不要で、本人や扶養家族に障害者控除(27万〜75万円)が適用され、年末調整で申告すれば所得税・住民税が軽減される
制度ごとの要件を確認し、手続き期限を管理することがトラブル回避の鍵です。
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健康保険の扶養
健康保険の扶養とは、主に会社員などが加入している健康保険において、家族の中で収入が一定以下の人を被保険者(加入者)の保険に含めて保険料の負担なしで医療保障を受けられる仕組みのことです。 たとえば、配偶者や子ども、親などがその対象となり、本人が加入している健康保険の制度に基づいて「扶養家族」として認定されると、扶養されている人は自分で保険料を支払うことなく健康保険を利用できます。 資産運用においては、家族の収入や就業状況によって保険の取り扱いや税金の負担が変わるため、この「扶養」の基準を理解しておくことは大切です。
国民年金保険料免除
国民年金保険料免除とは、経済的な理由などで国民年金の保険料を納めることが難しい場合に、申請をすることで保険料の全額または一部が免除される制度のことです。主に自営業者や学生、無職の人などが対象になり、所得や生活状況に応じて「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4段階があります。 免除期間中も将来の年金額に一定の反映があり、未納と比べると年金受給資格に有利になります。資産運用の観点では、生活の見直しや長期的な年金計画を立てる上で、この制度を知っておくことがとても重要です。
遺族給付
遺族給付とは、家族の生計を支えていた人が亡くなったときに、残された遺族に対して支給される公的年金などの給付金のことです。代表的なものに「遺族基礎年金」や「遺族厚生年金」があり、亡くなった人が保険料を納めていた期間や、死亡当時の年齢・状況によって、対象となる遺族(配偶者や子どもなど)に支給されます。 これらは公的年金制度の一部であり、遺族の生活を支えるための経済的な支援を目的としています。資産運用の面では、リスク管理の一環として、万が一のときに備える制度の一つとして知っておくことが大切です。
生活保護
生活保護とは、病気や失業、高齢、障害などの理由で収入が不十分になり、最低限度の生活を送ることが難しい人に対して、国や自治体が生活費などを支給し、暮らしを支える制度です。これは憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するための仕組みであり、最後のセーフティネットとも呼ばれます。 生活保護には、食費や住居費などをまかなう「生活扶助」、医療費を支給する「医療扶助」、住まいの維持に必要な「住宅扶助」など、複数の扶助があり、個々の状況に応じて支給されます。また、原則として資産や働く能力がある場合は、まずそれを活用することが求められますが、それでも生活が成り立たないと判断された場合に支給されます。 生活保護を受けている期間中は、国民年金の保険料が「法定免除」となり、保険料を納める必要がないなど、他の制度とも密接に関係しています。
老齢年金
老齢年金とは、一定の年齢に達した人が、現役時代に納めた年金保険料に基づいて受け取ることができる公的年金のことをいいます。基本的には、日本の年金制度における「老後の生活を支えるための給付」であり、国民年金から支給される老齢基礎年金と、厚生年金から支給される老齢厚生年金の2つがあります。 国民年金に加入していたすべての人が対象となるのが老齢基礎年金で、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人は、基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取ることができます。原則として65歳から支給されますが、繰上げや繰下げ制度を利用することで、受け取り開始年齢を60歳から75歳まで調整することも可能です。老齢年金は、長年の働きと保険料の積み重ねに対して支払われる、生活設計の中心となる制度です。
障害者控除
障害者控除とは、所得税や住民税を計算する際に、本人や扶養している家族が障害者である場合に、所得から一定額を差し引くことができる制度です。この控除によって、課税される所得額が減り、その結果として支払う税金も軽減されます。 対象となる障害の程度や認定方法には基準があり、「一般の障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」といった区分ごとに、控除額も異なります。たとえば、同居している特別障害者を扶養している場合は、最も高い控除額が適用されます。障害者手帳や医師の診断書などを提出することで、障害の状態が確認され、控除の適用が認められます。これは障害を持つ人やその家族の経済的負担を軽減するための税制上の配慮であり、年末調整や確定申告で手続きすることが必要です。