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ハイイールド債とは?危険な債券にあえて投資する理由を解説

ハイイールド債とは?高利回りの仕組みとリスクを解説

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執筆者:

公開:

2025.01.10

更新:

2025.06.10

基礎知識債券投資ジャンク債債券信用格付けリスク管理インカムゲイン

高利回りをうたうハイイールド債は、低金利時代において資産運用の選択肢として注目を集めています。利回りの高さが魅力的である一方、信用格付が低いため、デフォルトリスクや流動性リスク、手数料の高さといった見落としがちなデメリットも抱えています。安易に飛びつけば損失リスクが大きくなる可能性もあるため、仕組みや市場の構造を理解したうえでの判断が重要です。本記事では、ハイイールド債の定義からメリット・リスク、具体的な投資商品、戦略的な活用法までを解説し、適切な判断軸を持つための知識を提供します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、ハイイールド債の基本的な仕組みや特徴、利回りの高さの裏に潜むリスク、そして投資判断に必要な視点を効率的に理解できます。ハイイールド債は信用力の低い発行体による債券で、高利回りと引き換えに返済不能や流動性の課題を抱えています。投資適格債や株式との位置づけ、日米市場の構造的な違い、個人投資家が活用しやすいETFや投資信託の特徴も網羅しており、実務的な選択肢が見えてきます。収益性を求めつつリスクも適切に管理したい投資家にとって、判断材料として有益な一記事です。

目次

ハイイールド債(ジャンク債)とは?

ハイイールド債(ジャンク債)の特徴

ハイイールド債に投資する際に注意すべき3つのリスク

① デフォルトリスク:返済不能の可能性に備える

② 流動性リスク:希望通りに売れないことも

③ 高い手数料:見えないコストが投資成果に影響

投資適格債では物足りない?──ハイイールド債の利回りと魅力

ハイイールド債の格付け変動が生む投資チャンスとは?

格上げの予兆を捉える:ライジングスターの活用法

売り圧力がチャンスに変わる:フォーリンエンジェルズの見極め方

格付け変動を読み解く力が、差を生む

米国と日本のハイイールド債市場の違い

なぜ日本ではハイイールド債が発行されないのか

日本のハイイールド債市場が育たなかった背景

日本人がハイイールド債に投資するなら海外が前提

ハイイールド債はどこで買える?

ハイイールド債の買い方|個人が日本で投資するには?

ハイイールド債型の主な投資信託とETF

ハイイールド債型の主な投資信託とETF

投資信託(公募投信):少額から専門家に任せて分散投資

ETF(上場投資信託):取引の自由度と低コストで選ぶなら

ハイイールド債(ジャンク債)とは?

ハイイールド債は、一般に「低格付けだが高利回り」の特徴をもつ債券を指します。ここでいうイールド(yield)とは収益率、すなわち投資家が受け取る利回りを意味します。信用格付けが投資適格(インベストメントグレード)より下位にあるため、発行体は投資家に高い金利を提示して資金を調達する構造です。こうした債券は「ジャンク債」と呼ばれることもあります。

投資不適格とされる格付け水準は、格付機関によって表記が異なりますが、おおむねスタンダード&プアーズ(S&P)ならBB+以下、ムーディーズならBa1以下、R&IではBB+以下が目安です。さらに財務状況が深刻化し、デフォルトが現実的に懸念される水準に落ち込むと「ディストレスト債」と呼ばれ、通常よりもはるかに高利回りで取引されます。

ハイイールド債(ジャンク債)の特徴

ハイイールド債は、信用格付けが投資適格未満の企業が発行する債券です。さらに財務状況が深刻で、デフォルトリスクが高いものはディストレストと呼ばれ、一般に高利回りで取引されます。

ハイイールド債は、投資適格債と比べると信用度が低く、デフォルトを起こす(約束通りの資金返済や利息の支払いがなされない)リスクが高い債券です。信用度が低い分、ハイイールド債は投資適格債に比べて高い利回りとなっています。

ハイイールド債は主に満期の短いものが発行されており、多くは10年未満の満期です。また発行後4〜5年で、発行体による期限前償還がなされるものも少なくありません。

ハイイールド債に投資する際に注意すべき3つのリスク

ハイイールド債(ジャンク債)は高利回りが魅力ですが、リスクも大きく異なります。以下の3つのリスクをしっかり理解したうえで、慎重な判断が求められます。

リスクの種類内容ハイイールド債における特徴
デフォルトリスク元本や利息が支払われないリスク発行体の信用力が低く、債務不履行の確率が高い
流動性リスク売りたいときに売れない、適正価格で売れない取引が限定的な銘柄が多く、買い手がつきにくい
高い手数料売買にかかるコストが割高証券会社が個別対応を要するため、手数料が高くなる傾向

格付けの確認方法はこちらのFAQもご参照ください。

① デフォルトリスク:返済不能の可能性に備える

ハイイールド債は、投資不適格とされる企業や国が発行するため、返済不能リスクが常に伴います。特に企業が発行する社債では、業績悪化や倒産により利払い不能となるケースがあります。倒産後の回収可能性は、残された資産や再建スポンサーの有無に左右され、最悪の場合は全損もあり得ます。

一方で、国債のデフォルトも可能性はゼロではありません。特に新興国債では、財政悪化に伴い支払延期や減額措置がとられることがありますが、国そのものは存続するため、社債よりはリスクが分散されやすいという特徴があります。

② 流動性リスク:希望通りに売れないことも

ハイイールド債は発行体や銘柄ごとの取引量が少ないため、希望するタイミングや価格で売却できない可能性があります。とくに市場が荒れている局面では、大きく値引きしないと売れない状況になりやすく、本来の評価額を大きく下回る価格での処分が現実的な選択肢となる場合もあります。

③ 高い手数料:見えないコストが投資成果に影響

ハイイールド債の取引は、証券会社との相対取引(OTC)が中心です。市場での流通が限られているため、証券会社が個別に買い手・売り手を探す必要があり、その分手数料が高く設定される傾向にあります。とくに小口投資家にとっては、この取引コストがリターンを大きく削る要因になるため、事前に確認すべき重要ポイントです。

投資適格債では物足りない?──ハイイールド債の利回りと魅力

低金利時代が続くなか、投資適格債(BBB格以上)の利回りでは資産運用の成果に物足りなさを感じる投資家も少なくありません。実際、2025年時点で日本の個人向け10年国債の表面利率は1%程度。米国の投資適格社債であっても、利回りは年3〜4%台が中心です。

こうした中で注目されているのがハイイールド債(ジャンク債)です。信用格付けがBB以下のためリスクは高くなりますが、利回りは5〜8%台に達する銘柄も珍しくありません。これは、同じ債券という資産クラスに属しながらも、リスクを取ることで得られる「利回りのプレミアム」といえます。

また、株式のように価格変動が大きすぎず、満期保有で元本償還が期待できるという債券本来の特性も維持されているため、安定性と収益性のバランスを求める投資家にとって有力な選択肢となります。

特に、 以下に当てはまる人たちにとって、ハイイールド債は「守りすぎず、攻めすぎない」中間ゾーンの収益源として位置づけられます。

  • 投資適格債ではリターンが不足している
  • 株式はボラティリティが高く躊躇している

もちろん、信用リスクを取る以上、銘柄選定や分散投資は欠かせませんが、それを前提にすれば、ハイイールド債は現在の市場環境において、インカム強化のための実用的な手段として活用できる資産です。

ハイイールド債の格付け変動が生む投資チャンスとは?

ハイイールド債の魅力は、高利回りだけではありません。信用格付けの変動が起こる局面では、投資家にとって新たな収益チャンスが生まれることがあります。特に注目すべきなのが、格上げによって投資適格入りが見込まれる「ライジングスター」と、格下げによってハイイールド化する「フォーリンエンジェルズ」の2つの動きです。

格上げの予兆を捉える:ライジングスターの活用法

ライジングスター(Rising Stars)とは、現在はハイイールド債(非投資適格)に分類されているものの、信用格付けの改善により、近い将来に投資適格債への格上げが見込まれる銘柄を指します。格上げの可能性が高まると市場の注目が集まり、価格は徐々に上昇していく傾向があります。

格付け記号の基礎は以下の記事で詳しく解説しています。

この局面では、格上げ前の高い利回りを享受しながら、将来的なキャピタルゲインも同時に狙えるという、“利回りと値上がり益の両取り”が可能になります。 ただし、格上げが確定ではない以上、過度な楽観は禁物です。市場がすでに将来の格上げを織り込み済みであれば、期待に反した場合の下振れリスクも想定しておくべきです。

ライジングスターを見極めるには、企業の財務改善、業績の持続性、格付け会社によるアウトルックの変更などを多角的に分析することが欠かせません。

売り圧力がチャンスに変わる:フォーリンエンジェルズの見極め方

フォーリンエンジェルズ(Fallen Angels)は、もともと投資適格債として扱われていた社債が、信用力の低下により非投資適格(ハイイールド)に格下げされたものです。格下げの発表と同時に、多くの機関投資家が保有ルールに基づいて機械的に売却を行うため、一時的に市場に強い売り圧力がかかり、債券価格が大きく下落することがあります。

この急落局面は、一時的に割安となった銘柄を拾う好機にもなり得ます。格下げの理由が一過性の業績悪化や経済環境の変動によるものであれば、企業の本質的な信用力が維持されている限り、将来的な価格回復や再格上げも視野に入れた運用が可能です。

重要なのは、「なぜ格下げされたのか」「売られている理由は構造的か一時的か」を見極め、市場の過剰反応に流されないことです。

格付け変動を読み解く力が、差を生む

ライジングスターとフォーリンエンジェルズは、単なる格付けの上下ではなく、市場に大きな資金フローの変化をもたらすトリガーです。 特に、機関投資家は保有ルールに従って動くため、彼らの売買フローが価格に与える影響は極めて大きくなります。 一方、個人投資家や柔軟なアクティブファンドにとっては、こうした機械的な売買によって生じる価格の歪みを冷静に捉える余地があると言えるでしょう。

信用リスクそのものの評価だけでなく、市場構造と参加者の行動パターンを読み解く視点を持てば、ハイイールド債投資において明確な優位性を築くことができます。 格付けの変動を単なるリスクと見るのではなく、構造的に理解し戦略的に活用することこそが、高利回り債券で成果を上げるための鍵になります。

米国と日本のハイイールド債市場の違い

ハイイールド債に投資したいと考えても、日本にはその投資先がほとんど存在しません。この状況は、企業や投資家が単にリスクを避けているからではなく、日本の金融制度や資金調達の慣習、そして債券市場の構造そのものに起因しています。

ではなぜ、日本ではハイイールド債市場が形成されず、米国では巨大な市場へと発展したのでしょうか。その背景には、企業の資金調達手段の違い、債券市場の成熟度、そしてその結果として生じる投資家の選択肢の差があります。以下で順を追って整理します。

なぜ日本ではハイイールド債が発行されないのか

企業の資金調達方法は大きく分けて2つあります。株式や債券を発行して市場から直接資金を調達する「直接金融」と、銀行などの金融機関から融資を受ける「間接金融」です。株式発行は日本でも広く行われており、直接金融の代表的な手段として定着しています。

一方、債券発行の活用度は国によって異なります。日本では間接金融の比重が非常に高く、全国に存在するメガバンクや地方銀行、信用金庫、信用組合が企業の主な資金調達先となっています。銀行側も地域の取引先企業に対して積極的に融資を行っており、企業にとっても手間や交渉のしやすさなどから、債券より融資を選ぶ傾向が根強くあります。

このような金融構造のもと、社債発行はごく限られた一部の大企業に限定されており、信用力の低い中堅・中小企業が債券市場で資金を調達することは現実的ではありません。結果として、ハイイールド債の発行自体が制度的に根付いていないのが現状です。

日本のハイイールド債市場が育たなかった背景

日本国内でハイイールド債市場が発展しなかったもう一つの要因は、投資家側の運用方針にあります。日本の機関投資家の多くは、信用格付けがBBB以上の「投資適格債」を主な投資対象としており、それ以下の格付けとなるハイイールド債にはほとんど資金が流れていません。

仮に企業がハイイールド債を発行したとしても、買い手がつかず資金調達が成立しないのが実情です。こうした環境では、市場が拡大する土台自体が存在せず、結果として国内でハイイールド債の発行が事実上不可能になっています。

投資家側の需要がない以上、発行体も現れず、市場も育たないという悪循環が長年続いてきたのです。

米国ではなぜハイイールド債市場が成立しているのか 一方で米国では、信用力が比較的低い企業でも社債を通じて資金を調達する文化が根付いており、ハイイールド債は市場で積極的に取引されています。債券市場自体が成熟しており、投資家側もハイイールド債をリスクとリターンを見極めたうえで投資対象に含めるスタンスを取っています。

実際、米国のハイイールド債市場は2020年時点で約1.4兆ドル規模にまで成長しており、世界最大級の市場のひとつです。金融商品としての整備も進んでおり、ETFやファンドを通じて幅広い層の投資家がアクセス可能な環境が整っています。

このような制度・文化・市場の成熟が、米国におけるハイイールド債市場の成立を支えているのです。

日本人がハイイールド債に投資するなら海外が前提

このような国内外の市場構造の違いを踏まえると、日本人投資家がハイイールド債に投資する場合、その対象は事実上、海外──とくに米国を中心とする市場に限られます。

当然ながら、ハイイールド債特有のリスク(信用リスク・流動性リスク・手数料)に加えて、為替リスクも生じます。とくに米ドル建ての商品では、円安・円高の影響がリターンに直接作用するため、為替変動への対応が運用の鍵を握ります。

通貨ヘッジ付きの商品を利用するのか、あるいは為替をある程度受け入れたうえで分散投資を行うのか。国内債券では意識しにくい視点が、海外のハイイールド債投資には欠かせません。

ハイイールド債はどこで買える?

前述のとおり、日本では企業によるハイイールド債の発行がほとんど行われておらず、実際の投資対象は主に米国企業が発行するハイイールド社債となります。

かつては海外の債券に投資するには、米国など現地の証券会社で口座を開設する必要があり、手続きや管理面で大きなハードルがありました。しかし近年は、米国株や海外ETFの普及とともに、海外金融商品を取り扱う国内証券会社が増加しています。

現在では、主要ネット証券をはじめとする多くの国内証券会社が、米国株だけでなく米国債券や社債などの外国債券も取り扱っており、特に楽天証券やSBI証券では多数の米ドル建て債券を購入することが可能です。

このため、わざわざ海外の証券口座を開設しなくても、国内証券会社の口座さえあれば、米国企業のハイイールド債に投資できる環境が整っています。

ただし注意点として、債券の多くは市場を通さず相対取引(OTC)で証券会社を介して売買される形式が一般的です。そのため、取り扱う債券の銘柄数や種類は証券会社ごとに大きく異なり、希望する銘柄がどの証券会社で扱われているかを事前に確認することが重要です。

ハイイールド債の買い方|個人が日本で投資するには?

ハイイールド債を発行しているのは、主に米国の非投資適格企業です。つまり、個人投資家がハイイールド債に投資する場合、実質的には米国企業への貸付を行うことになります。

国内の大手企業であれば、事業内容や財務情報の取得は容易ですが、米国のハイイールド債発行体については、英語での情報収集や信用リスクの判断が必要になり、個人投資家が適切に分析するのは簡単ではありません。

さらに、ハイイールド債にはデフォルトリスク(債務不履行)がつきものです。リスクを抑えるためには、複数の発行体に分散投資することが不可欠ですが、個別に複数債券を購入するには手間も資金もかかります。

こうした課題を踏まえると、ETFや投資信託といった運用商品を通じて、間接的にハイイールド債に投資する方法が現実的かつ効果的です。

ETFや投資信託であれば、専門家の選定による分散投資が実現でき、小口からの購入も可能。さらに、海外債券を直接取り扱っていない証券会社でも、国内上場のETFや国内設定の投資信託であれば購入できます。

ハイイールド債型の主な投資信託とETF

日本の個人投資家が利用できる、ハイイールド債を対象とした投資信託やETFは以下の通りです。各商品のタイプ・為替ヘッジの有無・購入可能な証券会社・主な特徴を一覧でまとめました。

ハイイールド債型の主な投資信託とETF

ハイイールド債は高利回りの魅力がある一方で、発行体の信用リスクや為替リスクの管理が難しく、個人での銘柄選定や分散投資には限界があります。そこで有効な手段となるのが、複数のハイイールド債に分散投資できる投資信託やETF(上場投資信託)の活用です。

投資信託は専門家による運用が行われ、少額からでも積立が可能で、初めてのハイイールド債投資にも適しています。一方、ETFは取引の柔軟性と低コストが特徴で、中級者以上の投資家にも人気です。

以下では、日本の証券会社で購入できる主な投資信託およびETFを紹介し、それぞれの特徴を簡潔に解説します。

【2025年最新】日本で購入できるハイイールド債の投資信託・ETF一覧

商品名タイプ為替ヘッジ取扱証券会社特徴
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド投信無し楽天、SBI、マネックス等BB以下の米ドル社債に分散投資。アクティブ運用。利回り約7%、個別分析重視
三井住友・USハイ・イールド債券ファンド投信有/無選択可SMBC日興、楽天、SBI等毎月分配型、低コスト、利回り安定
野村ハイ・イールド債券ファンド投信無し野村證券、SBI等米ドル建て、高利回り社債中心、安定志向
ダイワ/フィデリティ・アジア・ハイイールド債券ファンド投信様々大和証券等アジア高利回り社債に分散投資
iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債ETF(1497)国内ETF有り楽天、SBI、マネックス等円建て×ヘッジ、東証上場、分配利回り約5.7%、NISA対応
HYG(iBoxx $ HY Corp Bond ETF)海外ETF無し楽天、SBI等世界最大級、銘柄数・流動性豊富
JNK(SPDR Bloomberg HY Bond ETF)海外ETF無し楽天、SBI等安定配当実績あり、人気ETF
ANGL(VanEck Fallen Angel ETF)海外ETF無し限定フォーリンエンジェル特化、割安銘柄探索型
HYLB、USHY 他海外ETF海外ETF無し一部証券経費率低め、分散重視型代替ETF

投資信託(公募投信):少額から専門家に任せて分散投資

投資信託は、運用会社が債券の選定・分散・為替管理までを行ってくれるため、個人投資家にとって取り組みやすい選択肢です。少額から購入でき、積立にも対応していることが多く、ハイイールド債投資の導入としても適しています。

債券ETFのメリットについてはこちらのFAQもご参照ください。

商品によって為替ヘッジの有無や分配の頻度、投資対象の地域が異なるため、自分のリスク許容度や収益ニーズに合わせて選ぶことが大切です。以下に代表的な商品を紹介します。

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド

米国のBB格以下の社債にアクティブに分散投資。アナリストの個別企業分析を重視し、企業の信用力を見極める運用方針。為替ヘッジなし。利回りは約7%(2024年時点)。

三井住友・USハイ・イールド債券ファンド

為替ヘッジのあり・なしを選べるタイプ。安定運用重視で、毎月分配型の設定もあり、インカム収入を重視する投資家に適する。信託報酬も比較的低め。

野村ハイ・イールド債券ファンド

米国の投資適格未満の社債に重点を置いたファンド。コンサバティブな設計で、国内大手の野村グループによる運用体制が信頼されている。為替ヘッジなし。

ダイワ/フィデリティ・アジア・ハイイールド債券ファンド

アジアの成長企業が発行する高利回り社債に幅広く投資。為替リスクや信用リスクを受容できる投資家向け。地域分散効果を狙いたい層に最適。

ETF(上場投資信託):取引の自由度と低コストで選ぶなら

ETFは、証券取引所で株式のように売買できる金融商品で、運用コストの低さやリアルタイムでの取引のしやすさが魅力です。分配利回りの高さや分散性を保ちながらも、自ら売買タイミングを調整したい投資家に向いています。

国内ETFは為替ヘッジが付いているものが多く、安定性を重視したい方に向いています。一方、米国上場ETFは選択肢が豊富で、利回り・コスト・銘柄構成などから自分に合った商品を選ぶことが可能です。

ETFや投信との比較はこちらの記事で詳しく解説しています。

以下では、日本国内から購入可能な主要ETFを紹介します。

iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債ETF(1497)

東京証券取引所に上場する、国内で購入可能な数少ないハイイールド債ETF。円ヘッジ付きで、為替リスクを抑えながら投資できる。分配利回りは約5.7%(2024年時点)。NISA対象。

HYG(iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF)

米国上場ETFの中で最大規模。数百銘柄に分散されたポートフォリオを持ち、流動性・取引量ともに高水準。長期安定運用を重視する中上級者向け。

JNK(SPDR Bloomberg High Yield Bond ETF)

HYGと並ぶ人気ETF。配当利回りが高く、インカム収入を重視した設計。安定した分配と低コストで人気。

ANGL(VanEck Fallen Angel ETF)

投資適格から非投資適格に格下げされた「フォーリンエンジェルズ銘柄」に特化。格下げ後の価格回復・再格上げによるリターンを狙う戦略的ETF。

HYLB、USHY(その他米国ETF)

HYGやJNKと比較して信託報酬が低く、分散性を高めた商品群。長期保有を前提とした投資戦略に適しており、コストに敏感な投資家に向く。

この記事のまとめ

ハイイールド債は、信用格付の低さに見合った高利回りを提供する一方で、返済不能や売却困難といった固有のリスクも伴います。評価指標としては格付や利回りだけでなく、発行体の財務健全性や市場での流動性、取引手数料など複数の観点からの検証が欠かせません。また、投資適格債や株式との相対的なリスク・リターンも照らし合わせ、自身のリスク許容度に応じた分散戦略を検討することが重要です。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

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石井僚一

金融・投資ライター

大手証券グループ投資会社への勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式関連、為替関連、資産運用関連を中心に執筆中。Yahoo!トップページに掲載実績あり。第一種証券外務員資格保有。

大手証券グループ投資会社への勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式関連、為替関連、資産運用関連を中心に執筆中。Yahoo!トップページに掲載実績あり。第一種証券外務員資格保有。

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ハイイールド債

ハイイールド債とは、投機的格付けに分類される債券のことであり、信用リスクが高い分、高い利回りを提供する債券である。ジャンク債とほぼ同義で使われるが、「ハイイールド債」という表現は投資戦略の観点から用いられることが多い。高リスク・高リターンの投資対象として、投資家は市場環境や発行体の信用力を慎重に分析する必要がある。景気拡大期には価格が上昇しやすいが、景気後退期には価格が急落する可能性もある。

ジャンク債

ジャンク債とは、信用格付け機関によって投機的格付けと評価された債券であり、デフォルトリスクが高いが、高い利回りが期待できる特徴を持つ。通常、S&PでBB+以下、ムーディーズでBa1以下の格付けが該当する。ジャンク債は、企業の財務状況が不安定な場合や、新興企業が資金調達を行う際に発行されることが多い。高い利回りを求める投資家にとって魅力的な選択肢となるが、市場の変動や発行体の経営状況に大きく影響されるため、慎重なリスク管理が必要である。

利回り

利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。

格付け(信用格付け)

格付け(信用格付け)とは、取引をする際に参考にされる基準の一つで、取引の相手側の信用度を確認するために支払い能力や財務状況、安全性などを総合的にランク付けしたものである。アルファベットや数字で表されるのが一般的である。 (例)格付投資情報センター(https://www.r-i.co.jp/index.html) による発行体格付の定義 AAA:信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。 AA:信用力は極めて高く、優れた要素がある。 A:信用力は高く、部分的に優れた要素がある。 BBB:信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。 BB:信用力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。 B:信用力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。 CCC:発行体の金融債務が不履行に陥る懸念が強い。 CC:発行体の金融債務が不履行に陥っているか、その懸念が極めて強い。 C:発行体のすべての金融債務が不履行に陥っているとR&Iが判断する格付。

債務不履行(デフォルト)

債務不履行(デフォルト)とは、企業や国などの債務者が、借入金や債券などの元本や利息の支払いを、契約どおりに履行できなくなる状態を指します。利払いの遅延や元本返済の停止が発生した時点で、デフォルトとみなされます。 債務不履行が発生すると、債券を保有している投資家は、予定されていた利息や元本の一部または全額を受け取れないリスクに直面し、損失を被る可能性があります。特に、国による債務不履行(ソブリン・デフォルト)は、為替市場や株式市場にも連鎖的な影響を与え、国際的な金融不安を引き起こす要因となることがあります。 また、支払いの一時的な遅延や手続上の不備によって形式的に契約違反が生じる「テクニカル・デフォルト」というケースも存在します。これは即時の経済的破綻を意味するわけではありませんが、発行体の信用力に対する警戒が強まるきっかけとなり得ます。 投資においては、こうしたデフォルトの可能性(デフォルトリスク)をあらかじめ評価し、債券の発行体の財務状況や格付、市場環境を踏まえてリスク管理を行うことが重要です。

投資適格

投資適格とは、信用格付け機関が企業や債券の信用力を評価する際に、一定以上の安全性があると認定された格付けを指す。S&Pの格付けではBBB-以上、ムーディーズではBaa3以上が投資適格とされる。これらの債券はデフォルトのリスクが低く、機関投資家を中心に安定的な投資対象とされる。一方で、投資適格債はリスクが低い分、利回りも低くなる傾向がある。金融市場では、投資適格と投機的格付けの境界を意識した投資判断が重要とされる。

ディストレス

ディストレスとは、財務状況が深刻に悪化し、経営破綻や債務不履行(デフォルト)のリスクが高まっている企業や債券のことを指す。ディストレスト債(Distressed Bonds)やディストレスト企業(Distressed Companies)といった形で使われることが多い。投資家の中には、こうした状況の企業に投資し、再建による価値向上を狙うディストレスト投資(Distressed Investing)を行う者もいる。リスクは非常に高いが、適切な再生計画が成功すれば大きな利益を得る可能性もある。

流動性リスク

流動性リスクとは、資産を売却したいときに市場で買い手が見つからず、希望する価格で売却できないリスクのことを指します。特に市場が混乱した場合や、取引量の少ない資産では、このリスクが顕著になります。例えば、不動産や未上場株式、流動性の低い債券などは、売却に時間がかかることが多く、想定よりも低い価格での取引を余儀なくされる場合があります。金融機関や企業にとっては、必要な資金を調達できずに支払いが滞る可能性があることを意味し、経済危機や市場の急激な変動時には特に注意が必要です。投資ポートフォリオを構築する際には、資産の換金しやすさを考慮し、現金や流動性の高い資産とのバランスを取ることが重要とされます。

OTC取引

OTC取引とは、証券取引所のような公的な市場を通さずに、当事者同士が直接契約して行う金融商品の取引のことを指します。「Over The Counter(店頭)」の略で、日本語では「店頭取引」とも呼ばれます。 この取引形態では、株式、債券、デリバティブ、為替など、さまざまな金融商品が取引されますが、価格や条件が個別に交渉されるため、透明性は取引所を通す場合よりも低くなることがあります。一方で、柔軟な取引が可能であり、取引所では扱いにくい特殊な商品や大口取引などに対応できるという利点もあります。資産運用においては、OTC取引のリスクや仕組みを理解しておくことで、複雑な商品への投資判断を適切に行うことができます。

キャピタルゲイン(売却益)

キャピタルゲイン(売却益)とは、保有していた資産を売却することで得られる利益のことを指します。株式や不動産、債券、金などの貴金属を購入時の価格より高い価格で売却した場合、その差額がキャピタルゲインです(対義語:インカムゲイン)。 例えば、1,000円で購入した株を1,500円で売却すれば、500円がキャピタルゲインです。ただし、売却時には税制や手数料を考慮する必要があり、特に金融資産では 譲渡益課税 が適用されることが多くあります。 キャピタルゲインは、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、購入時より価格が下がると 元本割れのリスク も伴います。そのため、資産運用では 売却益の確保 と 税負担の最適化 が重要な戦略の一つです。

ライジングスター

ライジングスターとは、もともと投機的格付けであった企業や債券が、業績改善や信用力の向上により格付けを引き上げられ、投資適格となるものを指す。信用力の向上に伴い、債券価格が上昇し、金利が低下する傾向があるため、機関投資家やリスク許容度の高い投資家にとって注目される対象となる。ライジングスターの企業は成長過程にあり、将来的な信用力の強化が期待されるが、財務の安定性や経済環境の影響を受けるため慎重な分析が求められる。

フォーリンエンジェルズ

フォーリンエンジェルズとは、もともと投資適格の格付けを有していた企業や債券が、業績悪化や財務状況の変化によって格付けを引き下げられ、投機的格付けに転落したものを指す。これらの債券は、格下げ直後に市場価格が下落し、流動性が低下することが多い。一方で、財務状況が改善すれば再び投資適格に戻る可能性もあり、投資家にとってはリスクとリターンのバランスを見極める重要な対象となる。

格付機関

格付機関とは、企業や国、債券などの信用力を評価し、「信用格付」と呼ばれる等級をつける専門の機関のことをいいます。信用格付は、投資家がその企業や国が借りたお金をきちんと返せるかどうかを判断するための重要な指標となります。たとえば、格付が高ければ「信用度が高く、返済の可能性が大きい」とみなされ、逆に格付が低ければ「リスクが高い」と判断されることになります。代表的な格付機関には、ムーディーズ、スタンダード&プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングスなどがあります。投資初心者にとっても、債券や企業の安全性を見極めるうえで、格付機関の評価はとても参考になります。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

投資信託

投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

為替ヘッジ

為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

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